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第九章 古代遺跡 学校編最後の試練!

第四十三話 オレの妹 奏子参戦!

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 オレ達は、一泊ほどダンジョンの近くの街で宿をとり、それからダンジョン潜入を試みる。
つまり、一日は街の散策をするなどの平和な日常があるのだ。

 ダンジョンの近くの街は、小さいながらも色々充実している。
真ん中に噴水が街の前方に流れており、街全体を網の様な形で流れていた。
所々でその水を汲む人などもいる。

鉄鋼業や採掘が盛んな様だが、金細工などの土産物や服などのデザインの良い物が揃っていた。

デザイナーが女性らしい。
火事も多いのか、至る所に消防栓も配備されている。

「パートナーになったからには、今日も一緒に行動しようね」

「うん、そのつもりだよ。可愛い服とか、いろいろ買いたいな!」

オレと真槍ちゃんは、二人で街を散策する。
その後を、ゆたかと冷菓が付けていた。

「ああ! なんか手を握り始めた! 
このまま行くと、キスとかハグとかし始めるよ、絶対!」

「これは予想外にマズイ! 手を握るなんて、不倫の一歩手前ですよ! 
キス、ハグをする気配を感じたら、私の氷の散弾が炸裂しますよ!」

ゆたかと冷菓が怒りながら、オレ達を監視していると、同じぐらいの距離を尾行している人物を発見する。
そちらも同じように、オレと真槍ちゃんを見て怒りを感じている様だった。

「畜生! 私と別れている間に、あんな変な子がくっ付いていたなんて……。
でも、なんかテレビで見た様な気が……。テレビ関係者だろうと関係ないわ! 
お兄様を私から奪うには、私とガチで戦って勝たなくては許しませんよ!」

その少女は、冷菓と眼が合い、お互いに顔を見合わせる。
冷菓の方から、その人物に話しかけた。

「ほう、あなたもマモルさんの動向が気になる様ね。
お兄様と言っていたけど、マモルさんの親族かしら?」

「あーら、昔はマモルお兄様の奥さんだったとかいう冷菓さんじゃないですか? 
今は、二人とも若い姿になってしまい、結婚関係も白紙になってしまったんでしょう? 
そんな間柄でも、まだマモルお兄様をストーキングしているんですか? 

忍耐強いと言えば聞こえがいいけど、諦める事が出来ない人は、周りから見ていると滑稽ですよね?」

「ほーう、マモル君に妹がいたなんて初耳だけど、血が繋がっているんでしょう? 
ブラコンも、度が過ぎれば気持ちの悪いだけですよ?」

「あーら、御心配無く。
マモルお兄様は気付いていないかもしれないけど、私とマモルお兄様は血の繋がらない兄妹よ! 

ついでに言うと、お母様とお父様もマモルお兄様を養っていただけで本当の家族ではないの。まあ、一緒に過ごす六年間は、とても充実していたけどね。
マモルお兄様が、私を守ろうと懸命に頑張ったり、無邪気な姿に惚れてしまいましたわ。

それとなくマモルお兄様がショックを受けないように配慮しつつ、私の想いを伝えるつもりだったんですよ。
まさか、死んだと思っていた冷菓さんが無事だったとは思いませんでしたけど……。

まあ、マモルお兄様は、六年間の間で私にべた惚れ。
私とあなたとでは、相手にもなりませんけどね!」

「ふふ、妄想も大概にしなさい。
たとえ若返ろうと、私とマモル君の愛は不滅ですよ!」

冷菓とオレの妹が白熱する話し合いをしている間に、オレと真槍ちゃんはラブラブにデートしながら別の場所に移動し始める。
ゆたかがそれに気付き、冷菓とオレの妹に注意を促す。

「あの、マモル君達がどこかへ移動するよ!
追い駆けないと、見失っちゃう!」

冷菓は冷静になり、瞬時にどうすればいいかを判断した。
ゆたかにこう言う。

「ゆたかちゃんは、マモル君と真槍ちゃんを追い駆けなさい。
何か、ヤバそうな雰囲気になったら、私を呼びなさい。
私は、こいつを処理して行きます」

オレの妹も不機嫌になりながらも、目の前の冷菓を相手にする事にした。
真槍ちゃんは、オレに対しての恋愛感情があるのか分からない。

敵である可能性はあるけど、まだ確定的ではなかった。
そのため、確実に敵である冷菓に標準を合わせる。
かけているメガネを直しながらこう言う。

「ふー、本来ならば、マモルお兄様に全力を出したかったのですが、仕方ありませんね。
あなたの能力は存じています。私の半分の力を持ってすれば、十分でしょうかね。
お母様とは引き分けになったらしいですけど、私はお母様の様に甘くはないですよ!」

「さて、どんな能力を見してくれるのかしらね? 
ちなみに、あなたの名前は何? 
私の知り合いかしら?」

「ふふ、黒沢奏子ですよ。
マモルお兄様と一緒の時は、光宮奏子と名乗っていましたけどね」

ゆたかは、何の躊躇いもなくオレと真槍ちゃんの跡を付ける。
その背後で、街を震え上がらせる恐るべき戦いが始まろうとしていた。
冷菓と奏子は、間合いを取りながら話す。

「ふーん、黒沢奏子か……。
私に唯一敗北を与えた黒沢エレンの娘というわけか……。

決着は付かなかったけど、長期戦になっていれば私が負けていたわ。
そう、その娘なの……」

「ふん、ならきっちりと敗北を身体に味あわせてあげますよ。
どっちがマモルお兄様にふさわしいかをね!」

二人は、街中の噴水の所で戦う事にする。
ここなら、氷を使える冷菓が有利な場所だ。

「水を出現させるのも大変ですからね。
この噴水の水も利用させてもらいますよ!」

冷菓は、お得意の水を凍らせて、物理攻撃で奏子を圧倒しようとするが、いつもより威力が弱目だった。
さすがの冷菓も、一瞬戸惑う。

「あれ? 水じゃないの?」

そう言って、冷菓は噴水をちらっと見る。
その視線に気が付き、奏子は笑いながらこう語り出した。

「ふふ、狙いとしては悪くありませんが、ここが異世界だという事を忘れていませんか? 
ここは、私の作り出した異世界の街なのです。
当然、私に有利な場所に作られているのですよ! 

あなたが氷使いという事は、あらかじめ知っていました。
なので、私のイフリートちゃんが最強になれる場所に誘導したのです。
ガソリンが噴水の水として流れるこの場所にね!」

「ガ、ガソリン!」

「そうです。
本来、ガソリンは水のように透明で、匂いもしない為、いろいろな事故が起きました。

今では、ガソリンに色と匂いを付ける事、専用のタンクに入れて保管する事などを厳しく取り締まっています。

まあ、外国ではペットボトルに入れて、車に給油する原始的な方法を許可している国もありますけど。

異世界の私のフィールドなら、危険も無くこうやって保管できるんですよ。
私がいろいろ実験したという功績もありますけどね!」

炎の精霊『イフリート』が出現し、ガソリンの噴水を呑み込んだ。
辺り一面は、火山が噴火したかの如く荒れ地と化す。
その強大な火炎のモンスターを、奏子は従えていた。

「ふふ、本来の炎の精霊は、『サラマンダ―』ですが、私は人型が好きなので『イフリート』ちゃんと読んでいるんですよ。

ちなみに、地の精霊『ノ―ム』も短足が嫌なので、『ゴーレム』ちゃんと呼んでいるのです。とっても強そうで、カッコいいでしょう♡ 

私は、五体の精霊を操る事が出来るのです。
あなた程度の実力で、何分くらい持つかしらね♡」

「なるほど、あなたは召喚師だったんですね。
イフリートですか、これはなかなか強力ですね。
でも、私の能力は、水と風です。

力比べというのなら、相手になりましょう! 
この程度の火力、二つの能力を合わせれば……」

「勝てるというの?」

冷菓が、氷の巨人を作り出そうとすると、イフリートの火力が上がり、氷の巨人は水に戻ってしまった。

「残念ですね。私の本来の能力は、風属性です。
その属性だけは、イフリートちゃんと合わせる事が出来るのですよ。

さて、イフリートちゃん、地の利のガソリン、私本来の風属性による強化。
相手になりますかねえ?」

イフリートが歩くたびに、周りの木が燃えて、周囲は炎に包まれていた。
街の人々も突然に火事が起きたので騒ぎ出していた。
街全体は、赤く染まり、夕焼けの様な景色をしている。

オレと真槍ちゃんは、街外れの公園にいたから、全然気が付かなかったけど……。
街人は火を消すどころか、お祭りの様に賑わい始めた。

「ファイヤー! 姫様が御乱心されたぞ! 火が付いて、街中が火の海だ!」

「まあ、こうなったら仕方無いべ。
明後日は、普通の噴水に戻るから、今日は火祭りだべ!
この時の為に花火を用意して来ただ!」

「お前、天才か! おら、オイラによこせ!」

「ヒョー、もっと火をよこせ! オイラの家を爆発させるだ! 
どうせ、赤字で火の車だしな!」

「オイラなんて、嫁さんに逃げられただ! 
大金持って、実家に帰らせてもらいますだって! もう、一銭もないだ!」

「おめえ、そりゃあ結婚詐欺に遭ったんだべ。
ちゃんと、婚姻届とか書かないから」

「アタシ、まだ結婚する勇気が無いとか言っていたのは、嘘だっただか!」

「ご愁傷様。今日は、その怒りをぶちまけるんだ!」

「おらあ、彼女がいる奴と、結婚している奴は出て来い! 
オイラの火球を喰らうが良い」

街人達は、客も街人も関係なく、持っている花火をぶつけ合い始めた。
その勢いに乗るかのように、奏子もイフリートの攻撃力を強めて行く。
対峙していた冷菓は、こうつぶやく。

「中々クレイジーな連中ですね」
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