次女ですけど、何か?

夕立悠理

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中学生編

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 中学生生活最初のホームルームが終わった後、とってもいいことが起きた!
 美紀ちゃんと遼子ちゃんが、何と私のクラスの教室に来てくれたのだ!用件は、一緒に部活動見学をして周らないか、というものだった。もちろん私はその提案に頷いた。

 話を聞くと、美紀ちゃんは華道部に、遼子ちゃんは茶道部に興味があるらしい。
 前川と赤田の時も思ったが、仲良しだからって必ずしも同じ部活に入るとは限らないんだなぁ、と思う。

 まず華道部、次に茶道部を見学してから、最後に、料理部を見学することとなった。

 料理部は、とても雰囲気のよさそうな部活だった。先輩方が皆優しそうな人ばかりだ。主に月曜日と水曜日に活動をしているらしいが、用事がある人は連絡があれば休んでも構わないらしい。これは習い事の多い私にはとても有難かった。他にも、クリスマスやバレンタインデーといった行事にも活動を行っているらしい。

 バレンタインデーといえば、そういえば、長らく淳お兄様に会えていないな、と思う。淳お兄様はまだ高校2年生になられたばかりだが、難関大学を目指されているため、もう受験勉強を始められているのだ。そのため、大体、強制参加のパーティ以外では出会えていないし、電話も控えるようにしている。

 これは恥ずかしくて部屋に書いていないけれど、淳お兄様と対等な人間になることも私の目標の一つなのだ。だから、会えなくて寂しい……なんて思っているうちはまだまだだな、と思う。

 料理部の先輩方に一通り部の概要を説明してもらった後、先輩方お手製のお菓子を振舞われた。
 どれもこれも、とってもおいしい。
 勧められるまま、パクパクとお菓子を食べていると、とある先輩から声を掛けられた。

「……?」
「貴方、お菓子は好き?」
「ええ」

 ? なんだか先輩の眼がキラキラと輝いているような……。
 そうこうしているうちにもお菓子がどんどん運ばれてくるので、お菓子を食べ進める。あれ?美紀ちゃんと遼子ちゃんはもうお腹いっぱいなようだ。手が止まっている。みんな小食なんだなぁ。

 「これもどうぞ」
「ありがとうございます。どれも、本当においしいですね」
 お菓子は本当にどれもおいしく、結局、料理部で用意されていたお菓子を全て食べきってしまった!
 いくら勧められたとはいえ、これはマナー違反なのではなかろうか。

 恐る恐る、先輩方の方をみると――

 「!?」
 全員目を輝かせていた。え?なんで?混乱する私の手をガシッと掴まれる。

「逸材だわ!逸材が現れたわよ!!」
逸材どころか、お菓子を全部食べ切ってしまったマナー違反だ。しかし、先輩方はとても嬉しそうだ。

「私たち、皆、お菓子作るのは好きなんだけど、食べるのは……ほら、お菓子って太りやすいでしょう?
でも、貴方はどれもおいしそうに食べてくれて本当に嬉しいわ」
それは、単に私が大食いというだけでは……。

「是非、うちの部活に入らない? 食べるだけでもいいから、いえ、むしろお菓子を食べにきてくれない!?」

 元々、料理部に入ろうと思っていたのもあり、気づけば、入部届のハンコを押していた。

 ――こうして、私は、料理部に入部することとなった。

 何はともあれ、今日から中学生。部活に勉強に頑張るぞ。

 ■ □ ■

 学校から家に帰ると、お爺様から呼び出しを食らったので、道脇家本邸に向かった。
 「失礼します」
襖を開けると、以前にも増して、眼光の鋭い祖父が座っていた。

 お説教はできるだけ短かったらいいのだけれど。早く帰って、桃とコミュニケーションを取りたいし。小学五年生の勉強なら流石の私も教えられるだろうから、宿題を手伝って、好感度アップを図りたい。

「……で………………であるからして」
 そんなことを考えながら祖父の話を聞いていたのが良くなかったのか、全く祖父の話が耳に入ってこない。
「聞いておるのか」
いえ、全く。けれど、大方、中学生になったからより励むように、というお小言と、新たに増やされる習い事の数々の件についてだろうから、神妙な顔をして頷いておく。

 「では、わかったな」

……んん? なんかこういう展開前にもなかったか?

 大抵、お爺様がこういう時は無理難題をふっかけて――

「お前は、今日から道脇家本邸で暮らすように」
「…………はい?」
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