7 / 9
悪魔と部屋
しおりを挟む
――とりあえず、一旦寮の自室に戻ることにした。
教師たちへの説明だとか、めんどくさいことは、明日の私に任せよう。
「ここが、ナツの部屋……ですか」
私の部屋……というか、一軒家のような寮を見て、アザグリールが眉を顰める。
「ええ、そうよ」
この学園は、絶対的な階級社会だ。
一流の悪魔召喚の腕を持てば持つほど、良い場所にすめるし、良い待遇が受けられる。
このぼろ……趣がある私しか住んでいない寮は、私がこの学園の底辺である証だった。
でも、丁度良かったわ。
アザグリールの姿を、他の誰にも見られずにすむ。
「明日からのことだけど……」
話し合わなくちゃ。
少なくとも、アザグリールの設定を作りこまないと……。
そう思うのに、ベッドに腰かけた瞬間、なぜだか、強烈な眠気を感じた。
瞼が重い。
「大丈夫ですよ、ナツネ」
「……だいじょうぶ、なわけ、」
眠気で頭がふわふわする。
「大丈夫」
あぁ、もうだめ、眠い。
柔らかいものが、額に触れたのを最後に、私は意識を失った。
◇◇◇
「……ん、ふわぁぁ」
ベッドから起き上がって、伸びをする。
昨日は、なんだか安心して眠れた気がする。
ひびが入った見慣れた天井を見――。
「ん!?」
ひびがはいっていない!?
それどころか、ぴかぴかに磨き上げられている!?
「ええ、私もしかして……」
別の人の部屋に間違えて入った!?
いえ、でもそもそも私の寮は私しか暮らしていないはずだし……。
「あぁ、起きましたか、ナツネ。おはようございます」
「……おはよう、アザグリール」
にこやかな笑みを浮かべたアザグリールは今日も彫像のように整っていた。
……どうやら間違ってアザグリールを召喚してしまったのは、昨日見た夢じゃなかったみたいだ。
「どうです? 少し内装をいじってみたのですが……」
「少しなんてレベルじゃないわ!」
ひび一つない天井に、品よく整えられた調度品、極めつきはふかふかな天蓋付きのベットだ。
「お気に召しませんでした?」
「とんでもない!」
本音を言うなら、すごく嬉しい。
でも……。
「それで、代償は?」
「……え?」
いやいやいや、そんな初めて聞く言葉のように瞬きされても。
「悪魔が願いを叶えるには、代償がつきものでしょう。代わりに何を求めるの?」
相手は、高位悪魔だ。
魔力で手が打てるなら、私は魔力量だけは馬鹿みたいにあるし、一番嬉しいけれど。
そうはいかないわよね。
「とりませんよ? だって、俺あなたのことが好きですし」
教師たちへの説明だとか、めんどくさいことは、明日の私に任せよう。
「ここが、ナツの部屋……ですか」
私の部屋……というか、一軒家のような寮を見て、アザグリールが眉を顰める。
「ええ、そうよ」
この学園は、絶対的な階級社会だ。
一流の悪魔召喚の腕を持てば持つほど、良い場所にすめるし、良い待遇が受けられる。
このぼろ……趣がある私しか住んでいない寮は、私がこの学園の底辺である証だった。
でも、丁度良かったわ。
アザグリールの姿を、他の誰にも見られずにすむ。
「明日からのことだけど……」
話し合わなくちゃ。
少なくとも、アザグリールの設定を作りこまないと……。
そう思うのに、ベッドに腰かけた瞬間、なぜだか、強烈な眠気を感じた。
瞼が重い。
「大丈夫ですよ、ナツネ」
「……だいじょうぶ、なわけ、」
眠気で頭がふわふわする。
「大丈夫」
あぁ、もうだめ、眠い。
柔らかいものが、額に触れたのを最後に、私は意識を失った。
◇◇◇
「……ん、ふわぁぁ」
ベッドから起き上がって、伸びをする。
昨日は、なんだか安心して眠れた気がする。
ひびが入った見慣れた天井を見――。
「ん!?」
ひびがはいっていない!?
それどころか、ぴかぴかに磨き上げられている!?
「ええ、私もしかして……」
別の人の部屋に間違えて入った!?
