ヴァンパイア王の唯一妃

夕立悠理

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歯切れ悪く

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「もー、まーた陛下は僕に丸投げして! 花嫁様が美しすぎて、緊張してるのはわかりますけど」
「……え」
 トールと紹介された少年の言葉に、思わずあんぐりと口を開ける。

 私は人間として、ヴァンパイアの王の贄となるためだけに、生きてきた。つまり、血が美味しくなるように、健康的な生活を送らされては来たものの。

 周囲はヴァンパイアつまり、捕食のために美しい顔をしている。そんな中、私の顔はというと、平凡、だなと、自己評価をしてきたけれど。
「……うるさい」
 フェリクス陛下は、小さく悪態をつくとすっ、と私から目を逸らした。
「え」
 否定をしない……の!?

「……なるほど」
 私の表情を見て、なぜか深く頷いたトールは、プラカードを持ったまま、すすすっと扉に近づいた。

「トール、お前から……」
「お断りです。花嫁様と仲良くなるためにも、頑張ってくださいね、陛下」
 そして、扉の外に向かって、「音楽ストップ!」というと、玉座の間から消えていった。
 ようやく、爆音の音楽が止まり、残されたのは、無言の私とフェリクス陛下だ。

「あの……」
 無言に耐えかねた私は、沈黙を打ち破り、思い切って尋ねることにした。
「私は、贄として食べられるのではないのですか?」
 妃になってもらう、というときはわかった、といったけれど。人間、を妃にするヴァンパイア王なんて聞いたことがない。

「……先ほどもトールから説明があった通り、スミレには私の妃になってもらう」
「妃、という身分にした後、食べるのですか?」

 血の口付けを交わした妃の血は王にとってとても甘美である。そして、人間の血はそもそもヴァンパイアにとって最上のエサ。そんな私を妃にしたのは、より美味しい血を飲むため……というのが最も考えられる。

「それは……いずれは……寝所も共にとは思っているが……」
 ぼそぼそと、歯切れ悪く、フェリクス殿下は目を逸らしながらそう言った。
 寝所?
 ……食べるって、性的にってこと?
 いや、私が聞きたいのはそうじゃなくて。

「血を飲み干すのか、ということです」
「飲み干すことはしない」

 強い口調でそう言われたけど。
「スミレは私の妃として、今後生きてもらう。私は浮気をするつもりはないので、食事のために、血をもらうことはあるかもしれないが……」

 夫婦のヴァンパイアの場合、他人から血をもらうのは浮気になる。
 ヴァンパイアの一番の愛し方は、血を与え、吸うことだから。
 
「……わかりました」

 いまだにフェリクス陛下が何を考えているのかわからないけれど。
 どのみち、私に拒否権はないのだ。
 だから、頷いておく。

「理解が早くて助かる。……それで、その。私たちの……」

 なぜか、口ごもったフェリクス陛下に首を傾げる。
「はい、なんでしょうか?」
「結婚式、についてなのだが……」

 
 
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感想 1

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みんなの感想(1件)

まるる
2023.10.03 まるる

ヴァンパイア…偉い人ならきっと純血…

Σ(・o・;) ハッ!…つまり…ピュア❣️

王様からピュアピュアなお砂糖の香りがします‼️
(∩ˊ꒳​ˋ∩)大好物です💕

解除

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