23 / 45
茶番
しおりを挟む
翌朝。
昨日はいつもよりかなり早く女子寮に戻ったからか、いつもより体が軽い。
「……ふぅ」
今日も一日がんばろう。
すべては、リッカルド様が死なない世界を作るため。
「心臓を集めなくっちゃね」
◇◇◇
私は今日の授業に出席せず、魔獣の森にきていた。
今までわりとまじめに学園生活を送っていたけれど、考えてみれば、私にその必要はない。
もちろん、両親に実家に連れ戻されない程度の成績と出席率は必要だ。でも、私の一番の目的は、三年の間に――いやもっとはやく、三百個の魔物の心臓を集めること。
だったら、学園生活なんて、結局のところ茶番だ。
なんで今までそうしなかったかというと、リッカルド様を少しでも長く見ていたかったから。でも、リッカルド様にも嫌われてしまっただろう今、ようやく覚悟が決まった。
『ソフィア』
「なぁに?」
悪魔が姿を表した。
じとりと私を睨む、その顔は明らかに不満げだわ。
『なぜ、学園にいかない?』
「なぜって、学園にいっている間も、魔獣を狩れば、もっとはやくあなたを神にできるのよ?」
それに、そうしない理由がないもの。
『いいのか? お前は本当に――』
悪魔って、やっぱり悪魔らしくない。
私は思わず苦笑しながら、悪魔を見た。
「もしかして、悪魔って、私が魔獣の心臓を三百個集められるとおもってなかった?」
『……!』
「ふぅん。図星なのね」
こんなに焦った顔をする悪魔は始めてで、笑ってしまう。
『――ソフィア』
「なに、悪魔。私との契約を、忘れたとは言わせないわよ。そもそも、時を戻してくれたのも、あなたが神になりたいからでしょう?」
神、という言葉を聞いたとき、悪魔の瞳が揺れた。
『……そう、我はかつて神とよばれたもの』
あれ?
最初に聞いたときとは、若干違う言い回しに、何か引っ掛かりを感じる。
けれど、浮かんだ引っ掛かりは、悪魔の悲しげな顔に霧散した。
「だったら、いつもみたいに、不遜な態度で待ってなさいよ。そんな顔、あなたには似合わないわ」
『……』
悪魔は黙って、私を見つめる。
『……ソフィア』
そして、絞り出すような声で私を呼んだ。
「ん?」
『お前には――幸せになってもらわねば』
「悪魔?」
悪魔は俯いた。
『そうでなければ、――て、――までした意味が……』
「悪魔、どうしたの?」
悪魔の言葉は、小さく早口で聞き取りにくく、いくつか聞こえなかった。
『いや……なんでもない』
そういって顔を上げた悪魔の顔は、いつもの皮肉げな表情を浮かべていた。
「悪魔?」
『お前に来客のようだぞ』
そういって、ふっときえる。
それから、少しして聞こえてきたのは……。
「ここにいたんだね、ソフィア嬢」
昨日はいつもよりかなり早く女子寮に戻ったからか、いつもより体が軽い。
「……ふぅ」
今日も一日がんばろう。
すべては、リッカルド様が死なない世界を作るため。
「心臓を集めなくっちゃね」
◇◇◇
私は今日の授業に出席せず、魔獣の森にきていた。
今までわりとまじめに学園生活を送っていたけれど、考えてみれば、私にその必要はない。
もちろん、両親に実家に連れ戻されない程度の成績と出席率は必要だ。でも、私の一番の目的は、三年の間に――いやもっとはやく、三百個の魔物の心臓を集めること。
だったら、学園生活なんて、結局のところ茶番だ。
なんで今までそうしなかったかというと、リッカルド様を少しでも長く見ていたかったから。でも、リッカルド様にも嫌われてしまっただろう今、ようやく覚悟が決まった。
『ソフィア』
「なぁに?」
悪魔が姿を表した。
じとりと私を睨む、その顔は明らかに不満げだわ。
『なぜ、学園にいかない?』
「なぜって、学園にいっている間も、魔獣を狩れば、もっとはやくあなたを神にできるのよ?」
それに、そうしない理由がないもの。
『いいのか? お前は本当に――』
悪魔って、やっぱり悪魔らしくない。
私は思わず苦笑しながら、悪魔を見た。
「もしかして、悪魔って、私が魔獣の心臓を三百個集められるとおもってなかった?」
『……!』
「ふぅん。図星なのね」
こんなに焦った顔をする悪魔は始めてで、笑ってしまう。
『――ソフィア』
「なに、悪魔。私との契約を、忘れたとは言わせないわよ。そもそも、時を戻してくれたのも、あなたが神になりたいからでしょう?」
神、という言葉を聞いたとき、悪魔の瞳が揺れた。
『……そう、我はかつて神とよばれたもの』
あれ?
最初に聞いたときとは、若干違う言い回しに、何か引っ掛かりを感じる。
けれど、浮かんだ引っ掛かりは、悪魔の悲しげな顔に霧散した。
「だったら、いつもみたいに、不遜な態度で待ってなさいよ。そんな顔、あなたには似合わないわ」
『……』
悪魔は黙って、私を見つめる。
『……ソフィア』
そして、絞り出すような声で私を呼んだ。
「ん?」
『お前には――幸せになってもらわねば』
「悪魔?」
悪魔は俯いた。
『そうでなければ、――て、――までした意味が……』
「悪魔、どうしたの?」
悪魔の言葉は、小さく早口で聞き取りにくく、いくつか聞こえなかった。
『いや……なんでもない』
そういって顔を上げた悪魔の顔は、いつもの皮肉げな表情を浮かべていた。
「悪魔?」
『お前に来客のようだぞ』
そういって、ふっときえる。
それから、少しして聞こえてきたのは……。
「ここにいたんだね、ソフィア嬢」
277
あなたにおすすめの小説
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
【完結】魔女令嬢はただ静かに生きていたいだけ
⚪︎
恋愛
公爵家の令嬢として傲慢に育った十歳の少女、エマ・ルソーネは、ちょっとした事故により前世の記憶を思い出し、今世が乙女ゲームの世界であることに気付く。しかも自分は、魔女の血を引く最低最悪の悪役令嬢だった。
待っているのはオールデスエンド。回避すべく動くも、何故だが攻略対象たちとの接点は増えるばかりで、あれよあれよという間に物語の筋書き通り、魔法研究機関に入所することになってしまう。
ひたすら静かに過ごすことに努めるエマを、研究所に集った癖のある者たちの脅威が襲う。日々の苦悩に、エマの胃痛はとどまる所を知らない……
【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
婚約破棄されたトリノは、継母や姉たちや使用人からもいじめられているので、前世の記憶を思い出し、家から脱走して旅にでる!
山田 バルス
恋愛
この屋敷は、わたしの居場所じゃない。
薄明かりの差し込む天窓の下、トリノは古びた石床に敷かれた毛布の中で、静かに目を覚ました。肌寒さに身をすくめながら、昨日と変わらぬ粗末な日常が始まる。
かつては伯爵家の令嬢として、それなりに贅沢に暮らしていたはずだった。だけど、実の母が亡くなり、父が再婚してから、すべてが変わった。
「おい、灰かぶり。いつまで寝てんのよ、あんたは召使いのつもり?」
「ごめんなさい、すぐに……」
「ふーん、また寝癖ついてる。魔獣みたいな髪。鏡って知ってる?」
「……すみません」
トリノはペコリと頭を下げる。反論なんて、とうにあきらめた。
この世界は、魔法と剣が支配する王国《エルデラン》の北方領。名門リドグレイ伯爵家の屋敷には、魔道具や召使い、そして“偽りの家族”がそろっている。
彼女――トリノ・リドグレイは、この家の“戸籍上は三女”。けれど実態は、召使い以下の扱いだった。
「キッチン、昨日の灰がそのままだったわよ? ご主人様の食事を用意する手も、まるで泥人形ね」
「今朝の朝食、あなたの分はなし。ねえ、ミレイア? “灰かぶり令嬢”には、灰でも食べさせればいいのよ」
「賛成♪ ちょうど暖炉の掃除があるし、役立ててあげる」
三人がくすくすと笑うなか、トリノはただ小さくうなずいた。
夜。屋敷が静まり、誰もいない納戸で、トリノはひとり、こっそり木箱を開いた。中には小さな布包み。亡き母の形見――古びた銀のペンダントが眠っていた。
それだけが、彼女の“世界でただ一つの宝物”。
「……お母さま。わたし、がんばってるよ。ちゃんと、ひとりでも……」
声が震える。けれど、涙は流さなかった。
屋敷の誰にも必要とされない“灰かぶり令嬢”。
だけど、彼女の心だけは、まだ折れていない。
いつか、この冷たい塔を抜け出して、空の広い場所へ行くんだ。
そう、小さく、けれど確かに誓った。
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
あなた方には後悔してもらいます!
風見ゆうみ
恋愛
私、リサ・ミノワーズは小国ではありますが、ミドノワール国の第2王女です。
私の国では代々、王の子供であれば、性別や生まれの早い遅いは関係なく、成人近くになると王となるべき人の胸元に国花が浮き出ると言われていました。
国花は今まで、長男や長女にしか現れなかったそうですので、次女である私は、姉に比べて母からはとても冷遇されておりました。
それは私が17歳の誕生日を迎えた日の事、パーティー会場の外で姉の婚約者と私の婚約者が姉を取り合い、喧嘩をしていたのです。
婚約破棄を受け入れ、部屋に戻り1人で泣いていると、私の胸元に国花が浮き出てしまったじゃないですか!
お父様にその事を知らせに行くと、そこには隣国の国王陛下もいらっしゃいました。
事情を知った陛下が息子である第2王子を婚約者兼協力者として私に紹介して下さる事に!
彼と一緒に元婚約者達を後悔させてやろうと思います!
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、話の中での色々な設定は話の都合、展開の為のご都合主義、ゆるい設定ですので、そんな世界なのだとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
※話が合わない場合は閉じていただきますよう、お願い致します。
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる