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第十ニ章 VS四天王のリーダー・熊童子
第九十二話 天空都市『エムロード』へ
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オレが熊童子と戦い終わって死にかけていた時、本物の光宮冷菓は悩んでいた。
「うーん、やっぱり切り札の最終奥義が、電気系の『レールガン』というのは、気持ち悪いですよね。ネタもいろいろ被っていますし。
氷系で攻めて来たのに、いきなり電気系が一番強いのかよ! て突っ込みたくなりますし。
一番良いのは、炎と電気系をサポートポジションにして、氷系を最大限に引き出す事なんですけどね」
冷菓の意見を、奏子がアドバイスする。
「なら、まずは、各々の最強技を書き出してみたら良いんじゃないですか?
良い部分を強化し合う事によって、最強の奥義が完成するかもしれません」
「なるほど。今までは、各属性の能力を強化する事に特化していたけど、各属性では限界が近いですからね。それは、良い提案かもしれません」
冷菓は、喋りながら次々と考え付いた必殺技を並べ始めた。
「氷系最強の技は、フィールド全体を寒くさせる技ですね。
敵の動きを封じると共に、氷攻撃の素早さと範囲を大きくする事が出来ます。
『アイスバーン』とでも名付けておきますか。
次は、氷をレールの様にして高速移動する技ですね。
スピードは速いですが、スピードをコントロールするのが難しいです。
『リニアスライド』とでも名付けておきましょうか」
こうして、冷菓は開発した技を並べて行き、ある技に行き着いた。
「これなら『レールガン』と同じ攻撃力ですし、力加減もコントロールできます。
『アイスランチャーレールガン』とでも名付けますか!」
こうして、冷菓は熊童子よりも更に強くなっていた。
そんな事とは知らないオレと熊童子は、真槍ちゃんとゆたかの治療を受けていた。
幾島童子は、男性の体格を使い、真槍ちゃんに対抗するも、華麗な足技を使われ、男の急所を攻撃されていた。王宮の診療室に寝かされ、腹の傷を回復してもらっていた。
「全く、余計な真似をしなければ、こんな怪我せずに済んだのに……」
「ごめんなさい。男の姿になっていたから、勝てると思っていたんです」
「結果は、サンドバックだったけどな」
ゆたかの言う通り、男の姿の幾島警部は、真槍ちゃんの手によりボコボコになっていた。
男性だった為、真槍ちゃんも手加減しなかったようだ。
真槍ちゃんとゆたかは、幾島童子の怪我を手当てしつつ、オレと熊童子の様子も見ている。
オレと相打ちで倒れた熊童子だったが、熊童子の方が軽傷であり、オレより先に目を冷ましていた。
「う、ここは……」
「王宮の診療所よ!
あんたの方がマモル君より先に起きたけど、勝負はアタシ達の勝ちで良いわよね?
結局、幾島童子はボロボロだし、あんたもマモル君と相撃ちだったわけだし……」
「うん。というか、光宮マモルが俺の治療石を奪っていれば、俺は完全に負けていた。
光宮マモルが、俺の治療を優先しなければ、俺は死んでいたかもしれない。
だから、俺の負けだ!」
「やっぱりマモル君は、光宮冷菓が好きなんだね。
さすがに、苦しんでいる冷菓を見捨てる事は出来なかったのよ」
「まあ、そうかもな……」
しばらくすると、オレは意識を回復した。
オレは、負けを覚悟していたが、熊童子の方からオレに敗北を告げて来た。
「俺が負けたよ。俺と幾島童子が、君達を酒呑童子と茨木童子の元に案内する。
俺達では、君達に勝てなかった事だし、それを酒呑童子まで送るのは当然の事だ。
後は、酒呑童子と茨木童子に処理を任せるしかない。
彼らの目的がなんなのか知らないが、もしも悪い事なら警察として、君達に勝って欲しい物だね!」
熊童子は、本来の男の姿を取り戻し、幾島童子は女性に戻っていた。
熊童子は、ひげ面の男性であり、カッコいい事は認めるが、キスしたい相手ではなかった。
オレは自分に、キスしたのは女性の時だったからと言い訳していたが、ゆたかが追い打ちをかける。
「マモル君、あんなおっさんとキスしたんだね」
「それ以上は止めておきなさい!」
真槍ちゃんはそう言って止めるが、二人は生暖かくオレを見守っていた。
それほどショックじゃなかったのに、キモい者とキスした感じにするのは止めて欲しい。
熊童子も次第に、オレに対する見方が変わって来ているように感じる。
時たま恋する乙女の眼でオレを見ていた。
おっさん、頼むからその年でオレに恋するのは止めてくれと心から願っていた。
同時に、幾島童子からも嫌われる始末だ。
冷菓と会うまでには、この問題を解決しなければならないと感じる。
熊童子を見て、ある事を思い出した。
戦闘中に、あれだけの冷菓の記憶を得ていたという事は、オレの記憶を呼び起こす手があるかもしれない。
オレは、興奮する熊童子と一緒に、今後の計画を立て始めた。
「はあ、はあ、はあ、今後の計画? 君がそこまで考えているなんて知らなかったよ。
俺は、一時の感情だと思っていたのに……。分かった、俺も本気で君を好きになろう!
二人で生きて行こうじゃないか!」
「止めろ! オレが言いたいのは、そんな話じゃない!
悪かった、誤解を生む様な話し方をして……」
「誤解なんかじゃない! 俺は、本気だ!」
「止めろ! オレの後ろに回るんじゃない!」
興奮した熊童子では、話し合いもスムーズに出来ず、しばらく空母の中で激しい空中戦が繰り広げられていた。一晩の説得の結果、ようやくオレの本題へと話し合う事が出来て、何とかオレの貞操は守られた。超ギリギリの激しいバトルを制したのは、オレだったのだ。
こうしてオレ達は数十時間飛行を続けて、酒呑童子と茨木童子の住む空中都市『エムロード』へと辿り着いた。『エムロード』は、全体が強化ガラスで作られている空中都市であり、エメラルド色に輝いていた。
「うーん、やっぱり切り札の最終奥義が、電気系の『レールガン』というのは、気持ち悪いですよね。ネタもいろいろ被っていますし。
氷系で攻めて来たのに、いきなり電気系が一番強いのかよ! て突っ込みたくなりますし。
一番良いのは、炎と電気系をサポートポジションにして、氷系を最大限に引き出す事なんですけどね」
冷菓の意見を、奏子がアドバイスする。
「なら、まずは、各々の最強技を書き出してみたら良いんじゃないですか?
良い部分を強化し合う事によって、最強の奥義が完成するかもしれません」
「なるほど。今までは、各属性の能力を強化する事に特化していたけど、各属性では限界が近いですからね。それは、良い提案かもしれません」
冷菓は、喋りながら次々と考え付いた必殺技を並べ始めた。
「氷系最強の技は、フィールド全体を寒くさせる技ですね。
敵の動きを封じると共に、氷攻撃の素早さと範囲を大きくする事が出来ます。
『アイスバーン』とでも名付けておきますか。
次は、氷をレールの様にして高速移動する技ですね。
スピードは速いですが、スピードをコントロールするのが難しいです。
『リニアスライド』とでも名付けておきましょうか」
こうして、冷菓は開発した技を並べて行き、ある技に行き着いた。
「これなら『レールガン』と同じ攻撃力ですし、力加減もコントロールできます。
『アイスランチャーレールガン』とでも名付けますか!」
こうして、冷菓は熊童子よりも更に強くなっていた。
そんな事とは知らないオレと熊童子は、真槍ちゃんとゆたかの治療を受けていた。
幾島童子は、男性の体格を使い、真槍ちゃんに対抗するも、華麗な足技を使われ、男の急所を攻撃されていた。王宮の診療室に寝かされ、腹の傷を回復してもらっていた。
「全く、余計な真似をしなければ、こんな怪我せずに済んだのに……」
「ごめんなさい。男の姿になっていたから、勝てると思っていたんです」
「結果は、サンドバックだったけどな」
ゆたかの言う通り、男の姿の幾島警部は、真槍ちゃんの手によりボコボコになっていた。
男性だった為、真槍ちゃんも手加減しなかったようだ。
真槍ちゃんとゆたかは、幾島童子の怪我を手当てしつつ、オレと熊童子の様子も見ている。
オレと相打ちで倒れた熊童子だったが、熊童子の方が軽傷であり、オレより先に目を冷ましていた。
「う、ここは……」
「王宮の診療所よ!
