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穏やかな一日
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「! そうなんですね」
思わず胸元に手を当てる。ちりん、と鈴が鳴った。
私がアギノの世話係である証。
「ところでユグ……」
ユグに魔道具を返そうとすると、ユグは微笑んだ。
「そちらは、よろしければ貰っていただけませんか?」
「え、でも……」
いいのだろうか元々は魔国の人間ではない私が持っていて。
私の考えが顔に出ていたようで、安心させるようにユグは頷いた。
「はい。魔国を知りたいと言ってくださったお礼です。それに、ラファリア様は、闇獣の世話係ですから」
「!」
そうだ。闇獣の世話係ということは、もうこの国の一員なんだ。
元々はアドルリアの人間でも、今の私の居場所はこの国だものね。
「ありがとうございます!」
「どういたしまして」
ユグが微笑む。
魔道具も心なしか、笑っている気がした。
◇◇◇
その後もしばらく、王都内を探索し、魔王城へ帰ってきた。
「ユグ、案内と魔道具をありがとうございました」
「いいえ。私もとても楽しかったです」
とってもとっても楽しかったわ!
魔国や闇獣について、以前よりも深く知ることができた気がする。
その後、お風呂に入って、夕食をとり、ベッドに寝転がる。
枕元には、ユグから貰った魔道具とガロンさんから貰ったサシェを置いている。
「……ふふ」
どちらも、魔国に来てもらったもの。
新しい生活の証だった。
「明日はどんな1日かしら」
明日のことは明日にならないとわからないけれど。それでも、いい日になると確信を持って思える。
それは、私が魔国に来てたくさんの温かい人たちに触れたから。
「私もなにか恩返しができたら、いいな……」
与えられるばかりではなく、誰かに喜んでもらえるように。
まずは、闇獣の世話係としての仕事。
そして、その仕事を充実させるための練習。
その他に、私ができそうなのは……。
そんなことをつらつらと考えていると眠くなってきた。
サシェをぎゅっと抱きしめる。
いい香りが、体を包み込んだ。なぜだか、どこか懐かしくも感じるその香りに包まれながら、私は眠りへと落ちて行った。
思わず胸元に手を当てる。ちりん、と鈴が鳴った。
私がアギノの世話係である証。
「ところでユグ……」
ユグに魔道具を返そうとすると、ユグは微笑んだ。
「そちらは、よろしければ貰っていただけませんか?」
「え、でも……」
いいのだろうか元々は魔国の人間ではない私が持っていて。
私の考えが顔に出ていたようで、安心させるようにユグは頷いた。
「はい。魔国を知りたいと言ってくださったお礼です。それに、ラファリア様は、闇獣の世話係ですから」
「!」
そうだ。闇獣の世話係ということは、もうこの国の一員なんだ。
元々はアドルリアの人間でも、今の私の居場所はこの国だものね。
「ありがとうございます!」
「どういたしまして」
ユグが微笑む。
魔道具も心なしか、笑っている気がした。
◇◇◇
その後もしばらく、王都内を探索し、魔王城へ帰ってきた。
「ユグ、案内と魔道具をありがとうございました」
「いいえ。私もとても楽しかったです」
とってもとっても楽しかったわ!
魔国や闇獣について、以前よりも深く知ることができた気がする。
その後、お風呂に入って、夕食をとり、ベッドに寝転がる。
枕元には、ユグから貰った魔道具とガロンさんから貰ったサシェを置いている。
「……ふふ」
どちらも、魔国に来てもらったもの。
新しい生活の証だった。
「明日はどんな1日かしら」
明日のことは明日にならないとわからないけれど。それでも、いい日になると確信を持って思える。
それは、私が魔国に来てたくさんの温かい人たちに触れたから。
「私もなにか恩返しができたら、いいな……」
与えられるばかりではなく、誰かに喜んでもらえるように。
まずは、闇獣の世話係としての仕事。
そして、その仕事を充実させるための練習。
その他に、私ができそうなのは……。
そんなことをつらつらと考えていると眠くなってきた。
サシェをぎゅっと抱きしめる。
いい香りが、体を包み込んだ。なぜだか、どこか懐かしくも感じるその香りに包まれながら、私は眠りへと落ちて行った。
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