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無駄じゃない
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(ラファリア視点)
……それから、アギノに今日の歌を歌った。
アギノは、やっと本当の声を聞けたのと、はしゃぎすぎで、すぐに眠ってしまった。
「……ふふ」
私の腕の中で、お腹を見せて眠っているアギノを見て、微笑む。
アドルリアでは今までいろいろなことがあったけれど。
こうして、アギノに歌を届ける技術があるのは、アドルリアでの日々があったからだ。
全部無駄じゃない。
こうして、今の私に繋がってる。
「……ラファリア」
アギノが眠っているからか、小声でガロンさんが話しかけてきた。
「……はい」
私も小声で答える。
「大事な話がある。少し、いいだろうか」
「……わかりました」
アギノを部屋まで運び、ベッドに寝かせてから、ガロンさんと部屋を離れる。
ガロンさんについていくと、連れられたのは、魔国中が見渡せる、屋上だった。
星がきらきらと煌めいていて、ガロンさんの瞳のようだ。
「ラファリア……」
「……はい」
そうだ、私も謝らなければならないことがある。
「申し訳ございませんでした!」
「すまなかった!!!」
「……え?」
「は?」
二人とも謝罪していて、お互いの謝罪に疑問を思っていることが見て取れた。
「なぜ、あなたが謝る必要が?」
「それを言うならガロンさんですよ。ガロンさんに謝られることなんて、ひとつもないです」
今日だって、約束通り、私が危機を感じたときに駆け付けてくれたのに。
「それは……昨日あなたを傷つけたから」
「いいえ、違います。私が悪かったんです」
私は首を振って、ガロンさんを見つめる。
「私、ずっとガロンさんに甘えていたんです」
「………………は?」
ガロンさんが、ぱちぱちと瞬きをする。
よほど、予想外だったことみたいだ。
「あなたが、私に甘えている……?」
「はい。距離を見誤りすぎていました。申し訳ございません」
腰を深く折ろうとすると、ガロンさんに手を掴まれた。
「ガロンさん……?」
ガロンさんの片手は、綺麗な顔を覆い隠している。
「どうしたんですか?」
「あー……その、なんというか……その」
歯切れが悪いガロンさんに、首を傾げる。
「……ガロンさん?」
「今、表情筋を鍛えなおしているから、待ってくれ」
……どういうこと????
「ガロンさん、顔を見せてください」
「ちょっと、待ってくれ」
私は、ガロンさんに近づくと、顔を覗き込んだ。
顔は、やっぱり、手で隠されて見えないけれど。
耳は、真っ赤だった。
「ガロンさん、耳が真っ赤ですよ!? 寒いですか?」
「ち、ちがう……!」
ガロンさんは、顔から手を離した。
「……あっ」
ガロンさんの口元が見える。嬉しそうに緩んでいた。
「……だから、見られたくなかったのに」
ばつが悪そうに、顔を背けたガロンさんに首を傾げる。
「柔らかい表情のガロンさんも素敵だと思いますが……でも、どうして?」
「だって、好きなひとに甘えられて嬉しくない男はいない……!?」
ガロンさんは、自分でいいきった後、驚いたように、口を押えていた。
「……え?」
ガロンさん、今、なんて?
……それから、アギノに今日の歌を歌った。
アギノは、やっと本当の声を聞けたのと、はしゃぎすぎで、すぐに眠ってしまった。
「……ふふ」
私の腕の中で、お腹を見せて眠っているアギノを見て、微笑む。
アドルリアでは今までいろいろなことがあったけれど。
こうして、アギノに歌を届ける技術があるのは、アドルリアでの日々があったからだ。
全部無駄じゃない。
こうして、今の私に繋がってる。
「……ラファリア」
アギノが眠っているからか、小声でガロンさんが話しかけてきた。
「……はい」
私も小声で答える。
「大事な話がある。少し、いいだろうか」
「……わかりました」
アギノを部屋まで運び、ベッドに寝かせてから、ガロンさんと部屋を離れる。
ガロンさんについていくと、連れられたのは、魔国中が見渡せる、屋上だった。
星がきらきらと煌めいていて、ガロンさんの瞳のようだ。
「ラファリア……」
「……はい」
そうだ、私も謝らなければならないことがある。
「申し訳ございませんでした!」
「すまなかった!!!」
「……え?」
「は?」
二人とも謝罪していて、お互いの謝罪に疑問を思っていることが見て取れた。
「なぜ、あなたが謝る必要が?」
「それを言うならガロンさんですよ。ガロンさんに謝られることなんて、ひとつもないです」
今日だって、約束通り、私が危機を感じたときに駆け付けてくれたのに。
「それは……昨日あなたを傷つけたから」
「いいえ、違います。私が悪かったんです」
私は首を振って、ガロンさんを見つめる。
「私、ずっとガロンさんに甘えていたんです」
「………………は?」
ガロンさんが、ぱちぱちと瞬きをする。
よほど、予想外だったことみたいだ。
「あなたが、私に甘えている……?」
「はい。距離を見誤りすぎていました。申し訳ございません」
腰を深く折ろうとすると、ガロンさんに手を掴まれた。
「ガロンさん……?」
ガロンさんの片手は、綺麗な顔を覆い隠している。
「どうしたんですか?」
「あー……その、なんというか……その」
歯切れが悪いガロンさんに、首を傾げる。
「……ガロンさん?」
「今、表情筋を鍛えなおしているから、待ってくれ」
……どういうこと????
「ガロンさん、顔を見せてください」
「ちょっと、待ってくれ」
私は、ガロンさんに近づくと、顔を覗き込んだ。
顔は、やっぱり、手で隠されて見えないけれど。
耳は、真っ赤だった。
「ガロンさん、耳が真っ赤ですよ!? 寒いですか?」
「ち、ちがう……!」
ガロンさんは、顔から手を離した。
「……あっ」
ガロンさんの口元が見える。嬉しそうに緩んでいた。
「……だから、見られたくなかったのに」
ばつが悪そうに、顔を背けたガロンさんに首を傾げる。
「柔らかい表情のガロンさんも素敵だと思いますが……でも、どうして?」
「だって、好きなひとに甘えられて嬉しくない男はいない……!?」
ガロンさんは、自分でいいきった後、驚いたように、口を押えていた。
「……え?」
ガロンさん、今、なんて?
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