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放置された初夜
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その人は噂に違わず、とても冷徹な瞳をしていた。ブルーサファイアを閉じ込めたような瞳には、一切の情も感じられない。
「僕は、君を……」
その先に続くのは、おそらく愛することはない、でしょうね。
わたしは、その言葉を最後まで聞かずに微笑んだ。
「わかります。旦那さまのおっしゃりたいことが。かしこまりました。わたしのことはどうぞ、ご心配なく」
精一杯、美しく見えるといいと思う。今日のために仕立てられたナイトドレスも、たくさんの薬草から抽出した香油も、わたしの味方だ。だから、まだ。まだ、我慢しなくっちゃ。
震える手を隠すように握りこむ。
そんなわたしに鼻をひとつならすと、旦那さまは、
「この部屋は、君の好きに使うといい」
といって、去っていった。
足音が遠ざかるのをしっかりと確認して、一人では広すぎるベッドに横たわり、枕とシーツに顔を埋める。
この部屋は防音対策バッチリだと、侍女のメヴィーがいっていた。
つまり、もう、我慢しなくてもいい。
「旦那さまのお顔がかっこいいー!!!! お顔が眩しすぎるわ。あんなに美しい人と結婚できるなんて、超絶ラッキー!」
ようやく叫ぶことができた。
はぁー、すっきり。
わたしを愛することはない?
関係ないわ。
なぜなら、わたしは、極度の面食いだから!
お顔さえ美しければ、誰でも愛せる。
結婚式の時から思ってたけど、旦那さまってばめちゃくちゃかっこいい。わたしのイケメンランキング歴代二位に入る美しさだわ。
今日からわたしのハッピー新婚生活が始まるのだ。
「僕は、君を……」
その先に続くのは、おそらく愛することはない、でしょうね。
わたしは、その言葉を最後まで聞かずに微笑んだ。
「わかります。旦那さまのおっしゃりたいことが。かしこまりました。わたしのことはどうぞ、ご心配なく」
精一杯、美しく見えるといいと思う。今日のために仕立てられたナイトドレスも、たくさんの薬草から抽出した香油も、わたしの味方だ。だから、まだ。まだ、我慢しなくっちゃ。
震える手を隠すように握りこむ。
そんなわたしに鼻をひとつならすと、旦那さまは、
「この部屋は、君の好きに使うといい」
といって、去っていった。
足音が遠ざかるのをしっかりと確認して、一人では広すぎるベッドに横たわり、枕とシーツに顔を埋める。
この部屋は防音対策バッチリだと、侍女のメヴィーがいっていた。
つまり、もう、我慢しなくてもいい。
「旦那さまのお顔がかっこいいー!!!! お顔が眩しすぎるわ。あんなに美しい人と結婚できるなんて、超絶ラッキー!」
ようやく叫ぶことができた。
はぁー、すっきり。
わたしを愛することはない?
関係ないわ。
なぜなら、わたしは、極度の面食いだから!
お顔さえ美しければ、誰でも愛せる。
結婚式の時から思ってたけど、旦那さまってばめちゃくちゃかっこいい。わたしのイケメンランキング歴代二位に入る美しさだわ。
今日からわたしのハッピー新婚生活が始まるのだ。
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