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気まずい朝食をとり終わったあと、庭にいく。
『アデライン』
 バメオロスが期待に満ちた表情で、私を見ている。
 侍女たちを下がらせ、バメオロスと二人きりになってから、花壇の土に手を当てる。すると、イーディナ花が咲き誇った。

 バメオロスがしっぽをぶんぶんとゆらしながら、イーディナ花に顔をうずめる。私はそんなバメオロスを微笑ましく見守った。

『美味しいイーディナ花をありがとう』
「どういたしまして」

 さて。今日はこの後なにをしようかしら。昨日もしたおいかけっこもいいけれど。

 そんなことを考えていると。
「バメオロス?」
 なんか、また、大きくなってない?

 バメオロスはまあまだ、子犬のような大きさだけど。

『アデライン』

 駆け寄ってくるバメオロスの黒い瞳は、相変わらず、つぶらだけど。バメオロスを撫でようとした、そのときだった。
『ふせろ!』
「え──」

 慌てて屈んだ。すると、なにかが私の真横を通りすぎた。ボールだ。それも、手紙が巻き付けてある。


 どう考えても、私にむけて……よね?

 バメオロスは中身を開かない方がいいと思ったけれど、私はニート生活を楽しみたいので、脅威なら取り払うべき。

 そう思って、くくりつけられた手紙を読む。

 【クラウス様は、お前のことを愛していない。所詮、お前はお飾りの王妃】

 クラウス……旦那様の名前だ。文字は、丸く、また、手紙からはかすかに香水の香りがする。

 ふーん。旦那様ってモテるんだ。まあ、お顔はいいものね。

 なんだぁ。てっきりもっと刺激的な内容が書かれているのかと思ったけれど。単なる事実じゃない。おもしろくないわね。思わずむっ、と顔をしかめた私に勘違いしたバメオロスがすり寄った。

『アデライン、あなたには私がいる』
「ありがとう」

 ……ん? まてよ。
「バメオロス、私、陛下に興味がわいちゃったかも!」
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