いえ、でもそもそも私の寮は私しか暮らしていないはずだし……。
「あぁ、起きましたか、ナツネ。おはようございます」
「……おはよう、アザグリール」
にこやかな笑みを浮かべたアザグリールは今日も彫像のように整っていた。
……どうやら間違ってアザグリールを召喚してしまったのは、昨日見た夢じゃなかったみたいだ。
「どうです? 少し内装をいじってみたのですが……」
「少しなんてレベルじゃないわ!」
ひび一つない天井に、品よく整えられた調度品、極めつきはふかふかな天蓋付きのベットだ。
「お気に召しませんでした?」
「とんでもない!」
本音を言うなら、すごく嬉しい。
でも……。
「それで、代償は?」
「……え?」
いやいやいや、そんな初めて聞く言葉のように瞬きされても。
「悪魔が願いを叶えるには、代償がつきものでしょう。代わりに何を求めるの?」
相手は、高位悪魔だ。
魔力で手が打てるなら、私は魔力量だけは馬鹿みたいにあるし、一番嬉しいけれど。
そうはいかないわよね。
「とりませんよ? だって、俺あなたのことが好きですし」
63
お気に入りに追加
204
あなたにおすすめの小説
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ヒロインではないので婚約解消を求めたら、逆に追われ監禁されました。
曼珠沙華
恋愛
「運命の人?そんなの君以外に誰がいるというの?」
きっかけは幼い頃の出来事だった。
ある豪雨の夜、窓の外を眺めていると目の前に雷が落ちた。
その光と音の刺激のせいなのか、ふと前世の記憶が蘇った。
あ、ここは前世の私がはまっていた乙女ゲームの世界。
そしてローズという自分の名前。
よりにもよって悪役令嬢に転生していた。
攻略対象たちと恋をできないのは残念だけど仕方がない。
婚約者であるウィリアムに婚約破棄される前に、自ら婚約解消を願い出た。
するとウィリアムだけでなく、護衛騎士ライリー、義弟ニコルまで様子がおかしくなり……?
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
女性が少ない世界へ異世界転生してしまった件
りん
恋愛
水野理沙15歳は鬱だった。何で生きているのかわからないし、将来なりたいものもない。親は馬鹿で話が通じない。生きても意味がないと思い自殺してしまった。でも、死んだと思ったら異世界に転生していてなんとそこは男女500:1の200年後の未来に転生してしまった。
サラシがちぎれた男装騎士の私、初恋の陛下に【女体化の呪い】だと勘違いされました。
ゆちば
恋愛
ビリビリッ!
「む……、胸がぁぁぁッ!!」
「陛下、声がでかいです!」
◆
フェルナン陛下に密かに想いを寄せる私こと、護衛騎士アルヴァロ。
私は女嫌いの陛下のお傍にいるため、男のフリをしていた。
だがある日、黒魔術師の呪いを防いだ際にサラシがちぎれてしまう。
たわわなたわわの存在が顕になり、絶対絶命の私に陛下がかけた言葉は……。
「【女体化の呪い】だ!」
勘違いした陛下と、今度は男→女になったと偽る私の恋の行き着く先は――?!
勢い強めの3万字ラブコメです。
全18話、5/5の昼には完結します。
他のサイトでも公開しています。
男女比がおかしい世界にオタクが放り込まれました
かたつむり
恋愛
主人公の本条 まつりはある日目覚めたら男女比が40:1の世界に転生してしまっていた。
「日本」とは似てるようで違う世界。なんてったって私の推しキャラが存在してない。生きていけるのか????私。無理じゃね?
周りの溺愛具合にちょっぴり引きつつ、なんだかんだで楽しく過ごしたが、高校に入学するとそこには前世の推しキャラそっくりの男の子。まじかよやったぜ。
※この作品の人物および設定は完全フィクションです
※特に内容に影響が無ければサイレント編集しています。
※一応短編にはしていますがノープランなのでどうなるかわかりません。(2021/8/16 長編に変更しました。)
※処女作ですのでご指摘等頂けると幸いです。
※作者の好みで出来ておりますのでご都合展開しかないと思われます。ご了承下さい。
最推しの幼馴染に転生できた!彼とあの子をくっつけよう!
下菊みこと
恋愛
ポンコツボンクラアホの子主人公と、彼女に人生めちゃくちゃにされたからめちゃくちゃに仕返したヤンデレ幼馴染くん(主人公の最推し)のどこまでもすれ違ってるお話。
多分エンドの後…いつかは和解できるんじゃないかな…多分…。
転生、ヤンデレ、洗脳、御都合主義なお話。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる