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お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね?
フィナーレ
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ついに、この日がやってきた。お兄ちゃんたちの卒業式だ。卒業式は、つつがなく、終わった。愛梨ちゃんの送辞とお兄ちゃんの答辞はすばらしく、私は卒業生じゃないのに、思わず泣いてしまった。
最後のホームルームは長くなるだろうし、先に帰っていていいよと言われたけれど、なんだか家に帰る気にもなれず、生徒会室で余韻にひたっていた。生徒会役員が交代してもときどき困ったことはないかって、訪ねてきてくれてたから、そんなに寂しくなかったけど、もう、そんなこともなくなるんだよね。
「朱里?」
見知った声に驚いて振り向くと、お兄ちゃんだった。
「最後にもう一度生徒会室を眺めておこうと思って」
「そっか」
お兄ちゃんは生徒会室を見回すと、懐かしむように微笑んだ。
「これからは、本当に朱里たちの時代だね。今日の中原さんの送辞で、ああ、もう心配しなくても大丈夫だなって、思ったよ。大変なことのほうが多いと思うけど、頑張ってね」
ぽん、とお兄ちゃんが私の頭に手をのせる。
「……うん」
やばい。さっき、涙をふいたばかりなのに、もう、学校でお兄ちゃんに会えないんだと思うと、泣きそう。
「僕は、ひとまず先に大学で待ってるから」
お兄ちゃんは、見事志望していた大学に合格していた。
「うん。すぐに追い付くから……だから、待っててね」
「色々なことがあったね」
「うん」
本当にここにくるまで、色々なことがあった。特に高校三年生の一年間は、忘れることはないだろう。生徒会の副会長も大変だったし、お兄ちゃんとの遠距離恋愛も寂しくて、毎日電話もメールもしてるのに、寂しくて、死にそうだった。一度、我慢してたのに会いたいって、いっちゃったら、お兄ちゃんが翌日始発の新幹線で、会いに来てくれて、すごく嬉しかった。お兄ちゃんと同じ大学に通えたのも嬉しかったなぁ。大学に通っている間は、同棲もできたし。でも、まさか愛梨ちゃんまで同じ大学を目指してたなんて、おもいもよらなかった。だから、お兄ちゃんをめぐるバトルは、大学を卒業するまでも続いたんだよね。うん、あれは今思い返しても壮絶な戦いだった。
でも、全部思い返すといい思い出だ。
「……お兄ちゃん」
「もう、お兄ちゃんじゃないよ」
そうだった。ついくせで呼んじゃった自分に苦笑して言い直す。
「優くん、私とであってくれて、私を好きになってくれてありがとう」
「こちらこそ、生まれてきてくれて、僕を好きになってくれて、ありがとう。朱里、ずっと、ずっと愛してるよ」
「私も、愛してる」
優くんの顔がゆっくり近づく。遠くで鐘の音が聞こえた。その音ではっとする。
「はやくいかなきゃ! いつまで控え室にいるんだって、どやされちゃうよ」
「朱里……タイミングって知ってる?」
「し、知ってるよ、もちろん! でも、もういかなきゃ」
「……まぁ、いいや。奥さん、今夜は覚悟しててよね」
……覚悟? なんだか、嫌な予感がする。
「今夜は寝かさないから」
そういって、優くんは、私の頬に口づけた。固まっている私の手を笑いながら、引っ張る。
「さぁ、いこうか」
いつだって、貴方がいる場所が、光差すほうだ。これからも、愛しい旦那様の手を離さずに、歩いていく。私の人生は、始まったばかりだ。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ここまで長い間お付き合い頂きました皆様、ありがとうございます。本当は、遠距離編とか、大学編とかも考えていたのですが、あまりに長くなりそうなので、ここでひとまずしめさせていただきたいと思います。最後が駆け足ぎみになってしまいましたが、少しでもお楽しみ頂けましたなら、幸いです!
最後のホームルームは長くなるだろうし、先に帰っていていいよと言われたけれど、なんだか家に帰る気にもなれず、生徒会室で余韻にひたっていた。生徒会役員が交代してもときどき困ったことはないかって、訪ねてきてくれてたから、そんなに寂しくなかったけど、もう、そんなこともなくなるんだよね。
「朱里?」
見知った声に驚いて振り向くと、お兄ちゃんだった。
「最後にもう一度生徒会室を眺めておこうと思って」
「そっか」
お兄ちゃんは生徒会室を見回すと、懐かしむように微笑んだ。
「これからは、本当に朱里たちの時代だね。今日の中原さんの送辞で、ああ、もう心配しなくても大丈夫だなって、思ったよ。大変なことのほうが多いと思うけど、頑張ってね」
ぽん、とお兄ちゃんが私の頭に手をのせる。
「……うん」
やばい。さっき、涙をふいたばかりなのに、もう、学校でお兄ちゃんに会えないんだと思うと、泣きそう。
「僕は、ひとまず先に大学で待ってるから」
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「うん。すぐに追い付くから……だから、待っててね」
「色々なことがあったね」
「うん」
本当にここにくるまで、色々なことがあった。特に高校三年生の一年間は、忘れることはないだろう。生徒会の副会長も大変だったし、お兄ちゃんとの遠距離恋愛も寂しくて、毎日電話もメールもしてるのに、寂しくて、死にそうだった。一度、我慢してたのに会いたいって、いっちゃったら、お兄ちゃんが翌日始発の新幹線で、会いに来てくれて、すごく嬉しかった。お兄ちゃんと同じ大学に通えたのも嬉しかったなぁ。大学に通っている間は、同棲もできたし。でも、まさか愛梨ちゃんまで同じ大学を目指してたなんて、おもいもよらなかった。だから、お兄ちゃんをめぐるバトルは、大学を卒業するまでも続いたんだよね。うん、あれは今思い返しても壮絶な戦いだった。
でも、全部思い返すといい思い出だ。
「……お兄ちゃん」
「もう、お兄ちゃんじゃないよ」
そうだった。ついくせで呼んじゃった自分に苦笑して言い直す。
「優くん、私とであってくれて、私を好きになってくれてありがとう」
「こちらこそ、生まれてきてくれて、僕を好きになってくれて、ありがとう。朱里、ずっと、ずっと愛してるよ」
「私も、愛してる」
優くんの顔がゆっくり近づく。遠くで鐘の音が聞こえた。その音ではっとする。
「はやくいかなきゃ! いつまで控え室にいるんだって、どやされちゃうよ」
「朱里……タイミングって知ってる?」
「し、知ってるよ、もちろん! でも、もういかなきゃ」
「……まぁ、いいや。奥さん、今夜は覚悟しててよね」
……覚悟? なんだか、嫌な予感がする。
「今夜は寝かさないから」
そういって、優くんは、私の頬に口づけた。固まっている私の手を笑いながら、引っ張る。
「さぁ、いこうか」
いつだって、貴方がいる場所が、光差すほうだ。これからも、愛しい旦那様の手を離さずに、歩いていく。私の人生は、始まったばかりだ。
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ここまで長い間お付き合い頂きました皆様、ありがとうございます。本当は、遠距離編とか、大学編とかも考えていたのですが、あまりに長くなりそうなので、ここでひとまずしめさせていただきたいと思います。最後が駆け足ぎみになってしまいましたが、少しでもお楽しみ頂けましたなら、幸いです!
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