3 / 8
3
しおりを挟む
「さぁ、シアノ。挨拶なさい」
さっそくやってまいりました。
だって、わたくし、公爵令嬢ですもの。
貴族の中で一番えらいんですのよ、えへん。
もちろん、お父様が、ですけれど。
というわけで、まっさきに、イグニス殿下にご挨拶をする権利をいただけました!
「お初にお目にかかります。シアノ・メルシャンと申します」
決まったー!
噛まずに言えましてよ。
そして、優雅に礼をして、微笑みました。
お次は、イグニス殿下の番。
「初めまして、メルシャン嬢。僕は、イグニス。よろしくね」
ううっ、眩しい。
推しのキラキラスマイルってこんなに破壊力があるんですのね!
それに、声も想像通りですわ。
幼さの中にも理知的な音が既に現れています。
まあ、どんな声でも推しの声というだけで、人魚の歌声よりも素晴らしいのは確定ですが。
……さてさて、挨拶も終わったことですし。
ここから与えられるのは、約1分間のフリートーク。ここでがしっと、ばしっと、イグニス殿下の心を掴んで、婚約者の座に収まりたいところです。
さぁ、何から攻めましょうか。
「ところで、メルシャン嬢は何か得意なこととかある?」
得意なこと。
イグニス殿下は原作では、ピアノがお得でしたわね。
わたくしもまあまあ弾けるので、話を合わせるのも一つの手ですね。それでいきま……。
「あなたの幸せを願うことです!」
「……え、」
しまったー!!!!!!!!
口が滑って、やらかしちまいましたわ。
本当に得意なことを言ってどういたしますの。
ですが、イグニス様限界オタクとして、得意なことといえば、イグニス様の幸せを願うことに決まっているでしょう!
「それって、どういう、……」
イグニス殿下は、たいそう戸惑っておいでな様子。それもそうですわよね。
わたくしだって、初対面の人にそんなことを言われたらこわいですわ。
「それは……」
どうしましょう。
いえ、もうこうなったら!!!!!
「わたくし、イグニス殿下の幸せを願うことがとっても得意です。ずっと前から、今日のこの日を楽しみにしてきました。(前世の推しとの初対面だから)できることなら、わたくしがイグニス殿下を幸せにしたい。そう思って、今日までを生きてきました。(実際に幸せにしてくださるのはヒロインですが)そして、今日確信いたしました。あなたこそが、わたくしが全力で、愛し(推し)続ける方だと」
「!!!!!!!」
だから、どうかわたくしのことを婚約者にしてほしいって、これじゃあ、完全にやばいやつです。
自分のオタク度にドン引きしつつ、ちらりとイグニス殿下を見つめます。
「!」
イグニス殿下は顔を真っ赤にさせていました。
あっ、もしかして、ドン引きを通り越して、初対面のくせに何言ってんだお前! の怒りモードに入ったパターンですの!?!?
いやです。
お怒りモードもそれはそれは神に違いないですが、婚約者の座収まれないとわたくし……。
「……そう、シアノ嬢の得意なことが知られて、よかったよ」
と、微笑んだイグニス殿下で、フリートークは終了いたしました。
わたくしのオタク語りで、ほとんど1分はすぎてしまった様です。
あ、ああー!!!!!!!
終わった。終わりましたわ。
最後のイグニス殿下の笑みは、営業スマイルですわよね。
イグニス様をヒロインとハッピーにするぞ、計画の早急な見直しを図らないといけないです。
ショックを受けながら、すごすごと、お兄様の元に戻り、残りのパーティーは、おとなしく過ごしました。
さっそくやってまいりました。
だって、わたくし、公爵令嬢ですもの。
貴族の中で一番えらいんですのよ、えへん。
もちろん、お父様が、ですけれど。
というわけで、まっさきに、イグニス殿下にご挨拶をする権利をいただけました!
「お初にお目にかかります。シアノ・メルシャンと申します」
決まったー!
噛まずに言えましてよ。
そして、優雅に礼をして、微笑みました。
お次は、イグニス殿下の番。
「初めまして、メルシャン嬢。僕は、イグニス。よろしくね」
ううっ、眩しい。
推しのキラキラスマイルってこんなに破壊力があるんですのね!
それに、声も想像通りですわ。
幼さの中にも理知的な音が既に現れています。
まあ、どんな声でも推しの声というだけで、人魚の歌声よりも素晴らしいのは確定ですが。
……さてさて、挨拶も終わったことですし。
ここから与えられるのは、約1分間のフリートーク。ここでがしっと、ばしっと、イグニス殿下の心を掴んで、婚約者の座に収まりたいところです。
さぁ、何から攻めましょうか。
「ところで、メルシャン嬢は何か得意なこととかある?」
得意なこと。
イグニス殿下は原作では、ピアノがお得でしたわね。
わたくしもまあまあ弾けるので、話を合わせるのも一つの手ですね。それでいきま……。
「あなたの幸せを願うことです!」
「……え、」
しまったー!!!!!!!!
口が滑って、やらかしちまいましたわ。
本当に得意なことを言ってどういたしますの。
ですが、イグニス様限界オタクとして、得意なことといえば、イグニス様の幸せを願うことに決まっているでしょう!
「それって、どういう、……」
イグニス殿下は、たいそう戸惑っておいでな様子。それもそうですわよね。
わたくしだって、初対面の人にそんなことを言われたらこわいですわ。
「それは……」
どうしましょう。
いえ、もうこうなったら!!!!!
「わたくし、イグニス殿下の幸せを願うことがとっても得意です。ずっと前から、今日のこの日を楽しみにしてきました。(前世の推しとの初対面だから)できることなら、わたくしがイグニス殿下を幸せにしたい。そう思って、今日までを生きてきました。(実際に幸せにしてくださるのはヒロインですが)そして、今日確信いたしました。あなたこそが、わたくしが全力で、愛し(推し)続ける方だと」
「!!!!!!!」
だから、どうかわたくしのことを婚約者にしてほしいって、これじゃあ、完全にやばいやつです。
自分のオタク度にドン引きしつつ、ちらりとイグニス殿下を見つめます。
「!」
イグニス殿下は顔を真っ赤にさせていました。
あっ、もしかして、ドン引きを通り越して、初対面のくせに何言ってんだお前! の怒りモードに入ったパターンですの!?!?
いやです。
お怒りモードもそれはそれは神に違いないですが、婚約者の座収まれないとわたくし……。
「……そう、シアノ嬢の得意なことが知られて、よかったよ」
と、微笑んだイグニス殿下で、フリートークは終了いたしました。
わたくしのオタク語りで、ほとんど1分はすぎてしまった様です。
あ、ああー!!!!!!!
終わった。終わりましたわ。
最後のイグニス殿下の笑みは、営業スマイルですわよね。
イグニス様をヒロインとハッピーにするぞ、計画の早急な見直しを図らないといけないです。
ショックを受けながら、すごすごと、お兄様の元に戻り、残りのパーティーは、おとなしく過ごしました。
28
お気に入りに追加
222
あなたにおすすめの小説

