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そのご
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帰り道、思いきって柚くんに相談する。
「下校を別々にしたい?」
「うん、そうなの」
聞き返した柚くんの言葉に頷く。
「なんで?」
「これに通おうと思って」
ばばーん、と掲げたのは、お料理教室のチラシだ。週に一回、夕方からなので、生徒会の仕事がある日でも、ちゃんと通うことができる。
「別に、夏音が料理する必要ないだろ。料理なら、俺がするし。第一、手でも怪我したらどうするんだよ」
柚くんは、優しい。私の心配をしてくれるなんて。お姉ちゃん、感激です。
「ありがとう、柚くん。でも、いつまでも、柚くんに料理を任せっきりって、わけにもいかないと思うの。ほら、私だって、いつかはお嫁に行くこともあるだろうし」
その相手はできたら、工藤くんがいいなぁ、なんて。妄想を私がしていると、柚くんは何かが気にくわなかったのか、急に不機嫌になった。
「あっそ。勝手にすれば、ばか夏音」
ばかって、言うわりにはいつもの覇気がない。どうしちゃったんだろう。
慌てて、柚くんを追いかけて、顔を覗き込む。
「柚くん、どうしたの? 私のこと嫌いになっちゃった?」
やっぱり、姉だと思ってないって、そういう意味?
「そんなわけないだろ、ばか」
「あーっ、またばかっていった。私がばかなんじゃなくて、柚くんが頭よすぎるだけだよ」
私の学力は平均的だ。
「……俺もいく」
「え?」
「俺もその料理教室に行く」
「ええええ!」
柚くんは、お料理教室なんか通わなくてもいいくらいのレベルの腕前だ。
「でも、これって、包丁の持ち方からやるやつだよ?」
「別にいい」
「柚くんには、退屈かも」
「夏音がいるなら、退屈じゃない」
それって、私がトラブルメーカーってことかな? なんて。まあ、柚くんがそういうなら、いっか。
結局、また、柚くんと登下校を一緒にすることになったし、お料理教室も一緒に行くことになった。
……あれ? 私の頼れるお姉ちゃん化計画は?
うん、まぁ、これから! 頑張ろう!!
「下校を別々にしたい?」
「うん、そうなの」
聞き返した柚くんの言葉に頷く。
「なんで?」
「これに通おうと思って」
ばばーん、と掲げたのは、お料理教室のチラシだ。週に一回、夕方からなので、生徒会の仕事がある日でも、ちゃんと通うことができる。
「別に、夏音が料理する必要ないだろ。料理なら、俺がするし。第一、手でも怪我したらどうするんだよ」
柚くんは、優しい。私の心配をしてくれるなんて。お姉ちゃん、感激です。
「ありがとう、柚くん。でも、いつまでも、柚くんに料理を任せっきりって、わけにもいかないと思うの。ほら、私だって、いつかはお嫁に行くこともあるだろうし」
その相手はできたら、工藤くんがいいなぁ、なんて。妄想を私がしていると、柚くんは何かが気にくわなかったのか、急に不機嫌になった。
「あっそ。勝手にすれば、ばか夏音」
ばかって、言うわりにはいつもの覇気がない。どうしちゃったんだろう。
慌てて、柚くんを追いかけて、顔を覗き込む。
「柚くん、どうしたの? 私のこと嫌いになっちゃった?」
やっぱり、姉だと思ってないって、そういう意味?
「そんなわけないだろ、ばか」
「あーっ、またばかっていった。私がばかなんじゃなくて、柚くんが頭よすぎるだけだよ」
私の学力は平均的だ。
「……俺もいく」
「え?」
「俺もその料理教室に行く」
「ええええ!」
柚くんは、お料理教室なんか通わなくてもいいくらいのレベルの腕前だ。
「でも、これって、包丁の持ち方からやるやつだよ?」
「別にいい」
「柚くんには、退屈かも」
「夏音がいるなら、退屈じゃない」
それって、私がトラブルメーカーってことかな? なんて。まあ、柚くんがそういうなら、いっか。
結局、また、柚くんと登下校を一緒にすることになったし、お料理教室も一緒に行くことになった。
……あれ? 私の頼れるお姉ちゃん化計画は?
うん、まぁ、これから! 頑張ろう!!
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