【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

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第十章 引き離されたオレと冷菓!

第六十八話 異次元世界への帰還!

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 オレは、だいたい朝八時頃に起きた。
遅くも無く、それほど早くも無い、人間として普通の時間だろう。
日本人は、大らかに時間を使う事が出来ていない。

会社員は朝早くから起き、仕事をしなければダメな人間だと思っている。
自分の身体に無理をさせ、大金を稼いだところで、身体が悪くなれば自然と会社を首にされる。これが今の社会の流れだろう。

社会保障があるから大丈夫と言っても、その社会保障さえも巧みに削られている世の中だ。
このまま行けば、身体を壊すまで働かせ、病気や怪我を負った場合は、自己管理が成っていないと言って退職にされる世の中になるのは時間の問題だ。

そう、使い回しにされるのは、下端だろう。
しかし、そんな事を続けて行けば、誰も会社を支えてくれなくなり、会社自体の倒産も目前だ。

今までは、若さにまかせてがむしゃらに働けば良かったのだろうが、その考えはもう通じない。
今は、社員の体調管理も気遣った上で、信頼もされなければならない世の中なのだ。

でなければ、できる社員は独立して敵になり、普通の社員も待遇面で別の会社へ移る事を考える。そうなると、出来ない社員だけが残る。

できない社員は、元々それほど会社を信頼してもいないし、支えてもいないから会社の危機を救う事はできない。
それらすべての事実は、会社が倒産する寸前に発覚するのだ。

そうなってからでは、社長がどんなに努力しても部下の信頼を得る事はできない。
そして、顧客も無くなり壊滅する。
会社とは、部下の全てを信頼させてこそ、お客様を安心させる事が出来るのだ。

それが出来ない会社は、どんなに伝統が良くても潰れる。
会社を継ぐ事が出来るのは、カリスマのある人を引き連れて行く人材だ。

まあ、オレにはその能力もあるし、まだ社会にも出ていないので関係ないがな。
オレは、コーヒーを飲みながら、世の中の状況を憂いていた。

この年頃の男子なら、普通に考える事だろう。
社会の洗礼も受けて無く、夢にあふれているからな。

オレがコーヒーを飲み終わると、真槍ちゃんと霊子ちゃんが食事の支度をしていた。
オレの母さんが指揮しているが、真槍ちゃんも霊子ちゃんもオレの為に頑張ってくれている。

オレは、二人の仕事姿を見ながら、新婚生活を思い描いていた。
真槍ちゃんの仕事をしている後ろから、抱き付いてキスしたいと考える。
新婚生活を開始するようになったら、誰もがしてみたいと思う事だろう。

そして、優しく諭されるのだ。もう、そう言う事は、夜になってからねと……。
オレがそんな妄想している事も知らず、真槍ちゃんは無防備にもテーブルを拭き始める。オレの近くでオッパイが揺れ、オレの妄想は膨らみ始めた。

お椀を取る振りして、オッパイに触れようと試みる。
手の平ではなく、腕を押し当てるのだ。
感触はそれほど分からないかもしれないが、真槍ちゃんが気付く事も無いのだ。

オレはそう思って手を伸ばす。
すると、包丁がオレの手の前で落ち、テーブルに突き刺さる。

オレは思わず、落とした人物の方を見た。
オレの母さんが、誤って落としたのだ。

「ごめんなさい。食事の準備の時は忙しいから、大人しくしていた方が良いわよ。
さもないと……」

顔は笑っているが、心の中は分からない。
そう、多くの男性が新婚時に、妻が働いている時を狙ってラブラブしようとして失敗するのだ。

男性には、妻が働いている時に襲いたいと思うが、妻からしてみたらイライラの原因にさえなり得る。
自分が頑張って働いているのに、夫は邪魔し様とするのだから仕方ない。

時には、殺意さえも感じる物だ。
夫の皆さん、妻が働いている時は、できる限り協力してあげよう。

そういう努力を日々培ってこそ、作業中の妻とイチャラブできるのだ。
一朝一夕でできる事ではないので、肝に銘じてほしい。
オレは大人しくなり、食事の準備が整った。

朝御飯を済ませ、異世界に帰る。帰る方法は、お父さんが知っているので安心だ。
オレの父親は、オレ達を連れて駅に行き、切符を買って来た。
指定席ではなく普通電車の切符だ。

「これに乗って、子狐丸のある遊園地を思い浮かべなさい。
そうすれば、異次元世界に辿り着く事が出来る。
今の時間なら人も少ないから、この方法が安くて便利だ」

オレ達が異次元の学校に行った時と違う方法であり、不安を覚える。

「これで本当に異次元世界に行けるのか?」

「他の人には不可能に近いけど、次元能力を訓練したマモル君ならできるよ。
要は、場所を強く思い描きながら眠り込めばいい。
異次元に行くのに、最適な状態は居眠り状態だからな。

その状況が常に使えるマモル君なら、真槍ちゃんを連れて目的の場所に行く事もできるはずだ。
逆に、真槍ちゃんは何も考えないようにするんだ。分かったな!」

「ああ、分かったよ」

オレには、異次元に行くコツは分かっている。
問題なく遊園地へ向かえるだろう。
そう思っていると、真槍ちゃんがこう提案して来た。

「ごめん。アタシは、冷菓の荷物が気になるの。
あの中に、マモル君の記憶に関係した物が入っているでしょう? 
それを確認してみたいの。

今のままなら、茨木童子に勝てるか分からないからね。
勝率が上がるなら、何でもしておかないと……」

真槍ちゃんの意見に、オレの父親も賛成する。

「ふむ、確かに、マモル君の記憶が戻るなら、戦闘力は上がるかもな。
今でこそ、次元能力を使いこなしているが、昔は肉弾戦一本だった。
それでも、私に肉迫し、互角の戦いをした物だ。

