6 / 8
6
しおりを挟む……それから、数年が過ぎました。
わたくしは、できる限り、ヒロインと、イグニス殿下の接点を作ろうと頑張ったのですがーー。
「ことごとく、ノント様に阻まれますわ!」
さすがは、幼馴染の鉄壁ガードですわね。
ですが、このガードをくずさないことには、イグニス殿下とヒロインの出会いすら起こせない……という。
「ノントがどうしたの、シアノ」
はっ!!!!!
今日は、週に一度のイグニス殿下とのお茶会の日。なのに、わたくしったら、別のことを考えるなんて。
「い、いえ。ノント様の幼馴染はどんな方なのかなと」
「ノントの幼馴染?」
イグニス殿下は、ぱちぱちと瞬きをした後、ふぅん、と唇を尖らせました。
「イグニス殿下?」
いったいどうしたのかしら。
「ううん、別に」
そういって、イグニス殿下は、わたくしの口にイチゴを放り込みました。
「……美味しい! このイチゴ、美味しいですよ、イグニス殿下。ぜひ、イグニス殿下も食べーーイグニス殿下?」
イグニス殿下は、じっと、わたくしを見つめていらっしゃる。
今日の服装、おかしかったかしら。
急に、ドキドキと緊張するのを感じながら、イグニス殿下の言葉を待ちます。
「ううん、シアノは、可愛いなと思って」
「!?!!!!?!」
推しから可愛いっていってもらえるなんて。
嬉し過ぎます!!!
「ありがとうございます。イグニス殿下も本日もとっても素敵です!」
素敵じゃなかったことなんて、ないですけどね!
「……素敵、ねぇ」
「……?」
いつもなら、ありがとう、と微笑んでくださるのに、今日はどうしたんでしょうか。
「ねぇ、シアノ」
「はい、なんでしょう?」
「僕のことーー好き?」
まぁ、推しが好きか、嫌いか、なんて。
答えはわかりきっていますわ。
「大好きです!」
「そっか、ありがとう」
23
お気に入りに追加
218
あなたにおすすめの小説
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
わたくしは悪役令嬢ですので、どうぞお気になさらずに
下菊みこと
恋愛
前世の記憶のおかげで冷静になった悪役令嬢っぽい女の子の、婚約者とのやり直しのお話。
ご都合主義で、ハッピーエンドだけど少し悲しい終わり。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
【改稿版】婚約破棄は私から
どくりんご
恋愛
ある日、婚約者である殿下が妹へ愛を語っている所を目撃したニナ。ここが乙女ゲームの世界であり、自分が悪役令嬢、妹がヒロインだということを知っていたけれど、好きな人が妹に愛を語る所を見ていると流石にショックを受けた。
乙女ゲームである死亡エンドは絶対に嫌だし、殿下から婚約破棄を告げられるのも嫌だ。そんな辛いことは耐えられない!
婚約破棄は私から!
※大幅な修正が入っています。登場人物の立ち位置変更など。
◆3/20 恋愛ランキング、人気ランキング7位
◆3/20 HOT6位
短編&拙い私の作品でここまでいけるなんて…!読んでくれた皆さん、感謝感激雨あられです〜!!(´;ω;`)
光の王太子殿下は愛したい
葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。
わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。
だが、彼女はあるときを境に変わる。
アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。
どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。
目移りなどしないのに。
果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!?
ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。
☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない
エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい
最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。
でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる