星に祈りをかけるなら、

夕立悠理

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そのさん

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王都近くの町は、王都に近いだけあって、栄えている。仕事はすぐに見つかった。

 私は、宿屋の従業員になった。幸いなことに、泊まり込みなので、働き口と一緒に住居も確保できた。それなりに充実した日々を過ごした、そんな、ある日のこと。私は、素泊まりの一人客の会計をしていた。

 「? 硬貨が一枚多いですよ」
それも変な硬貨だ。この国で使われる硬貨は金か銀のものしかないのに、赤金色をしていた。私がそういって、客に硬貨を渡すと、客の男性は驚いた顔をした。青い髪に金の瞳がよく映えた美しい男性だった。

 「ああ、悪い間違えた……って、お前これが見えるのか?」
「? はい」
見えるもなにも、そこにあるじゃないの。私が首をかしげると、男性はもっと不思議そうな顔をした。

 「なんで魔法が使えるのに、王都で働かない? 持つものは尽くすべきだ」
「誰の話ですか?」
「お前だ」
男性は私を指差した。なにを言ってるんだろう、この人は。魔法が使えるのは、ごく一部の限られた人だけ。村で育った私が魔法を使えるわけないのに。

 私がそういうと、男性はポケットを探り、もう一枚の硬貨を見せた。
「これは、何色に見える?」
「青色」

「これは?」
「緑」

「これは?」
「赤」

「これは?」
「表は白色……でも、裏は黒ですね」
何がしたいのかさっぱりわからないけれど。私がそう思いながら、男性の質問に答えていると、男性は美しい顔を歪めて、私の腕をつかんだ。

 「なんで、全属性持ちが、こんなところに!?」
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