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宣戦布告
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二学期に入った。まだ暑さは残るものの、風はすっかり秋めいている。よし、今日から頑張るぞ。
とりあえず、彩月ちゃんに、亮くんとのことを報告する。やっぱり私は、お兄ちゃんのことが好きなこと。だから、亮くんとは別れたこと。
「でも、今日みた感じ、田中とは普通に話せてたね」
「それは、亮くんが優しいからだと思う」
亮くんは、私と別れたからといって、私を避けることはなかった。以前のように、友達として、私たちは仲良くしている。けれど、それは亮くんの気遣いあってのものだ。それを忘れないようにしないと。
「でも、その田中と別れてまで、小鳥遊先輩のことを選んだわけでしょう。だったら、頑張らないとね」
「うん」
亮くんとも約束した。お兄ちゃんを諦めないで、頑張るって。だから、やれるだけのことは精一杯、やるって決めた。
だから、その前に私は、もう一人、話さなくてはいけない人がいる。
生徒会の仕事を終えた放課後。私は、愛梨ちゃんを喫茶店に誘った。愛梨ちゃんを私から誘うのは初めてなので、少し緊張したけれど、愛梨ちゃんは頷いてくれた。
「それで話って?」
緊張でぎゅっと、手を握る。深く息を吸い込んだ。
「ごめんなさい、私はもうお兄ちゃんとのこと協力できない」
まあ、そもそも協力といっても何もできなかったけれど。愛梨ちゃんに協力を頼まれて、それを私が受け入れた以上、筋は通すべきだと思った。私が愛梨ちゃんに頭を下げると愛梨ちゃんは意外そうに眉を上げた。
「どうして?」
愛梨ちゃんの目をまっすぐに見る。
「私も……、私も、お兄ちゃんのことが好きだから」
「……そっか」
わかったよ、と愛梨ちゃんは頷いた後、弾けるような顔で笑った。
「でも、私、ずっと小鳥遊先輩の側にいたのに、なんにもしてこなかった朱里ちゃんに負けるつもりはないから」
そういって、愛梨ちゃんは席を立つ。愛梨ちゃんの言う通りだ。私は、ずっとずっとお兄ちゃんが好きだったけれど、その恋を実らせる為にちゃんとした努力をしてこなかった。いつも、鬱陶しいくらいお兄ちゃんの後をついて回っていただけだ。
でも。これからの私は、違う。
「私も負けない」
この世界のヒーローはお兄ちゃんで、ヒロインは、愛梨ちゃんだ。でも、私はお兄ちゃんを好きな気持ちは、愛梨ちゃんに負けるつもりはなかった。だから、努力を惜しまない。頑張るって決めたから。
「そっか、じゃあ、これからは私たちライバルだね」
「うん」
私たちの目線が合う。こうして、私たちの戦いの火蓋は切られたのだった。
とりあえず、彩月ちゃんに、亮くんとのことを報告する。やっぱり私は、お兄ちゃんのことが好きなこと。だから、亮くんとは別れたこと。
「でも、今日みた感じ、田中とは普通に話せてたね」
「それは、亮くんが優しいからだと思う」
亮くんは、私と別れたからといって、私を避けることはなかった。以前のように、友達として、私たちは仲良くしている。けれど、それは亮くんの気遣いあってのものだ。それを忘れないようにしないと。
「でも、その田中と別れてまで、小鳥遊先輩のことを選んだわけでしょう。だったら、頑張らないとね」
「うん」
亮くんとも約束した。お兄ちゃんを諦めないで、頑張るって。だから、やれるだけのことは精一杯、やるって決めた。
だから、その前に私は、もう一人、話さなくてはいけない人がいる。
生徒会の仕事を終えた放課後。私は、愛梨ちゃんを喫茶店に誘った。愛梨ちゃんを私から誘うのは初めてなので、少し緊張したけれど、愛梨ちゃんは頷いてくれた。
「それで話って?」
緊張でぎゅっと、手を握る。深く息を吸い込んだ。
「ごめんなさい、私はもうお兄ちゃんとのこと協力できない」
まあ、そもそも協力といっても何もできなかったけれど。愛梨ちゃんに協力を頼まれて、それを私が受け入れた以上、筋は通すべきだと思った。私が愛梨ちゃんに頭を下げると愛梨ちゃんは意外そうに眉を上げた。
「どうして?」
愛梨ちゃんの目をまっすぐに見る。
「私も……、私も、お兄ちゃんのことが好きだから」
「……そっか」
わかったよ、と愛梨ちゃんは頷いた後、弾けるような顔で笑った。
「でも、私、ずっと小鳥遊先輩の側にいたのに、なんにもしてこなかった朱里ちゃんに負けるつもりはないから」
そういって、愛梨ちゃんは席を立つ。愛梨ちゃんの言う通りだ。私は、ずっとずっとお兄ちゃんが好きだったけれど、その恋を実らせる為にちゃんとした努力をしてこなかった。いつも、鬱陶しいくらいお兄ちゃんの後をついて回っていただけだ。
でも。これからの私は、違う。
「私も負けない」
この世界のヒーローはお兄ちゃんで、ヒロインは、愛梨ちゃんだ。でも、私はお兄ちゃんを好きな気持ちは、愛梨ちゃんに負けるつもりはなかった。だから、努力を惜しまない。頑張るって決めたから。
「そっか、じゃあ、これからは私たちライバルだね」
「うん」
私たちの目線が合う。こうして、私たちの戦いの火蓋は切られたのだった。
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