攻略対象の王子様は放置されました
白生荼汰
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。

転生悪役令嬢は冒険者になればいいと気が付いた
よーこ
恋愛
物心ついた頃から前世の記憶持ちの悪役令嬢ベルティーア。
国の第一王子との婚約式の時、ここが乙女ゲームの世界だと気が付いた。
自分はメイン攻略対象にくっつく悪役令嬢キャラだった。
はい、詰んだ。
将来は貴族籍を剥奪されて国外追放決定です。
よし、だったら魔法があるこのファンタジーな世界を満喫しよう。
国外に追放されたら冒険者になって生きるぞヒャッホー!


ほら、誰もシナリオ通りに動かないから
蔵崎とら
恋愛
乙女ゲームの世界にモブとして転生したのでゲームの登場人物を観察していたらいつの間にか巻き込まれていた。
ただヒロインも悪役も攻略対象キャラクターさえも、皆シナリオを無視するから全てが斜め上へと向かっていってる気がするようなしないような……。
※ちょっぴり百合要素があります※
他サイトからの転載です。

【改稿版】婚約破棄は私から
どくりんご
恋愛
ある日、婚約者である殿下が妹へ愛を語っている所を目撃したニナ。ここが乙女ゲームの世界であり、自分が悪役令嬢、妹がヒロインだということを知っていたけれど、好きな人が妹に愛を語る所を見ていると流石にショックを受けた。
乙女ゲームである死亡エンドは絶対に嫌だし、殿下から婚約破棄を告げられるのも嫌だ。そんな辛いことは耐えられない!
婚約破棄は私から!
※大幅な修正が入っています。登場人物の立ち位置変更など。
◆3/20 恋愛ランキング、人気ランキング7位
◆3/20 HOT6位
短編&拙い私の作品でここまでいけるなんて…!読んでくれた皆さん、感謝感激雨あられです〜!!(´;ω;`)

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

婚約破棄をいたしましょう。
見丘ユタ
恋愛
悪役令嬢である侯爵令嬢、コーデリアに転生したと気づいた主人公は、卒業パーティーの婚約破棄を回避するために奔走する。
しかし無慈悲にも卒業パーティーの最中、婚約者の王太子、テリーに呼び出されてしまうのだった。

悪役令嬢に転生したようですが、前世の記憶が戻り意識がはっきりしたのでセオリー通りに行こうと思います
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に転生したのでとりあえずセオリー通り悪役ルートは回避する方向で。あとはなるようになれ、なお話。
ご都合主義の書きたいところだけ書き殴ったやつ。
小説家になろう様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる