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第1章

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「イリスお帰りなさい」

「イリスお帰り、何の問題もなかったか?」

家に着くとお祖父様とお祖母様が出迎えてくれた。

「ただいま。何にもなかったかな?そうだ聞いて、私、合格したよ」

「イリスなら絶対に合格すると思っていたよ。そうか~合格したのか。寂しくなるな。」

「長期休暇のときは絶対に帰って来るからね」

「絶対だぞ。騎士科を受かったなら婚約者を見付けた方がいいな」

婚約者?

何でいきなりそんな話になるのかしら?

「お祖父様いきなりどうしたの?婚約者何てまだ早いわよ。これから騎士に成るために頑張っていくのに、婚約者がいても交流を持つ余裕なんてないわ。婚約をするような親しい人がいるわけでもないし」

「イリスが騎士科に入らなかったらそれでも大丈夫だったが、女のお前が騎士科でやっていくには婚約者がいた方がいい。仕方ないことだが騎士は男が多い、そんな中に女のお前が入ると心無い言葉を言う者がいる」

「心無い言葉?」

「ん~、例えばよくあることだと男を漁りに来たとかだな。確かに貧乏貴族の中にはそのような者もいる。仕事ばかりで騎士は出会いが無いから、騎士同士が結婚することは良くあるから勘違いする者もいる。イリスに婚約者が居たらそんな勘違いをされなくなる」

騎士に成りたくて入ったのに、男漁りって言われるのは心外ね

「確かにそれなら婚約者が居たら私には都合がいいことだけど、私と婚約して相手には何の得がありますか?今現在、婚約者候補が居ないのに何の得もない私と、わざわざ婚約したい者なんて居ないと思います」

「その事なら大丈夫だ。相手は決まってる。イリスとライト君を引き合わせたのは婚約者候補として2人の相性を見てたんだ。お前達は気が合うみたいだからな婚約しても大丈夫だろ。ライト君は次男だから我が家に婿入りしても問題ないしな」

えっ!?

そうだったの?

全く気付かなかった。

ライト様は知ってたのかな?

知ってて何でもないような態度で接してたなら凄いな~

私なら意識しまくってた気がする

「ライト様はその事知ってたんですか?婚約者に成ること納得してるの?もしも少しでも嫌がってるなら私は強制したくありません」

「ライト君は知ってて会いに来てたぞ。ライト君は嫌がってないと思うぞ。寧ろな~」

お祖父様はニヤニヤしながら含み笑いをしている

「何なんですか?ハッキリ言って下さいよ。中途半端に終わらされると気になります」

「いずれ分かるよ。俺から話すようなことではないからな」

気になるけど教えてくれなさそうね。

「そういえば学園でアリスに会ったよ


「アリスも彼処の学園受験するのか。勿論、騎士科ではないだろ?」

「うん。違うよ。普通科か家政科だよ。お祖父様はアリスがどれぐらい勉強出来るか知ってる?」

「良くは知らんが勉強はしてないはずだぞ。家庭教師を雇ってないのは確かだからな」

「そうなんだ。受かるのかな?」

例え受かっても校舎が離れてるから関わることは無さそうだけど

「母親の実家に養子に入ったみたいだからな貴族ではあるから受かるだろ。貴族が落ちることはほぼあり得ない。卒業出来るかは別だけどな。」

そっか。

確かにあそこは貴族なら合格間違いないもんね。

成績順でクラス分けだから、貴族なのに下のクラスに入ったら、一族の恥になるみたいだけど

あの子が上の方のクラスに入れるかしら?

せめて中ぐらいのクラスに入らないと、伯父さん達に厄介者扱いされてるみたいだから、余計に肩身の狭い思いになると思うけど

私にはもう関係ないわね。

あの子がどうなろうが、私と私の大切な人達を巻き込まなければどうでもいいわ。
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