あんたの方がマモル君より先に起きたけど、勝負はアタシ達の勝ちで良いわよね?
結局、幾島童子はボロボロだし、あんたもマモル君と相撃ちだったわけだし……」
「うん。というか、光宮マモルが俺の治療石を奪っていれば、俺は完全に負けていた。
光宮マモルが、俺の治療を優先しなければ、俺は死んでいたかもしれない。
だから、俺の負けだ!」
「やっぱりマモル君は、光宮冷菓が好きなんだね。
さすがに、苦しんでいる冷菓を見捨てる事は出来なかったのよ」
「まあ、そうかもな……」
しばらくすると、オレは意識を回復した。
オレは、負けを覚悟していたが、熊童子の方からオレに敗北を告げて来た。
「俺が負けたよ。俺と幾島童子が、君達を酒呑童子と茨木童子の元に案内する。
俺達では、君達に勝てなかった事だし、それを酒呑童子まで送るのは当然の事だ。
後は、酒呑童子と茨木童子に処理を任せるしかない。
彼らの目的がなんなのか知らないが、もしも悪い事なら警察として、君達に勝って欲しい物だね!」
熊童子は、本来の男の姿を取り戻し、幾島童子は女性に戻っていた。
熊童子は、ひげ面の男性であり、カッコいい事は認めるが、キスしたい相手ではなかった。
オレは自分に、キスしたのは女性の時だったからと言い訳していたが、ゆたかが追い打ちをかける。
「マモル君、あんなおっさんとキスしたんだね」
「それ以上は止めておきなさい!」
真槍ちゃんはそう言って止めるが、二人は生暖かくオレを見守っていた。
それほどショックじゃなかったのに、キモい者とキスした感じにするのは止めて欲しい。
熊童子も次第に、オレに対する見方が変わって来ているように感じる。
時たま恋する乙女の眼でオレを見ていた。
おっさん、頼むからその年でオレに恋するのは止めてくれと心から願っていた。
同時に、幾島童子からも嫌われる始末だ。
冷菓と会うまでには、この問題を解決しなければならないと感じる。
熊童子を見て、ある事を思い出した。
戦闘中に、あれだけの冷菓の記憶を得ていたという事は、オレの記憶を呼び起こす手があるかもしれない。
オレは、興奮する熊童子と一緒に、今後の計画を立て始めた。
「はあ、はあ、はあ、今後の計画? 君がそこまで考えているなんて知らなかったよ。
俺は、一時の感情だと思っていたのに……。分かった、俺も本気で君を好きになろう!
二人で生きて行こうじゃないか!」
「止めろ! オレが言いたいのは、そんな話じゃない!
悪かった、誤解を生む様な話し方をして……」
「誤解なんかじゃない! 俺は、本気だ!」
「止めろ! オレの後ろに回るんじゃない!」
興奮した熊童子では、話し合いもスムーズに出来ず、しばらく空母の中で激しい空中戦が繰り広げられていた。一晩の説得の結果、ようやくオレの本題へと話し合う事が出来て、何とかオレの貞操は守られた。超ギリギリの激しいバトルを制したのは、オレだったのだ。
こうしてオレ達は数十時間飛行を続けて、酒呑童子と茨木童子の住む空中都市『エムロード』へと辿り着いた。『エムロード』は、全体が強化ガラスで作られている空中都市であり、エメラルド色に輝いていた。
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