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第六章 水の底から襲い来る死神

第十六話 迫りくる恐怖 不死の軍団??

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 学校に通い始めて一ヵ月ほど経過していた。朝八時ちょっと前になり、オレ達三人は学校へ向かう。
オレとゆたかだけだと遅刻していたが、カタナちゃんがいるおかげで遅刻せずに済んだ。これでようやく通常通りの日常生活が送れるのだ。

そう思って学校へ向かうと、学校が問題に巻き込まれていた。
ダンジョン内に入り、ボスとして待ち構えているはずの教師と連絡が取れなくなったらしい。

更に、ダンジョン内には、教師達も知らないアンデットモンスターが出現したという。
そのため、本来ならばある授業も中断し、ダンジョン攻略に乗り出していた。

本来のダンジョンは、スキュラが住まう海域に船で戦いを挑むという物だったが、その船さえも壊されたので、一から船を作り始めている。
ミノタウロスだったオーガ先生が指揮を取り、船を作り始めていた。

「木材の用意だけは出来ました。ここから船を作って行きます。
オイラが指示する通りに作っても良いですが、自信がある人は自分の方法で船を作っても構いません。

みんな、それなりの技術や知識を持っている子達と聞きました。
どうぞ、各自頑張ってください」

「はーい!」

生徒達は各班に分かれ、オーガ先生の指示通りに船を作り始めた。
どうやら船を造る知識のある生徒はいないらしい。
生徒の大半が真面目に船を作っている中、ゆたかだけが巨乳先生にちょっかいを出す。

「先生のオッパイは、今日も大きいですね。良い揉み心地です」

「こら、止めなさい。
みんなが頑張って船を作っているんだから、あなたも頑張って船を造りなさい!」

巨乳先生は、ゆたかのセクハラ攻撃を回避するため、真面目に船を作っている生徒達を見る様に促す。
ゆたかは確かにその勧めに応じ、オーガ先生と生徒達を見た。

「オーガ先生のあそこも大きいのかな?」

ゆたかはオーガ先生の一点を凝視し、そうつぶやいた。
近くで船を作っていたオレ達は、オーガ先生のピンチを悟る。
カタナちゃんが決死の思いでゆたかの進撃を阻止する。

「ダメだよ。オーガ先生は忙しいし、それに女の子が気軽に見て良い物じゃないんだ!」

「どれどれ、まずは普通サイズを確認しておくか?」

ゆたかは、カタナちゃんのズボンを下げ、男子高校生の平均サイズを確認する。
オレの場所からは死角だったが、ゆたかはカタナちゃんのあそこを確認したようだ。

「あ、ダメ……」

女の子の様な表情をして、カタナちゃんはゆたかの行動を拒絶する。
しかし、ゆたかの行動が予測できずに、バッチリとあそこを確認されたらしい。
カタナちゃんは、がっくりと肩を落とし項垂れていた。

もはや、オーガ先生を守る余裕もない。
男性も女性も、ゆたかに近付く事は危険と判断し、人が避けてオーガ先生にまで至る道が完成した。

このままでは、オーガ先生のあそこも危険だ! 
オレは、ゆたかと距離も取りつつも、オーガ先生を守るため間に入る。
何とか、ゆたかの気を逸らそうと試みる。

「ゆたか、オレ達は今船を作っているんだ。
船が完成したら、お前も乗せて冒険の旅に行きたい。
後ちょっとで完成なんだ。少し待っていてくれるかい?」

「ふね?」

「そう、船だ! ちょっと小さいけど四人乗りのボートだ。
ゆたかの為に、オレとカタナちゃんが作ったんだよ」

「私の為に……」

ゆたかはちょっと驚いたそぶりを見せていた。
まあ、我ながら良く出来ていると思う。
二、三時間では作れないと思わせるくらいの立派なボートだ。

「それで、どこに行くの?」

ゆたかはドキドキしながら尋ねて来た。

「そうだな。
まずは、本来の目的、ダンジョンに入って、アンデットモンスターをやっつけるんだ!」

「モンスターをやっつけたら、オーガ先生のあそこを確認しても良い?」

ゆたかは忘れていなかった。
やはり、巨体のオーガ先生のサイズが気になるらしい。
これでは、オレにはどうする事も出来ない。

「まあ、ボスを倒せたらいいだろ……」

オレは心の中で、オーガ先生に謝った。

「じゃあ、そんなボートより良いのがあるよ。
私のIPETシリーズの一つ、IPET・DOLPHIN(あいぺっと・どるふぃん)のエロスケだよ。

色分けイルカの白い部分を透明のガラス部分にして、潜水艇として使えるよ。
これなら、モンスターとも戦わずに、ボスキャラまで泳いで近付けるよ」

ゆたかはそう言って、エロスケという潜水艇を出した。
大人五人ほど余裕で乗れる大きさの潜水艇だ。
強度もあり、大きさも少しは調整できるという。

オレ達には助かるマスコットだが、やるせない思いはする。
あれだけ船作りで努力していたオレ達が、セクハラしていたゆたかに一瞬で負けたのだ。

他の生徒も死んだような目をしていた。
オーガ先生は優しく語る。

「そう、君達が努力しても、遊んでいるような奴が一気に抜かされるように感じる時は少なからずある。
それでも、がっかりしてはいけない。

君達が努力した経験は、いずれ君達を鍛え、強くしてくれるはずだ。
たぶん……」

オーガ先生も最後は自信を無くしていた。
さすがに、ゆたかの作った潜水艇は予想できなかったので戸惑っているようだ。
教育者である以上、生徒達を励まさなければならない。

しかし、船作りまで頑張って考えていたオーガ先生が、一番ショックを受けていたから仕方ない。
オーガ先生はそう言った後、放心状態になっていた。

きっと夜寝ずに船の作り方を研究し、生徒でも作れる船を教えてくれたのだろう。
更に、朝早くから木を準備したり大変だったはずだ。
その疲労と、精神的ショックがたたり、オーガ先生は疲れて倒れていた。

(オーガ先生、ダンジョンのボスは、オレ達が倒して来ます)

オーガ先生の努力を理解し、オレは消えそうになったやる気を奮い起した。
それはカタナちゃんも同じように思えた。

 オレとカタナちゃんが、ゆたかの良く分からない潜水艇に乗り込む。
折角作った船の為、ゆたかがオレ達の作ったボートをキョゾウの納屋に仕舞い込んだ。
ゆたか的には、オレ達のプレゼントと勘違いしているようだ。

潜水艦がある以上、オレ達のボートは必要ない。
ゆたかが保管してくれるのなら、大助かりだった。
他の生徒達は、やる気をなくしたのか、大人しくしている。

ダンジョンまで行き、潜水艦に乗ろうとすると、エロスケが喋り始めた。
潜水艇の操縦は、彼の人工知能に搭載されている。
彼の機嫌を損ねれば、潜水艇を使う事は出来ないのだ。

厄介な潜水艇と交渉する為、ゆたかが交渉に乗り出した。
いくらなんでも所有者だから、交渉はスムーズにいくだろうと考える。
それが甘かった。

「へい、オイラを使うには、二十代から三十代くらいの綺麗なお姉さんを乗せないとダメだぜ! 

こんなガキ共じゃあ、スクリュー一回転したくもねえ! 
さっさと、美女を連れて来い!」

「よし! ボイン先生を連れて来るんだ。それなら条件にぴったり合う!」

ゆたかはそう言って、オレ達に巨乳のアビナ先生を連れて来るように頼んだ。
せめて、自分(所有者)は、無条件に乗れる様にして欲しい物だ。

オレとカタナちゃんは仕方なく、アビナ先生を探す。
ゆたかがセクハラしていたから頼み難いが、この際仕方ない。

 オレとカタナちゃんが、船を制作していた工場まで行くと、アビナ先生と他の生徒達が倒れていた。
気を失っているようだが、命に別条はないようだ。

カタナちゃんがいなければ、アビナ先生のボインを触る名目で心臓マッサージを試みるが、カタナちゃんがいるのでみんなを安全な所に寝かせるまでにしておいた。

アビナ先生の匂いを嗅ぐと、オレを誘っているような気分になるが、呼吸は正常なので人工呼吸をする事も出来ない。

オレは唇を噛み締めて、誘惑に耐えていた。
目の前で美少女(男だけど)が居るのに、セクハラ紛いの事は出来ない。

 オレ達が倒れたアビナ先生と他の生徒達を介抱し、ベッドに寝かせる。
二十代の美女というと、長髪金髪美女の光子先生しかいない。

オレとカタナちゃんは、光子先生を探し始める。
ダンジョンを攻略する為に、エロスケ潜水艦の操縦ができるのは、彼女しか思い当たらない。

そう思っていると、光子先生を発見した。
船工房の附近に立ち、オレ達を探していたようだった。
何にしても、見付かって良かった。

「Cカップ先生、じゃなくて光子先生。実は、折り入ってお話が……。
あ、生徒と教師の禁断の恋とかではないですよ。安心してください」

オレがそう言って近づき、話しかける。
しかし、彼女の方に反応は無い。
オレが不思議に思って見ていると、突然とろける様に顔が崩れ始めた。

「アンデットモンスターだ! 光子先生に化けていたんだ。マモル君、早く離れて!」

カタナちゃんの言葉も虚しく、オレは気絶していた。
知り合いの美女がアンデット化するのは、かなりショッキングな出来事だったからね。
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