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頭突き
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そこで、私がとった選択は。
「……そう、でしたか?」
首をかしげる。何とかしてこの場をやり過ごすしかない。
「そうだよ」
けれど、リッカルド様はそんな私を見て、目を細めた。
私の指に、リッカルド様の指がからめられる。
「!」
思わずびくりと体を揺らした。
「僕に手段を選ばなくさせたのは──君だ」
「私、は……」
私は、ただあなたに生きていてほしくて。
けれど、喉が乾いて言葉にならない。
「ねぇ、ソフィア嬢」
リッカルド様は、そっと囁く。
「君を閉じ込めてしまおうか」
またまた、ご冗談を~。リッカルド様にはメリア様がいらっしゃるじゃないですか。
……なんて、いえる雰囲気じゃない。
代わりにでてきたのは、
「ど、して……」
どうして今のあなたが私に執着するのか。
わかりきったことを問う、言葉だった。
「……そう。あれだけ言ったのにわからないんだね」
いや、わかってる。私が自分を蔑ろにするから。蔑ろにする人を、自分を粗末に扱う人を、リッカルド様は許さない。赦せない。
「リッカルド様は……」
「うん?」
「私のようなものがいる度に、いちいち婚約を結ぶおつもりですか?」
い、言っちゃったー!!!
声に出してからしまったと思うけれど、もう遅い。一度でた言葉は取り消せないのだ。
でも、でもね、リッカルド様。
私たちは、もう子供とは言えない年だ。
自分の責任は、自分で持たなくてはならない。
だから……。
「……君は、僕のことをそんな風に思ってるんだ」
君の考えはよくわかったよ、と言われた。
「まさか、僕が誰にでもこんなことをすると思われているなんて」
こうすれば、伝わるんだろうか。
リッカルド様は囁いて、顔を近づけた。
リッカルド様の長い睫毛がふれそうになるほど、近い。
けれど、それを意識する前に──。
鈍い音を立てて、私の額とリッカルド様の額が衝突した。否、衝突させた。
「!?」
リッカルド様が驚いた顔をして、私から距離ができる。その隙を見逃さなかった。
「申し訳ありません、リッカルド様! 私、とても大事な用事を思い出したので、これで!!」
ベッドから転がり落ちるようにして、その場を去る。
「はあっ、はあっ……」
全力で女子寮までをかけた。
心臓がどくどくと脈打っている。
その理由が、走っているせいだけではないと知りながら、私はその感情から目を、逸らした。
◇ ◇ ◇
──今日は散々な目に遭ったわ。
自室に戻り、息をはく。
『ソフィア』
自室では実体化した、悪魔が不機嫌そうな目でじっとりと私を見ている。
「……わかってるわ」
ちゃんと、わかってる。
私は、悪魔の贄だ。それ以上でも、それ以下でもない。
「私は……」
あなたが生きていてくれる世界を作る。たとえ、あなたに嫌われようと。
「……そう、でしたか?」
首をかしげる。何とかしてこの場をやり過ごすしかない。
「そうだよ」
けれど、リッカルド様はそんな私を見て、目を細めた。
私の指に、リッカルド様の指がからめられる。
「!」
思わずびくりと体を揺らした。
「僕に手段を選ばなくさせたのは──君だ」
「私、は……」
私は、ただあなたに生きていてほしくて。
けれど、喉が乾いて言葉にならない。
「ねぇ、ソフィア嬢」
リッカルド様は、そっと囁く。
「君を閉じ込めてしまおうか」
またまた、ご冗談を~。リッカルド様にはメリア様がいらっしゃるじゃないですか。
……なんて、いえる雰囲気じゃない。
代わりにでてきたのは、
「ど、して……」
どうして今のあなたが私に執着するのか。
わかりきったことを問う、言葉だった。
「……そう。あれだけ言ったのにわからないんだね」
いや、わかってる。私が自分を蔑ろにするから。蔑ろにする人を、自分を粗末に扱う人を、リッカルド様は許さない。赦せない。
「リッカルド様は……」
「うん?」
「私のようなものがいる度に、いちいち婚約を結ぶおつもりですか?」
い、言っちゃったー!!!
声に出してからしまったと思うけれど、もう遅い。一度でた言葉は取り消せないのだ。
でも、でもね、リッカルド様。
私たちは、もう子供とは言えない年だ。
自分の責任は、自分で持たなくてはならない。
だから……。
「……君は、僕のことをそんな風に思ってるんだ」
君の考えはよくわかったよ、と言われた。
「まさか、僕が誰にでもこんなことをすると思われているなんて」
こうすれば、伝わるんだろうか。
リッカルド様は囁いて、顔を近づけた。
リッカルド様の長い睫毛がふれそうになるほど、近い。
けれど、それを意識する前に──。
鈍い音を立てて、私の額とリッカルド様の額が衝突した。否、衝突させた。
「!?」
リッカルド様が驚いた顔をして、私から距離ができる。その隙を見逃さなかった。
「申し訳ありません、リッカルド様! 私、とても大事な用事を思い出したので、これで!!」
ベッドから転がり落ちるようにして、その場を去る。
「はあっ、はあっ……」
全力で女子寮までをかけた。
心臓がどくどくと脈打っている。
その理由が、走っているせいだけではないと知りながら、私はその感情から目を、逸らした。
◇ ◇ ◇
──今日は散々な目に遭ったわ。
自室に戻り、息をはく。
『ソフィア』
自室では実体化した、悪魔が不機嫌そうな目でじっとりと私を見ている。
「……わかってるわ」
ちゃんと、わかってる。
私は、悪魔の贄だ。それ以上でも、それ以下でもない。
「私は……」
あなたが生きていてくれる世界を作る。たとえ、あなたに嫌われようと。
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