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愛はデカチンなんかに負けませんっ!

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「え……?いま、なんて………」
「ん、いや だーかーらー」

「オレ、ゲイビデオで食っていこうと思ってる」

カレシが、ゲイビ男優になるとか言い出したー



彼との馴れ初めは一年前。ボク、神楽坂 翔馬かぐらざか しょうまが20歳の時。
「あぁ~~~ もう女なんて信じね~~~」
付き合っていた彼女を寝取られたボクは、ヤケ酒に酔い潰れて千鳥足になりながら飲み屋街を練り歩いていた。
これで学生時代から数えて3人連続で浮気され、しかも今回の彼女からは寝取られビデオレター付き。
《〇〇くんのおちんぽのほうがおっきぃのぉぉっ……!!♡♡♡》
他の男に犯されてイキまくってる画面越しの彼女からは
ボクへの未練なんてまったく感じなかった。
それどころか、ボクとのエッチはつまらないって捨て台詞まで吐かれて……

「おっ、翔馬?!そこにいるのは翔馬じゃんっ」
「え… 誰…… …は、ハルヤセンパイっ…!?」
髪が桃色になってたけど、顔を見るとすぐに気が付いた。
偶然出会ったのは、高校時代に同じ美術部でお世話になった美澄 ハルヤみすみ はるや先輩(当時21)。
「どーしたそんなに酔っちゃって、どしたん?話聞こかっ」
「ハ、ハルヤせんぱいっ…!」
「おーよしよしっ笑」ナデナデ
胸に顔を埋めて泣くボクの頭を、ハルヤさんは優しく撫でてくれた。
持ち金を使い果たして終電も過ぎていたから、ハルヤさんは自宅にボクを誘ってくれた。 

「たかがボクより少しちんちんおっきくてエッチが上手いからってアイツは俺のこと捨てたんですよ!何度恋してもずっとこんなんばっかり!もう女なんてこりごりですよっっ」
先輩がくれた缶チューハイをあおりながら愚痴を吐きまくるボクを、ニヤニヤしながら見つめてくるハルヤさん。
「……何か可笑しいですかっ」
「ん~~?いやいや、そんなに女がイヤなんだったらさ……」

ムニッ………♡

「…………………?!!」
「男どーしでヤってみない?♡」サワッ…♡ 
なんと、ハルヤさんはボクの股間や胸を揉み始めた。
「せっ、せんぱいっ…!これ冗談になってな…!」
「あー、実はゲイなんだよね、オレ」
「えぇっ……!?」
拒む隙もなくパンツからチンポを取り出されて、彼女よりいやらしい手つきで手コキされたボクは…
ぐちゅっ、ぐちゅぐちゅっ…♡
「や、やばいっ… 出ちゃうっっ……!♡」
イキかけたそのとき、突然手コキを止める先輩。
「ふえ……?♡」「……ふふっ♡」
舌なめずりした次の瞬間ー
「んっ~~~♡♡」
「せっ!センパイっ…!?くわえちゃだめっ…」
急にチンポを咥え出したハルヤさん。感触に違和感を感じて目線を下にやるとー

「ゴ………ム………?…!」

「一度くらいいいじゃんっ。酔った気の迷いでさー」
ボクにまたがって向かい合った先輩は、既に下着を脱いでいて… ボクのチンポの先っちょに、お尻を擦り付けていた。
「男どーしも、案外きもちーよ♡」

ズププププッ……♡

「ふぁぁぁっ……?!!♡」
「んっ……!♡」
腰を落として、バランスボールに乗ってるように跳ねる先輩。ずちゅっ、ずちゅっと、甘い音を立てて上下される度、ボクのチンポが肉肌に搾り取られるように感じる。
「せせせ、、せんぱいっ..!あっ♡ だめっ、だめでしゅっ……!!」
「んんっ…?♡ なにがダメなの?」
少し顔を火照らせながらも、ハルヤさんはボクの反応を愉しんでるかのように微笑を浮かべる。
ぱちゅっ…!ぱちゅっ…!♡
「い……イっちゃうっ…!出ちゃう……♡」
「………イけよ♡」
「うぅっっ……!!!♡」

びゅるるるるっっ………♡
「はぁぁぁっ……!!♡♡」
迫り上がる快感に我慢できず、あえなく射精してしまった… 男の、お尻の中にー
「ふぅっ……♡ どう?きもちい?♡」
「は、、、はひ、、、♡」
んちゅ…… ぴちゅ……♡
見つめられた流れで、ディープキスからのベロチューまで……
「んぅぅ……♡」
口いっぱいに広がる、柔い感触。甘い匂い。甘い味。舌で撫でられるたび、気持ちよさが電流のように全身に走り抜ける。

今までの彼女とのキスの記憶が、全て吹き飛んだー

ーーー

チュンチュン…
……やってしまった。
ハルヤせんぱいと、やってしまった。
夜が明け、目を覚ましたら、隣には裸のハルヤさんがいてー
(ボクも、、、裸だ………)
間違いない。言い逃れはできない。
天井を見上げながら、昨夜のことを思い返す。
(あんな気持ちのいいセックス…… 生まれて初めてだ……)
横を見やると、ハルヤさんはすやすや眠っていた。
(先輩の寝顔をこんな至近距離で見ることなんてなかったから…… なんか、変な気持ちになる……)
ふと、ほっぺをぷにっと指で押してみる。
「くー…………」
反応がなかったので、今度は手のひらでさすってみる。
「すべすべ………」

……パチリ。
「はっ……!?」
目を覚ました。テンパったボクに、先輩はひとことー
「…たのしかった?」

くしゃっとした顔で笑いかけるハルヤさん。その笑顔が眩しすぎて、愛おしく感じたその瞬間。間違いなく ボクは恋におちていたー  

ーーー

「………どしたのケーキなんか持ってきて」
「いやあの… 昨日泊めてもらったお礼と思って……」
仕事を終えたボクは、その足で先輩の家に向かっていた。
…つんつんっ♡
「あぁっ!?♡ あっ、いや、、これは………」
無意識のうちに勃ってしまったテント張りの肉棒の先っちょをつついたハルヤさんは、照れくさそうに笑いながらー
「いいよっ。食べたらヤろっか。」
ー本当に、お礼をしたいつもりだった。だけど、心のどこかでは、そういう事も待ち望んでいたかもしれないー

ギシ、ギシッ…
「はぁぁっ!!♡ きもちよすぎっ……!♡」
ちゅるるるっ…♡
「ふふふっ、あん… あんっ……♡」
びゅるるるっ…♡ びゅくっ……♡

「はぁっ、はぁっ…!せんぱいっ、えっちすぎるっ…!!♡」
セックスを終え、愛おしすぎてハルヤさんを抱きしめると、本音がボロボロと溢れ出してくる。
「ぼくっ、せんぱいともっといちゃいちゃしたいっ……!!」
先輩は、嬉しそうにボクの手の甲をさすると。
「ならさ。一緒に住んでみない?ここにっ」
「い、、、いいんですかっ……!!」

こうして。ここから一年の間、恋は醒めることなく、愛を育んできた。……はずなのにーー



「な……んで……」
「あれっ?泣いてる…!?」
感情がぐちゃぐちゃで、まとまらない。
「ボクのセックス、気持ちよくなかったですかっ…!?」
「いやそうじゃなくって…」
「ボクが働けなくなったからっ!?」
「ちょっと落ち着けって…!」
「働けないボクの代わりに身体を犠牲にして生活費稼ぐつもりですかっ!?そんな無理しなくてもボクすぐに働くしっ…!!」

「ちーがーうーかーらー!!!むしろ逆だよ、ぎゃく!!!」
「ぎゃく………?」
「……ここ一年一緒に暮らしてさ。オレすっごく思ってたんだよ」
深く息をして、ハルトさんは思いの丈をありったけ吐き出した。
「翔馬と過ごせる時間が!短すぎる!!」
「えっ…!えぇっ……!?」
「だってそーだったじゃん!!休日出勤や残業当たり前!寝る時間が7時間!仕事して帰ってくるまで大体13時間!!残り4時間ぽっちで何ができるよ!!?」
「た、たしかに……」
ボクの働いてた会社は所謂ブラック企業で、長時間労働とパワハラに苦しんだ末、限界が来て最近退職してしまった。
「ほんと!やめてくれてホッとしたよ。でも、生活費とか家賃気にして、またすぐに働こうとするでしょ?
…心も身体もボロボロなのにさ。」
「ハルヤさん……」
「とはいえ。金は確かに必要になるし。…そんな時にスカウトされちゃったんですよぉ!!」
ハルヤさんの手に、パンフレットと契約書が。

「【ローズ・ボーイズ・ビデオクラブ】……!」
通称バラボと言われるこのゲイビデオ制作会社は、SNSフォロワー数は100万を超え、年商はなんと500億円。トップ男優になれば1本ビデオに出るだけで1000万クラスのギャラが出るという。
(あんまりこういう界隈は知らなかったけど、、ここまで急成長している業種になってるのか……!!)
「とりま一本(ビデオ)撮ってみる?って言われたんだけどさ… ギャラいくらだと思う?」
「え……?」
「50万だよ50まんっ!!しかも売り上げ次第でボーナスもつくって!!」
確かに、ショップ店員のハルヤさんとボクの月収を合わせても、それを超える金額が手に入るのはすごい。
「まぁ肉体労働だけど、気持ちいいことして金稼げるって最高のコスパじゃない?拘束時間長くて1日で、ゴムとかもちゃんと着けるって言ってるし」
でも… それでも…
「でも、いいんですかっ…?もし、知り合いとかにバレたら…」
「これ知って引いたりバカにしてくるやつなんざ、こっちから願い下げだねっ。オレは翔馬と一緒にいられればそれでいい。」
でも… でも……!
「オレが金を稼いでさ、翔馬がしばらくヒモでいてくれたら… 一緒に居れる時間が増えるじゃんっ。
……翔馬がどうしても嫌なら、断るけど」
「…っ!たしかに、ボクもハルヤさんとイチャイチャできる時間が増えるなら、それより幸せなことなんてないです…!ただ………!」

「ハルヤさんが他の人に取られたら… って考えると、怖くて………!」
想像したくもない最悪の結末。だけど、それがないとは言い切れない。ボクはもう3回も同じ目に遭ってきた。
「ふふふっ……w」
「何がおかしいんですっ……」
不敵な笑みを浮かべるハルヤさん。ボクの気持ちも知らないでって、ちょっとムッとしちゃう。
「不安げな翔馬もかわいーねっ。まあ彼女を寝取られたのがトラウマなんだろうけど、あんなビッチ共と一緒にしないでよね。セックスの気持ちよさが第一なら、こんなに翔馬にゾッコンにならないって。」
「……ちょっとそれどういう意味ですか」
「とにかく!オレは翔馬の健気な性格がすき!甘えてくれるのがすき!優しいとこがすき!頑張りすぎるとこもすき!どんなに他のやつのチンポがおっきくて、えっちが気持ちよくても、それは絶対に揺るがないからっ!」
「ハルヤさん………!」

「だいじょーぶっ。愛はデカチンなんかに負けませんっ」

横ピースで余裕ぶるハルヤさん。軽く考えているのか、それともボクを愛してくれるがゆえか。
「……分かりました…!でも、ひとつだけっ。絶対…他のやつらに取られないでくださいねっ…!ボクを裏切らないでくださいねっ…!」
「当たり前じゃんっ」
今にも泣きそうなボクの頭を、ハルヤさんは優しく撫でてくれた。

ボクは、ハルヤさんのゲイビデビューを受け入れた。
愛を信じるっていうのが第一だけど、後ろ向きな理由もある。
(もし… ボクとのえっちが物足りなくて、欲求不満だったら…)
これを受け入れなかったら、ボクに黙って他の人とえっちするかもしれない… それで見捨てられるくらいならー

「ビデオが出た日は一緒に観よう。そんで、絶対上書きセックスしよーねっ♡」
「はいっ… したいですっ……!」
「ふふっ、やくそくね♡」

ボクはセックスの技術や、アソコの大きさには自信がない。けど、ボクの中のありったけの愛をぶつければ、どんなに気持ちいいえっちにも、ハルヤさんは絶対負けないでくれる。ボクは、必死にそう思い込んだー



(7連休なんて働いてた時は考えられなかったもんな…
ずーっと一緒に居られるのか……!)
ゲイビの初撮影日までの1週間。ボクらは、今までにないくらいに濃密な日々を過ごした。
平日の水族館や遊園地は、適度に空いていて快適で。
アパレルショップめぐりでパンクファッションコーデを教えてもらったり。綺麗な夜景を見にドライブに行ったり。花が咲き誇る近場の通り道を、ふたりでゆっくり歩いたり。
そして何より幸せを感じたのは、自宅で暇を持て余して、ふたりでゴロゴロする時間。
(休みが貴重な頃は、暇な時間ってもったいないって思ってたけど………)
スヤスヤうたた寝するハルヤさんの寝顔を、隣でじっくり眺めていられる。
「しあわせ………」

思わず言葉に出てしまう。こんな日々が日常になるなんて、なんて幸せなんだろうー

* 

そんな悠長なことを思って、いつか来る今日から逃げていた気がする。

「でっかぁ~、あれがバラボの本社かぁ~」
7階建ての綺麗な高層ビルを車内から見上げるボクたち。撮影スタジオ、エログッズ開発、ビデオ編集部隊……
あのビルだけで、作品制作が完結できる立派なビル。

「じゃあ行ってくるねっ。撮影終わったら連絡する!」

今日、カレシが他の男に抱かれる。

朝の9時、ハルヤさんを会社に送った帰り道、ゲイビ出演を受け入れたことを、死ぬほど後悔した。
「……一緒に着いてったほうがよかったよなぁ……!」
そう思ったら着いていけばいいはずなのに、怖くて。その光景を目の当たりにする覚悟が持てなかった。

家に帰って、ボクはゲイビ男優が受けのBLマンガをひたすら読み漁った。
{はいカットー!}{お疲れ様でーす!}
(そうだよな… たかが作り物なんだし、、どんだけ犯されても、カメラが止まったら普段通りに戻るよな…
本気で感じるなんてことっ………!)
現実逃避をして、必死に心の安定を保っていた。

『アヤネ カナタの質問コーナー!!』
怖いもの見たさか、気付けばバラボの現役ゲイビ男優のvlogを眺めるボク。
『質問読むね~ 
Q 撮影でセックスしてる時、本当に感じてるんですか?
う~んこれはね~~………』
ゴクリ……
『めちゃめちゃ感じてるっ!!』「ぁぁ………」
『ほんっとにバラボの竿役さんはみんなデカチンだしエッチも上手くてねぇ~っ!! ゲイビ出る前もウリとかでえっちは沢山してたけど、人生で気持ちよかったセックス5つ選べって言われたらぜんぶゲイビだねー』
……見なかったことにしよう。もう無だ。無心で時を待つしかない。歩き回ったり昼寝したり坐禅を組んだり…

ブー!ブー!午後9時、遂にメールの受信音が鳴る。
[終わったよ]
すぐさま車を走らせ、彼を迎えに行く。
(……いつもメールの語尾には♪とか⭐︎とか絵文字つけるのに、何もついてなかった……)
不安で胸がいっぱいになる。疲れてるのかな、疲れてるだけだといいけど。
(顔赤らめて、やけによそよそしかったりしたらどうしよう………!)
なんだか、涙が出てくるー

「よっ」
戻ってきたハルヤさんは、普段と変わらずケロっとしていた。
「お、おつかれ……!だだだ、大丈夫でしたっ……!?」
「うんっ。まー慣れないから最初は疲れるねー」
「ごはんとかは、、どうするっ……?」
「疲れて食欲ないなぁ」
「き、奇遇だねっ、ボクも食欲なくて……」
…本当は洗いざらい、どんなセックスをしたか。ボクより気持ちよかったかとか。聞きたくて仕方ないけど、聞く勇気がないー
「ビデオ… 見れる日が楽しみですねっ…!」
「あ、明日アップされるって」「はや…」

家に帰って、一緒にシャワーを浴びようと誘ったけど。
「あ~ もう仕事終わりに済ましちゃった」
しかたなく、ボクひとりで寂しく風呂を済ませて
ベットに向かい合わせで寝転ぶ。
…つんつんっ。
「んんっ…?!♡」
「ふふっ、勃ってる…♡ 色々妄想しちゃった?」
からかってくるハルヤさん。
「…抜いたげよっか?」
「はっ、ハルヤさん疲れてるでしょうからっ、、明日まで我慢しますっ…!!」
「えらい子っ。明日はビデオ一緒に見て、たくさん上書きセックスしてあげるからねっ。…おやすみ♡」
ちゅっ♡

軽く唇を合わせて、ボクたちは眠りに落ちた。



翌日、午後7時。
ついに、この時が来てしまった。
ハルヤさんの、ゲイビデオデビュー作の発売。
ガクガクガクガク………
「はははっww 足震えすぎだってww」
正座しながら、ボクの視線はパソコンのモニターに釘付けになっていた。
「おぉっ!えっろいジャケ写になってんじゃんっ♡」

【桃髪パンク系美男子 ミスミ Age22 ゲイビdebut】
「あぁっ……」
モニターに映る現実を突きつけられて、思わず声が漏れた。

右半身はかっこいいパンクファッション姿。
左半身は勝負下着のグレーのビキニブリーフだけ履いた、ハダカのハルヤさんの姿。
悔しいけど、センスが凄い。しかも、エロい…。

まず画面に映るのは、見覚えのあるホストみたいな金髪のイケメン。
『ど~も~ カナタくんで~す。今日はデビューの子の筆下ろしということで相変わらずバキバキに勃たせちゃってるんですけどもぉ~』
「あぁっ!?この人vlogで見た……」
「この人すごい人気らしいよ~」
まさか、この人がハルヤさんを抱いたなんて……!
『じゃあまず、自己紹介からいこっか』

『ミスミ、22歳で~す。身長は170センチで体重は60キロ。カレシがいま~す』
『パンク系のコーデかっこいいね!桃髪も似合ってるし!こういうの好きなの?』
『ショップ店員だったんで!』
「………!」
「ねぇ?動画写りどおっ?」
「き、綺麗です!!」
「キャハハっw かわい~~~」
くしゃっと微笑みながら、ハルヤさんがボクの髪を撫でる。綺麗だけど、だからこそ、これから起きることを直視するのが、画面越しでも辛い。
インタビューの会話は、徐々に性事情に踏み込んでいく。

『彼氏とはどんくらいえっちするの?』
『今は週3くらいに落ち着いたかな』『若いね』
『今まで何人の男とエッチしたことある?』
『んーと、ネットで知り合ったやつと、元カレと今カレ!さんにんっ』
『へぇ、そこまで経験多いわけじゃないじゃん。それでいきなりゲイビデビューとかどしたの?』
『彼氏の仕事がブラックでさぁ。ようやく仕事やめてくれたから、オレがゲイビでドカンと稼いで、強制的にヒモになってもらうの!んでイチャイチャする時間増やしたいワケ!!』
『すげぇ笑 純愛じゃんっ笑』
『でしょ~w』

『ごめんカレシさん。オレ寝取っちゃうかもしれねえ』

画面の前のボクに、男は軽薄に笑いかける。
『ちょっと何いってんのさ、愛はデカチンには負けませんからぁ』

頭が、真っ白になりそうだ。

『じゃあ、脱がすね』
ハルヤさんは、少し俯きながら静かに頷く。
『セックスもいいけどさぁ、この脱がす瞬間がいちばん興奮するわ……♡』
パンクコーデに手をかけられ、ゆっくりと肉肌が露わになっていく。
『……ちょっと待ってよ… そんな着飾っといてさぁ。
何よ、そのどエロビキニブリーフ』
『これ、勝負下着……』
『え?なに!?ゲイビデビューだから気合い入れて履いてきたの?めっちゃヤル気マンマンじゃんっ』
口に手の甲を当てて、少し恥じらうハルヤさん。

くりっ…♡ 「んんっ…!♡」
むにいっ♡ 「んはぁぁっ…♡」
背後から乳首を指でつままれ、股間を優しく揉みしだかれる。
『ほら、舌出して舌っ』
『ま、まって… ベロチューはだめっ… カレシとだけ…』
生中出しと、ボクが大好きなディープキスはNGにしてくれてるみたいだ…
『しょーがないなー』ちゅっ♡
カナタさんが頬にキスをしてー
『ほら、ミスミもお返しするっ』
『………』ちゅっ♡
頬にキスをしあって、愛撫はより濃厚になる。
ちゅるっ…♡ ぴちゅっ♡ んちゅっ…♡
『はぁぁ…♡ んんぅ…♡ ひゃあっ♡』
首筋を撫でるように舌を当て、肌にくちづけ。画面の向こうのハルヤさんが、身体をビクビクさせて女の子みたいに喘ぐ。
(なんだよこれ… ボクが同じようにやっても余裕たっぷりだったのに……!!)
思わずハルヤさんをじーっと見るボクに気づいた彼は、目を細めて照れ笑いを浮かべる。

『カレシさんとさぁ、どっちが大きい?』
バキバキに勃起したチンポを押し付けられたハルヤさんの表情には、少し驚嘆が滲み出ていた。
ハルヤさんより1.5倍くらい大きい竿役のチンポは、もちろんボクのよりおっきかった。
『……いいたくないっ。』
『分かったよw じゃあ下準備しよっか』

ぐち…… ぐちゅ…… にち……♡
『くぅぅっっ……!♡ はぁっ…♡』
四つん這いにさせたハルヤさんの尻穴に、カナタさんは指を1本、2本と挿れてほぐしていく。
『彼氏さんはこういうのやってくれるの?』
『いつもは… 自分でほぐしてる…か、らぁっ…!♡』
マットシーツを握りしめ、快感に震える。

ジュポッ♡ グッポ♡
仰向けになったカナタさんのチンポをしゃぶるボクの恋人。
『フェラうまいね、よしよしっ♡』
髪を撫でられたハルヤさんは、一瞬目を見開くと、頬を赤く染めて照れている。
まるで、いつもボクがハルヤさんに撫でられるみたいに。

ボクが引き出したことのないハルヤさんを、見せつけられているー

『あーあ、生でやりてぇ~。こんなえっちな子とは生でしたかったわ。』
ブツブツ小声を呟きながら、仰向けで見せつけながらゴムをつけるカナタさん。
『カレシさんは何が好きなの?』
『…騎乗位と、正常位』
『王道だねぇ。じゃあ、俺をカレシさんと思って乗ってきてみてよ』
『…なんか、むかつく……』
ちょっと不機嫌になりながらも、またがってゆっくり腰を落としていくハルヤさん。
ク…プププププッ…!♡
『くぅっ…!♡ ふぅぅっ……!♡』
もうこの時点で違う。ボクとするときは、こんな苦しそうな、快感を噛み締めるような表情はしない。
ばちゅんっ♡ ばちゅんっ…!♡
『はぁぁっ…♡ あ~っっ…♡』
ロデオに乗るように跳ねながら、快感に浸って顔をのけぞらせる。
『ふぅぅっ…!♡ いいねぇ、締まるぅ…!♡
俺もっ、動くね……♡』

くいっ♡ 『くぅんっ!?♡』
少し腰を浮かしただけで、ハルヤさんは大声でうめく。
ギシッ… ギシッ… コツっ♡コツっ♡
『あっ♡ あっっ♡ おくっ、あたって…!♡』
滑らかにゆっくり腰を動かすだけで、あまりの気持ちよさからか、ハルヤさんは男の首元に抱きつく。
『ここがきもちーの?トントントントンっ♡』
『んあぁぁっ♡ くぅぅぅっ……♡』
腰を小刻みに突き上げるカナタさん。
『カレシとどっちがおっきいの?ねぇ教えてよ笑』
『や、、やだぁっ…』
パンッ、パンッ、パンッ、パンッ♡
『くぅぅっっ……!♡ …あ、あんたのが、おっき…』
耳元で囁くことで誤魔化したのかもしれないが、マイクは無慈悲にもその言質を捉えていた。

『ねぇ?ベロチューしたらもっときもちいよ?』
「……!!」
いやだ、ハルヤさんいやだ。乗らないで… どんなイキ方してもいいから、それだけは……
そう祈りながら画面を見つめるボク。涙で視界が滲む。
『はぁっ…… はぁっ……♡』
ハルヤさんは涎を垂らすほど蕩けた余裕のない表情で、カナタさんをずっと見つめている。
『んべ~…♡』
ハルヤさんっ、だめっー

んちゅぅっ♡
「……あ……」
声が出かかった瞬間、画面ではふたりが濃厚なディープキスを交わしていた。
ちゅるっ…♡ ぬちゅっ♡ 
『んぅっ…♡ んあっ……♡』

「………ハルヤさん……」
「…………」
画面越しのセックスの様子に夢中なのか、カレシはボクの問いかけに、振り向いてくれなかった。

《愛はデカチンなんかに負けませんっ!》
約束が、ボクの頭にむなしく浮かぶ。

これ… 負けてない…?

レロォっ……♡ 「んぅぅっ…!♡」
舌を絡ませあった快感に、キスをしたままエビ反りで感じるハルヤさん。

この悪夢のような光景を、ボクはただ見つめることしかできなかったー

続く。
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