今は、次元能力も使えるようになったし、それをうまく合成する事が出来れば、強い敵とも戦えるかもしれない。
まあ、記憶を戻すのが困難だと思うが……」

「冷菓のノートなら、マモル君の記憶がよみがえるヒントが載っているのかも。
それを元に記憶を呼び戻せば、冷菓を救い出す事が出来る!」

真槍ちゃんはそう確信するが、オレの父親はこう忠告した。

「良いのか? 
マモル君の記憶が戻ると言う事は、冷菓との結婚生活の記憶も元に戻ると言う事だ。
そうなったら、君とマモル君の恋愛関係は、無くなってしまうかもしれないぞ。

私の持論だが、妻と一緒に過ごした時間は、何よりも大切な物だからな。
それが戻るなら、巨乳美少女アイドルといえども間に入る事はできないぞ!」

真槍ちゃんは、一瞬止まって考え始めた。
オレの事を考え、自分が諦められるかを模索しているようだ。

「マモル君と冷菓が幸せなら、アタシがその幸せを壊す事はできないわ。
失恋のショックは大きいかもしれないけど、受け止める覚悟はあります。

でも、結婚関係自体は一度リセットしているんですよね。
なら、アタシにもまだまだチャンスはあります!」

父親は、真面目な顔をして真槍ちゃんに言う。

「ヴォルデとしては、冷菓を応援したいが、一人の男としては君にも幸せになって欲しい。
どんな結果になっても、君達を蔑む事はしないさ。よく考えて結論を出して欲しい!」

「はい、分かりました。心に留めておきます」

オレの父親は、オレ達を見送って行く。
オレ達が電車に乗ったのを見計らい、独り言を語っていた。

「姫野真槍ちゃんか……。実は、彼女が一番人間として出来ているんだな。
彼女なら、マモル君を守ってあげる事が出来る。

うーん、正義のヒーローヴォルデとしては、どちらを娘にしたいか悩みどころだな。
可愛い金髪美少女の冷菓か、巨乳美少女の真槍か……。

確かに、あの巨乳は捨てがたい! 
息子の嫁として、ちょっとボディタッチとかなら許されるだろう。
ポヨン、ポヨンと触りたい!」

「へー、私の胸では足りませんか?」

すると、後ろから声が聞こえて来た。オレの母親も見送りに来ていたようだ。
ヴォルデに戦慄が走る。朝のホーム内で喧嘩する迷惑な夫婦がいた。
そのせいで、何の関係も無いサラリーマンが数人犠牲になっていた。

夫婦げんかもほどほどに。無関係な人も危険になりますからね。
こうして、オレと真槍ちゃんは旅立って行った。目的地は、冷菓の部屋。

行った事のない場所だと、異次元世界でも辿り着く事はできないが、冷菓の部屋ならオレも何度か見ている。二時間ほどして、冷菓の部屋に辿り着いた。
唐突に、オレの唇に柔らかい感触が触れる。甘い香りが漂っていた。

「ふー、ここが冷菓の部屋か。ちょっと部屋の中が暗いな。
ベッドの中だという事は分かるが……」

「そうね。ベッドに仰向けで寝ている感じだわ。きっと冷菓のベットの上なのね。
電気を付けたいけど、上に何か乗っていて動けないわ。マモル君はどう?」

「オレは、逆に下に何かいる様な感じがする。
手を伸ばせば、電気が付くと思うが……」

オレは、電気がある場所を探そうとして動くが、下にいる生物を踏んでしまう。

「痛い! 何かに踏まれた!」

真槍ちゃんが騒ぎ始めたので、オレは気が付いた。
暗闇になっているから最初は気が付かなかったが、オレの下にいるのは真槍ちゃんだ。
唇に当たる感触は、紛れも無く真槍ちゃんの唇、胸に感じる弾力は、幻のFカップだった。

キスとハグをしているが、これは異次元世界に来た場所移動の法則に関係している。
二人の人間が同じ場所に移動した場合、重なるようにして出現するのだ。
いわば、異次元移動による事故だ。

突然に場所を変更した為、同じ場所に出現する事を忘れてしまっていた。
指定席で二人違う場所を出現場所にされるか、手を繋ぐなどの肉体的接触があれば避けられた事だが、全く身体が触れていない場合、このように身体が重なる様に出現するのだ。

「そうだ。携帯電話があるわ。この光を利用して……」

真槍ちゃんは、自分の携帯電話を取り出し、周りを確認しようとする。
まずい! 今のオレの状況を見られたら、キスとハグをしていた事が分かってしまう。
そうなったら、かなり気不味い。

オレは、携帯電話の明かりが付いた事を確認し、真槍ちゃんの手を塞ぐ。
オレが明りを確保し、この部屋の電気を付けるのだ。
そうすれば最悪の事態は回避される。

「ちょっと、マモル君の手か足が邪魔よ! 周りが見えないわ!」

「いや、部屋の中が散乱している状況もあり得る。真槍ちゃんは大人しくしていて! 
オレが部屋の電気を付けるから……」

「そう、じゃあお願い」

オレは、明かりを頼りにベッドから降りた。
何とか真槍ちゃんに気が付かれずに電気を付ける事ができた。
オレの危機は回避されたのだ。真槍ちゃんの唇とオッパイの余韻を残して……。
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