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第1章
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しおりを挟むあれから1年が経った、半年後には学園生活が始まる。
5日後には入学の為の試験が始まる。
騎士科は入れる人数が他の科に比べて極端に少ない、騎士科は3年間は学園に学園の生徒として籍はあるけど、実際に学園に通うのは1年間だけ、2年目からは騎士見習いとして現場に配属される。
1年目は体力作りに力をいれる、その訓練についていけないものが一定数いるみたいで1/3は退学するか、他の科に移るものがいる
入学する前から少し不安だけど、生半可な気持ちで騎士になると決めたわけではないので、例え辛い訓練でも逃げないで絶対に騎士になってみせる
「イリス~、準備は出来たか?」
「お祖父様、準備万端よ」
「忘れ物はない?イリスは慌てん坊さんだから私心配よ」
「お祖母様大丈夫よ。行ってきます」
お祖母様にハグをしてから馬車に乗り込んだ
「イリス頑張ってこい、試験の間はアレンの所に泊まれるように手配してるから、何かあったらアレンを頼りなさい」
「頑張ってくるわ。絶対に合格してくるわ」
お祖父様とお祖母様に見送られながら私を乗せた馬車は出発した。
学園がある王都は馬車で3日かかる
1人での長距離移動は暇だ。
馬車の移動で本が読めるなら暇潰しが出来るだろうけど、残念ながら私は馬車で本を読んだら直ぐに酔ってしまう
馬車の窓から外を眺めるけど、ずっと代わり映えしない景色、
誰か一緒にいたらお喋りして時間が潰せるのに
外を眺めてると急に馬車が止まった
「カインどうしたの?」
「お嬢様申し訳ありません。少し離れたところで馬車が立ち往生しているみたいです」
「どうしたのかしら?カイン聞いてきてくれる?もしも困ってるようなら助けてあげて」
「畏まりました、お嬢様は馬車から出ないで下さいね。念のため内側から鍵をかけてください」
私に何かあったらカインの責任になってしまうので、言う通りに鍵を閉めた
しばらくしてカインだけが馬車に戻ってきた
「お嬢様お待たせしました」
「大丈夫よ。それで何だったの?」
「馬車の車輪が壊れてしまったみたいで、助けを呼ぼうにも妊婦お一人と幼い子供と年配の御者が1人で途方に暮れていたみたいです」
カインの話を聞き、私は直ぐに馬車を降りて、困っている親子のところに向かった
近づくと小さい子の泣き声が聞こえてきた
「大丈夫ですか?」
「えっ!?あっすみません、邪魔ですよね」
「そんなこと無いですよ。これから向かうのはどちらですか?私達は王都に向かう途中なので進行方向が一緒ならご一緒にどうですか?お子さんもまだ小さいみたいですし。そのお腹では歩いての移動も出来ないでしょうから」
「本当によろしいのですか?この子も小さいので移動中騒いで迷惑なんじゃないですか?」
「そんな気にしないですよ。子供は元気な方が良いですからね。それに私は騎士を目指してる身なので、困ってる方がいたら放置なんて出来ないですよ。それに移動中話し相手がいたら私も飽きないですみますから」
「でしたらお言葉に甘えて、シアナ村までお願いできます」
一緒に移動することが決まったので、私とカインと御者で荷物を移すことにした。
親子と私は馬車に乗り、御者の方にはカインの隣に乗って貰うことになった
馬車が出発して直ぐに泣き疲れたのか子供は眠りについた
半日程走らせてシアナ村に着いた。
途中で起きた子供はすごく人懐っこい子だった。
子供の名前はリリーちゃんで、リリーちゃんの母親はリーゼさん、リーゼさんの旦那さんは商いをしているみたいで長期間家を空けることが多いから、数ヵ月後に出産を控えてるリーゼさんを心配して、旦那さんは2人をリーゼさんの実家に里帰りをさせることにしたみたいだ。
リーゼさんとリーゼさんの親御さんに、今回のお礼に是非泊まっていって下さいとお願いされて、私とカインはお言葉に甘えることにした
次の日出発する時に私に懐いてくれたリリーちゃんが泣いて引き止めてくるけど、後ろ髪を引かれる思いで出発をした
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