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第七話 試験3
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「次!1052番!2947番!舞台へ上がって下さい!」
ニア達の試合が終わると、すぐに試験官が次の受験生の番号を呼んだ。
2947番は俺の番号である。
さて、相手はどんな奴だろうか?
それにしても1052番か…… さっきの的当てで聞いたような……
ハッ!そうだ!あいつがその番号だった!
俺が思い出すと同時に、その対戦相手が口を開いた。
「やっぱり僕の相手は君か、こうなるって思ってたよ」
「ナイジェル……だっけか……?」
「おや?自己紹介をした覚えはないんだけどね、ラルフ=ユーフレッド君?」
「おいおい、俺も自己紹介をした覚えはないんだがな?」
こいつ……何で俺の家名まで知ってるんだ?
ラルフだけならさっきのニアやケントとの会話を聞かれていたと考えれば納得できるが……
どうやら、ただのいけすかない奴って訳ではなさそうだ。
俺はナイジェルの異様な雰囲気にのまれないよう警戒しつつ舞台へと上がり、そのまま位置についた。
すると、またしてもナイジェルが口を開く。
「それにしても、さっきの試験で君が使った魔法すごかったね」
「ん?あぁ、大したことないぞ」
「あれが大したことないだって!?」
ナイジェルは俺の返答に驚いたのか、目を見開いて眉をひそめた。
その表情は半分呆れているようにも見える。
「やっぱりね、間違いない。確信したよ」
「ん?何のことだ?」
その直後、ナイジェルは俺の目を真っ直ぐに見ながら笑みを浮かべた。
「君、"使徒”だろ」
「は!?」
俺はまさかのナイジェルの発言に不意を突かれて、思わず反射的に反応してしまった。
そんな俺のリアクションを見て、ナイジェルは更に確信したのか嬉しそうにニヤつく。
いかんいかん。
またコイツの雰囲気にのまれそうになってしまった。
「それでは両者構えて……始め!」
とりあえずだ。
この試合が終わったらコイツには沢山聞く事が出来た。
手加減は不要だな。
「ぼーっとしてるとすぐに終わっちゃうよ!」
ナイジェルが試験官の合図と共に俺との距離を詰めようと動いた。
「時間加速!〈アクセルブースト〉」
俺は即座に勝負を決めようと『時間加速〈アクセルブースト〉』を発動し、こちらに向かってくるナイジェルの背後へ回り込み木剣を振りかざした。
体感時間が10秒に伸びている俺の攻撃を回避するの常人には不可能だ。
常人にはな。
「おっとあぶなーい!」
なんとナイジェルは、まるで俺の攻撃を予見していたかの様に回避してみせた。
「無駄だよ、僕にそれは通用しない」
「そのようだな」
だが一体なぜだ……?
何か理由があるとすれば答えは一つしか考えられない。
「それがお前のスキルか」
「そういう事~っ!」
ナイジェルは余裕の表情で答える。
面倒なスキルの相手と組まされたものだ。
「それじゃ、仕切り直しだね!」
ナイジェルはそう言うと魔法の詠唱を始めた。
「炎よ、我が敵を殲滅せよ!焦熱天球!〈バーンスフィア〉」
おいおいコイツ、王級魔法まで使えるのかよ……!
ナイジェルが王級火魔法『焦熱天球『バーンスフィア〉』を発動すると、ナイジェルの頭上に直径約3メートル程の小型太陽が現れた。
「うぅ……熱い……」
「ここまで熱が伝わってくるなんて……」
舞台の外にいる受験生がジリジリと熱を感じるレベルだ、試験会場の温度は瞬く間に急上昇する。
「さぁ、この灼熱の太陽からいつまで逃げられるかな?」
するとナイジェルの頭上の小型太陽から、俺に向かって何本もの熱線が発射された。
俺は何とか熱線を回避するが、休む間もなく次の熱線が発射される。
「ラルフ君、ダンスを披露してもらってる所悪いだけどね、この熱線は自動で発射され続けるんだ」
そう言うとナイジェルは、まるで俺が熱線を避ける方向を予見していたかの様に背後に回り込んで木剣を振りかざしてきた。
まただ……
またコイツは俺の動きを読みやがった。
こりゃ確定だな。
俺はギリギリのところで体を捻り、持っている木剣でナイジェルの攻撃を防ぐ。
「どうだい?降参するかい?」
つばぜり合いをしながら、ナイジェルは俺に問いかけた。
それにしても降参?俺が?
「いや、もういい」
「え?それはどういう……」
俺はそう言うとナイジェルから距離を取り、未だ熱線を発射しながら宙に浮かんでいる小型太陽に向かってこう唱えた。
「範囲消滅〈リージョンダウン〉」
すると小型太陽は、みるみる圧縮されて最後には消滅した。
「なにこれ……そんなのって……」
無属性魔法『範囲消滅〈リージョンダウン〉』
この魔法は指定した範囲の空間を消滅させる。
俺は小型太陽が浮かんでいる空間を指定し、丸ごと消滅させたというわけだ。
唖然とするナイジェルだったが、すぐに体勢を立て直す。
中々の精神力だ。
「君が何をしたのかわからないけど、僕の魔力はまだ尽きてない!それに僕には最強のスキルがある!まだ試験は終わってないよ!」
ナイジェルはそう言って、再度詠唱を始めようとした。
だが、俺はもうナイジェルのスキルの突破方法を考えついていた。
「あぁ、予知か何かのスキルだろ?それももういい」
「なッ……なぜそれを!!」
図星だったのか慌てるナイジェル。
「お前が俺の動きを予見して動いていると言うのなら、予見できないくらい早く動けばいいだけだ」
そう言って俺は、普段より多くの魔力を込め『時間加速〈アクセルブースト〉』を発動した。
その効果によって俺の体感時間は30秒に伸びた。
1秒が30秒の世界で、俺はナイジェルに連続して攻撃を仕掛ける。
客観的に見ると俺の動きは、もはや速すぎて遅く見えるほどである。
「くそ!速すぎて体がッ……追いつかないッ……グァ!!」
最初は何とか俺の攻撃を捌いていたナイジェルだが、遂に俺の攻撃を喰らい吹っ飛んだ。
「くそッ……こんな仕打ち初めてだよ……」
ナイジェルは立ち上がれず、何とか膝立ちになり木剣で体を支えている。
「まだやるか?」
俺の魔力量は『継承される魂〈アセンションハート〉』の効果でほぼ無尽蔵だ。
丸一日はこのまま動き続けられるだろう。
「いや、もうやめとくよ、僕の負けだ」
それを察したのか、ナイジェルは意外とあっさり負けを認めた。
「1052番の降参により、勝者!2947番!」
その直後、試験官がナイジェルの降参を認め、俺の勝利を宣言した。
ニア達の試合が終わると、すぐに試験官が次の受験生の番号を呼んだ。
2947番は俺の番号である。
さて、相手はどんな奴だろうか?
それにしても1052番か…… さっきの的当てで聞いたような……
ハッ!そうだ!あいつがその番号だった!
俺が思い出すと同時に、その対戦相手が口を開いた。
「やっぱり僕の相手は君か、こうなるって思ってたよ」
「ナイジェル……だっけか……?」
「おや?自己紹介をした覚えはないんだけどね、ラルフ=ユーフレッド君?」
「おいおい、俺も自己紹介をした覚えはないんだがな?」
こいつ……何で俺の家名まで知ってるんだ?
ラルフだけならさっきのニアやケントとの会話を聞かれていたと考えれば納得できるが……
どうやら、ただのいけすかない奴って訳ではなさそうだ。
俺はナイジェルの異様な雰囲気にのまれないよう警戒しつつ舞台へと上がり、そのまま位置についた。
すると、またしてもナイジェルが口を開く。
「それにしても、さっきの試験で君が使った魔法すごかったね」
「ん?あぁ、大したことないぞ」
「あれが大したことないだって!?」
ナイジェルは俺の返答に驚いたのか、目を見開いて眉をひそめた。
その表情は半分呆れているようにも見える。
「やっぱりね、間違いない。確信したよ」
「ん?何のことだ?」
その直後、ナイジェルは俺の目を真っ直ぐに見ながら笑みを浮かべた。
「君、"使徒”だろ」
「は!?」
俺はまさかのナイジェルの発言に不意を突かれて、思わず反射的に反応してしまった。
そんな俺のリアクションを見て、ナイジェルは更に確信したのか嬉しそうにニヤつく。
いかんいかん。
またコイツの雰囲気にのまれそうになってしまった。
「それでは両者構えて……始め!」
とりあえずだ。
この試合が終わったらコイツには沢山聞く事が出来た。
手加減は不要だな。
「ぼーっとしてるとすぐに終わっちゃうよ!」
ナイジェルが試験官の合図と共に俺との距離を詰めようと動いた。
「時間加速!〈アクセルブースト〉」
俺は即座に勝負を決めようと『時間加速〈アクセルブースト〉』を発動し、こちらに向かってくるナイジェルの背後へ回り込み木剣を振りかざした。
体感時間が10秒に伸びている俺の攻撃を回避するの常人には不可能だ。
常人にはな。
「おっとあぶなーい!」
なんとナイジェルは、まるで俺の攻撃を予見していたかの様に回避してみせた。
「無駄だよ、僕にそれは通用しない」
「そのようだな」
だが一体なぜだ……?
何か理由があるとすれば答えは一つしか考えられない。
「それがお前のスキルか」
「そういう事~っ!」
ナイジェルは余裕の表情で答える。
面倒なスキルの相手と組まされたものだ。
「それじゃ、仕切り直しだね!」
ナイジェルはそう言うと魔法の詠唱を始めた。
「炎よ、我が敵を殲滅せよ!焦熱天球!〈バーンスフィア〉」
おいおいコイツ、王級魔法まで使えるのかよ……!
ナイジェルが王級火魔法『焦熱天球『バーンスフィア〉』を発動すると、ナイジェルの頭上に直径約3メートル程の小型太陽が現れた。
「うぅ……熱い……」
「ここまで熱が伝わってくるなんて……」
舞台の外にいる受験生がジリジリと熱を感じるレベルだ、試験会場の温度は瞬く間に急上昇する。
「さぁ、この灼熱の太陽からいつまで逃げられるかな?」
するとナイジェルの頭上の小型太陽から、俺に向かって何本もの熱線が発射された。
俺は何とか熱線を回避するが、休む間もなく次の熱線が発射される。
「ラルフ君、ダンスを披露してもらってる所悪いだけどね、この熱線は自動で発射され続けるんだ」
そう言うとナイジェルは、まるで俺が熱線を避ける方向を予見していたかの様に背後に回り込んで木剣を振りかざしてきた。
まただ……
またコイツは俺の動きを読みやがった。
こりゃ確定だな。
俺はギリギリのところで体を捻り、持っている木剣でナイジェルの攻撃を防ぐ。
「どうだい?降参するかい?」
つばぜり合いをしながら、ナイジェルは俺に問いかけた。
それにしても降参?俺が?
「いや、もういい」
「え?それはどういう……」
俺はそう言うとナイジェルから距離を取り、未だ熱線を発射しながら宙に浮かんでいる小型太陽に向かってこう唱えた。
「範囲消滅〈リージョンダウン〉」
すると小型太陽は、みるみる圧縮されて最後には消滅した。
「なにこれ……そんなのって……」
無属性魔法『範囲消滅〈リージョンダウン〉』
この魔法は指定した範囲の空間を消滅させる。
俺は小型太陽が浮かんでいる空間を指定し、丸ごと消滅させたというわけだ。
唖然とするナイジェルだったが、すぐに体勢を立て直す。
中々の精神力だ。
「君が何をしたのかわからないけど、僕の魔力はまだ尽きてない!それに僕には最強のスキルがある!まだ試験は終わってないよ!」
ナイジェルはそう言って、再度詠唱を始めようとした。
だが、俺はもうナイジェルのスキルの突破方法を考えついていた。
「あぁ、予知か何かのスキルだろ?それももういい」
「なッ……なぜそれを!!」
図星だったのか慌てるナイジェル。
「お前が俺の動きを予見して動いていると言うのなら、予見できないくらい早く動けばいいだけだ」
そう言って俺は、普段より多くの魔力を込め『時間加速〈アクセルブースト〉』を発動した。
その効果によって俺の体感時間は30秒に伸びた。
1秒が30秒の世界で、俺はナイジェルに連続して攻撃を仕掛ける。
客観的に見ると俺の動きは、もはや速すぎて遅く見えるほどである。
「くそ!速すぎて体がッ……追いつかないッ……グァ!!」
最初は何とか俺の攻撃を捌いていたナイジェルだが、遂に俺の攻撃を喰らい吹っ飛んだ。
「くそッ……こんな仕打ち初めてだよ……」
ナイジェルは立ち上がれず、何とか膝立ちになり木剣で体を支えている。
「まだやるか?」
俺の魔力量は『継承される魂〈アセンションハート〉』の効果でほぼ無尽蔵だ。
丸一日はこのまま動き続けられるだろう。
「いや、もうやめとくよ、僕の負けだ」
それを察したのか、ナイジェルは意外とあっさり負けを認めた。
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