2 / 18
翌日
しおりを挟む
「……は?」
私の言葉がよほど予想外だったのか、ジュリアン殿下は、ぱちぱちと瞬きをされました。
「ええ。ですから、私があなたをーー」
「聞こえている。そうではなくて……」
もちろん、聞こえていたのもわかっていますとも。
ジュリアン殿下は、気まずそうに私を見つめた。
「本気か?」
「ええ、もちろん」
少なくとも今の私は本気でジュリアン殿下のことを愛しているわけではありません。
ただ、あまりにも。
……そう、あまりにも腹が立ったので、私にどっぷり惚れさせてから振る、なんて古今東西やり尽くされた復讐方法をとろうとしているだけで。
「勝手にしろ」
ジュリアン殿下は、少し早口でそういうと、寝室から出て行きました。
既婚者の恋人だか、恋人未満だか知りませんが、その方の元へは流石にいけないでしょうね。
だって、今夜は初夜。
本来なら、夫婦で過ごす大事な夜のはずです。
「……ふ」
私は、ジュリアン殿下が完全に去ったのを確認して、ベッドに寝転がりました。
「……ふふ」
思わず、笑みがこぼれます。
私に愛せない宣言をするとは、よほど、自分に自信があると見えますね。そうでもしないと、哀れに私が愛を乞うとでも思っていたのでしょうか。
親愛ならともかく、情愛なんて。
初対面でなかなか抱くものでもないでしょうに。
ふふ、でも残念です。
哀れに愛を乞うようになるのは、ジュリアン殿下、あなたですよ。
あなたが私を愛さないというのなら、溺れるほど愛して差し上げます。
あなたが私を愛するようになるまで、という期限付きで。
「明日から、楽しい日々になりそうですね」
この予感は絶対に、外れることはないでしょう。
私は一人には広すぎるベッドを堪能しながら、目を閉じました。
◇◇◇
ーー翌朝。
「……おようございます。リーネ殿下」
「おはよう、ミミリ」
ミミリは私の侍女です。ミミリは、乱れていないベッドを見て、全てを察したようでした。
「ーー戻られますか?」
私の祖国に、ということでしょう。
父母は、優しいですからただ出戻っても許してくれるでしょう。
でも。
ただ泣き帰るなんて、そんなの私が許しません。
「いいえ、戻らないわ」
私が首を振ると、ミミリは微笑みました。
「御意のままに」
さぁ、今日から私の復讐のスタートです。
私の言葉がよほど予想外だったのか、ジュリアン殿下は、ぱちぱちと瞬きをされました。
「ええ。ですから、私があなたをーー」
「聞こえている。そうではなくて……」
もちろん、聞こえていたのもわかっていますとも。
ジュリアン殿下は、気まずそうに私を見つめた。
「本気か?」
「ええ、もちろん」
少なくとも今の私は本気でジュリアン殿下のことを愛しているわけではありません。
ただ、あまりにも。
……そう、あまりにも腹が立ったので、私にどっぷり惚れさせてから振る、なんて古今東西やり尽くされた復讐方法をとろうとしているだけで。
「勝手にしろ」
ジュリアン殿下は、少し早口でそういうと、寝室から出て行きました。
既婚者の恋人だか、恋人未満だか知りませんが、その方の元へは流石にいけないでしょうね。
だって、今夜は初夜。
本来なら、夫婦で過ごす大事な夜のはずです。
「……ふ」
私は、ジュリアン殿下が完全に去ったのを確認して、ベッドに寝転がりました。
「……ふふ」
思わず、笑みがこぼれます。
私に愛せない宣言をするとは、よほど、自分に自信があると見えますね。そうでもしないと、哀れに私が愛を乞うとでも思っていたのでしょうか。
親愛ならともかく、情愛なんて。
初対面でなかなか抱くものでもないでしょうに。
ふふ、でも残念です。
哀れに愛を乞うようになるのは、ジュリアン殿下、あなたですよ。
あなたが私を愛さないというのなら、溺れるほど愛して差し上げます。
あなたが私を愛するようになるまで、という期限付きで。
「明日から、楽しい日々になりそうですね」
この予感は絶対に、外れることはないでしょう。
私は一人には広すぎるベッドを堪能しながら、目を閉じました。
◇◇◇
ーー翌朝。
「……おようございます。リーネ殿下」
「おはよう、ミミリ」
ミミリは私の侍女です。ミミリは、乱れていないベッドを見て、全てを察したようでした。
「ーー戻られますか?」
私の祖国に、ということでしょう。
父母は、優しいですからただ出戻っても許してくれるでしょう。
でも。
ただ泣き帰るなんて、そんなの私が許しません。
「いいえ、戻らないわ」
私が首を振ると、ミミリは微笑みました。
「御意のままに」
さぁ、今日から私の復讐のスタートです。
201
お気に入りに追加
762
あなたにおすすめの小説

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のアンジュは、子供の頃から大好きだった幼馴染のデイビッドに5度目の婚約を申し込むものの、断られてしまう。さすがに5度目という事もあり、父親からも諦める様言われてしまった。
自分でも分かっている、もう潮時なのだと。そんな中父親から、留学の話を持ち掛けられた。環境を変えれば、気持ちも落ち着くのではないかと。
彼のいない場所に行けば、彼を忘れられるかもしれない。でも、王都から出た事のない自分が、誰も知らない異国でうまくやっていけるのか…そんな不安から、返事をする事が出来なかった。
そんな中、侯爵令嬢のラミネスから、自分とデイビッドは愛し合っている。彼が騎士団長になる事が決まった暁には、自分と婚約をする事が決まっていると聞かされたのだ。
大きなショックを受けたアンジュは、ついに留学をする事を決意。専属メイドのカリアを連れ、1人留学の先のミラージュ王国に向かったのだが…

もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユリアは、8歳の時に両親を亡くして以降、叔父に引き取られたものの、厄介者として虐げられて生きてきた。さらにこの世界では命を削る魔法と言われている、治癒魔法も長年強要され続けてきた。
そのせいで体はボロボロ、髪も真っ白になり、老婆の様な見た目になってしまったユリア。家の外にも出してもらえず、メイド以下の生活を強いられてきた。まさに、この世の地獄を味わっているユリアだが、“どんな時でも笑顔を忘れないで”という亡き母の言葉を胸に、どんなに辛くても笑顔を絶やすことはない。
そんな辛い生活の中、15歳になったユリアは貴族学院に入学する日を心待ちにしていた。なぜなら、昔自分を助けてくれた公爵令息、ブラックに会えるからだ。
「どうせもう私は長くは生きられない。それなら、ブラック様との思い出を作りたい」
そんな思いで、意気揚々と貴族学院の入学式に向かったユリア。そこで久しぶりに、ブラックとの再会を果たした。相変わらず自分に優しくしてくれるブラックに、ユリアはどんどん惹かれていく。
かつての友人達とも再開し、楽しい学院生活をスタートさせたかのように見えたのだが…
※虐げられてきたユリアが、幸せを掴むまでのお話しです。
ザ・王道シンデレラストーリーが書きたくて書いてみました。
よろしくお願いしますm(__)m

嫌われていると思って彼を避けていたら、おもいっきり愛されていました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のアメリナは、幼馴染の侯爵令息、ルドルフが大好き。ルドルフと少しでも一緒にいたくて、日々奮闘中だ。ただ、以前から自分に冷たいルドルフの態度を気にしていた。
そんなある日、友人たちと話しているルドルフを見つけ、近づこうとしたアメリナだったが
“俺はあんなうるさい女、大嫌いだ。あの女と婚約させられるくらいなら、一生独身の方がいい!”
いつもクールなルドルフが、珍しく声を荒げていた。
うるさい女って、私の事よね。以前から私に冷たかったのは、ずっと嫌われていたからなの?
いつもルドルフに付きまとっていたアメリナは、完全に自分が嫌われていると勘違いし、彼を諦める事を決意する。
一方ルドルフは、今までいつも自分の傍にいたアメリナが急に冷たくなったことで、完全に動揺していた。実はルドルフは、誰よりもアメリナを愛していたのだ。アメリナに冷たく当たっていたのも、アメリナのある言葉を信じたため。
お互い思い合っているのにすれ違う2人。
さらなる勘違いから、焦りと不安を募らせていくルドルフは、次第に心が病んでいき…
※すれ違いからのハッピーエンドを目指していたのですが、なぜかヒーローが病んでしまいました汗
こんな感じの作品ですが、どうぞよろしくお願いしますm(__)m
敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
魔族 vs 人間。
冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。
名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。
人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。
そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。
※※※※※※※※※※※※※
短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。
お付き合い頂けたら嬉しいです!
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

どんなに私が愛しても
豆狸
恋愛
どんなに遠く離れていても、この想いがけして届かないとわかっていても、私はずっと殿下を愛しています。
これからもずっと貴方の幸せを祈り続けています。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる