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まどろみ
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「なるほど。それで、付き合うことになった、と」
「うん」
翌日の放課後、喫茶店で彩月ちゃんと話す。
「へぇ、田中そんなこと言うなんてかっこいいね。好きかもしれない人って、小鳥遊先輩、でしょ? そのことは話した?」
「ううん、誰かまでは言ってないよ」
亮くんは聞かなかったから、私もわざわざ言うことではないかなと思い、言っていない。
「じゃあ、逆に小鳥遊先輩に、彼氏ができたって、話した?」
「お兄ちゃん? ううん、話してないよ」
初めての彼氏ができたなんて気恥ずかしくて、家族の誰にも言っていない。私がそう言うと、彩月ちゃんはオレンジジュースを、ストローでかき混ぜながら、頷いた。
「なるほどね。さて、田中の存在に気づいたら、小鳥遊先輩はどうでるのかな」
「でるって、何が?」
「秘密」
楽しそうに笑ったあと、オレンジジュースを飲み干して、彩月ちゃんはじゃあ塾だから、と行ってしまったので、私も帰る。
それにしても、彼氏、かぁ。昨日のことだし、なんだか、あまり実感がなかったけれど、彩月ちゃんと話してやっと、少し現実味を帯びた気がする。
「いい彼女になれるように、頑張ろう」
夜。リビングで、テレビを見ていると、亮くんからメールが来た。今までだったら、リビングでそのまま返事をしていたんだけど、やっぱりどこか気恥ずかしくて、二階にあがって自分の部屋で返信する。
メールには、今日も一日お疲れ様、とおやすみ、と書かれていた。
本当に何気ないことだけれど、おやすみとメールを送り合うやり取りが、くすぐったい。
思わずにやけながら、ベッドに飛び込む。
彼氏ってすごいなぁ。できたら、世界が変わるって誰かがいってたけど、その通りだ。
そういえば、昔は最初で最後の彼氏は、お兄ちゃんになってもらうのだと、夢見ていた。
でも、もしかしたら、本当に亮くんが私にとって、最初で最後の彼氏になる可能性だってあるよね。ずっと、ずっと付き合って、それで──。
「いやいやいやいや」
さすがに、それは重いよね。私も亮くんも高校生なんだし、まだ、先のことはわからない。
それでも。できるだけこの時間が続けばいいのにな。そう思いながら、眠った。
「うん」
翌日の放課後、喫茶店で彩月ちゃんと話す。
「へぇ、田中そんなこと言うなんてかっこいいね。好きかもしれない人って、小鳥遊先輩、でしょ? そのことは話した?」
「ううん、誰かまでは言ってないよ」
亮くんは聞かなかったから、私もわざわざ言うことではないかなと思い、言っていない。
「じゃあ、逆に小鳥遊先輩に、彼氏ができたって、話した?」
「お兄ちゃん? ううん、話してないよ」
初めての彼氏ができたなんて気恥ずかしくて、家族の誰にも言っていない。私がそう言うと、彩月ちゃんはオレンジジュースを、ストローでかき混ぜながら、頷いた。
「なるほどね。さて、田中の存在に気づいたら、小鳥遊先輩はどうでるのかな」
「でるって、何が?」
「秘密」
楽しそうに笑ったあと、オレンジジュースを飲み干して、彩月ちゃんはじゃあ塾だから、と行ってしまったので、私も帰る。
それにしても、彼氏、かぁ。昨日のことだし、なんだか、あまり実感がなかったけれど、彩月ちゃんと話してやっと、少し現実味を帯びた気がする。
「いい彼女になれるように、頑張ろう」
夜。リビングで、テレビを見ていると、亮くんからメールが来た。今までだったら、リビングでそのまま返事をしていたんだけど、やっぱりどこか気恥ずかしくて、二階にあがって自分の部屋で返信する。
メールには、今日も一日お疲れ様、とおやすみ、と書かれていた。
本当に何気ないことだけれど、おやすみとメールを送り合うやり取りが、くすぐったい。
思わずにやけながら、ベッドに飛び込む。
彼氏ってすごいなぁ。できたら、世界が変わるって誰かがいってたけど、その通りだ。
そういえば、昔は最初で最後の彼氏は、お兄ちゃんになってもらうのだと、夢見ていた。
でも、もしかしたら、本当に亮くんが私にとって、最初で最後の彼氏になる可能性だってあるよね。ずっと、ずっと付き合って、それで──。
「いやいやいやいや」
さすがに、それは重いよね。私も亮くんも高校生なんだし、まだ、先のことはわからない。
それでも。できるだけこの時間が続けばいいのにな。そう思いながら、眠った。
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