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第3章 王女篇
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しおりを挟む「そう言えば、今の王族は婚約者が居ないものも多いけど、何か理由があるの?ブライアン様の弟と妹も婚約者居ませんでしたよね?」
ブライアン様には2人の妹と1人の弟が居たはずだけど、婚約者がいるのは1人だけだったはず
「貴族の間で親に許可も取らず、勝手に婚約破棄するものが増えたからでしょうね。王様の婚約破棄は元婚約者に問題があったから、婚約破棄しても問題なかったけど、毎回そうとは限らないから、今の王家は小さい頃に無理やり婚約者を決めたりしなくなったのよ。自分で物事の判断が出来るようになったら、王妃様が婚約者に相応しい令嬢を集めてお茶会を開いて、そこで王子と顔合わせして自分で選ばせるのよ。強制ではないから決まる時期はバラバラだけどね」
「なら王子様や王女様は自分の意思で相手を選べるようになるんですね。自分で選べるなら、年頃になって婚約破棄することもなくなりますね」
「そのリスクはなくなるけど、他のリスクや問題があるのよね。婚約者が決まる年齢が遅くなればなるほど、婚約者が決まった時に相手が苦労するわね。実際に私も苦労してるもの、昔なら小さい頃から少しずつ、王妃教育を受けるけど、婚約が決まってから王妃教育するってことは、時間に余裕が無いと毎日長時間の勉強になるわね」
「それって選ばれた相手だけが苦労しますよね?」
「苦労する面ではそうだろうけど、ブライアン様にもリスクはあるわよ。婚約者の王妃教育が上手くいかなかったら、王様になれなくなる可能性があるわ。王様が健康なうちは問題ないけど、王妃教育が終わってないうちに、王様に何かあった時に王太子様が王様にならないといけないけど、王妃も同時に代わらないといけないの、もしも教育が終わってなかったら、ブライアン様が1人で私の仕事を受け持つか、他の兄弟で婚約者が王妃教育を終わってたら、自動的にブライアン様は王位継承権を放棄して、他の兄弟が王様になることになるわ」
「私も小さい頃に婚約者候補のお茶会に参加したことがあったわね。あの時は私も両親も成るつもりはなかったから、目立たないようにして参加した覚えがあるわ。私は1回だけ参加したけど、レイチェルさんは何回か参加していたの?」
「私はほぼ毎回参加していたわね。王妃になりたいって訳ではなかったけど、公爵家の娘として参加しない訳にはいかなかったのよね。それにお茶会に参加する日だけはお母様が私の相手してくれたから、当時はまだお母様に構ってもらいたかったのよね」
レイチェルさんにとって、お茶会は母親と会える大事な機会だったのね。
「レイチェルさんはブライアン様と婚約するきっかけになったのは何だったんですか?」
「お父様とお母様が愛人と暮らしていて、私が家で一人でいるのは結構有名な話だったんだけど、参加者の1人が私みたいな家庭環境が良くないものが、王妃候補になるなんて間違ってるって言ってきたのよ」
普通そんなことを本人に言う?
レイチェルさんは何も悪くないのに、自分ではどうしようもないことで責めるなんて陰湿にも程があるわ。
「レイチェルさんにはどうしようもないじゃないですか。それにそんな家庭環境の人なんて沢山いるはずですわ」
「えぇ、ブライアン様もそう言って庇ってくれましたわ。それとその事を問題しするなら、自分もそんな家庭環境で育ってるって言ってましたわね。それが切っ掛けでブライアン様と関わることが増えて、今では婚約までしてますわ」
「確かに王族は生まれてすぐに親から離されますね。子供は乳母が育てて、母親と会うのは数日に1度だったはず。王様と会うのはもっと間隔が開きますからね」
「王妃が産んだ子供と側室が産んだ子供の環境が一緒になるようにそうしてますね。王妃は忙しくて子供に会えない事も多いですし、逆に側室は会おうと思えばいくらでも会えますけど、自分の子供を甘やかして、王族の義務を軽く考えるものに育つ可能性が出てきますからね。過去には母親に甘やかされて、国民より自分の事を優先しすぎて、王族の義務を全く果たさない者も居たらしいですから」
王族は自分を犠牲にして国民の為に働かないといけない時がある、それは貴族も同じだけど、王族の方がやっぱり責任が重い
王妃や側室は元々王族ではないから、王族としての考えに共感出来ない事も確実に出てくる
王族の考え方は小さい頃からの刷り込みみたいなものだから当たり前なんだろうけど、王族として教育するのに母親が近くにいたのでは、邪魔になる可能性があるから引き離すのよね
たまに側室で絶対に我が子を離さないものも居るけど、その子が王族として正しい行動が出来るなら問題ないけど、もしも王族として問題があったら、病弱扱いされて一切外に出して貰えなくなる。
そう言う者が外に出るには側室の実家の養子になって、王族として名乗るのを禁止されるのよね
間違った考えの者を王族のままにするのは、危険な行為になるから仕方ないわよね。
王族は沢山の者を助けるために、少数を犠牲にしないといけない時がある。
正義感を出して後から沢山の犠牲者が出ることになるのに、その場にいる少数を助けてしまうなんて事はあってはならない
王族は人を犠牲にする覚悟を持たないといけないけど、ちゃんと教育を受けてない者は全てのものを助けるのが、王族として当たり前だという者が現れる
そう言う者が王族だと絶対に周りを巻き込む、王族に逆らえるのは王族だけだから、危険な行動をする可能性のある者は、問題を起こす前に突き放さないといけない
王族と言う権力をその者から取り上げるのが、不幸な未来を作らない為に必要な行動なのよね
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