10 / 12
10
しおりを挟む箱の中の私とロベルトとロベルトの恋人は絵だと思ってたのに、普通に動いて話している。
まるで箱の中で生きてるように動いている。
あれは何なの………
意味がわからなくて恐怖で固まってると、急に頭が痛くなり私はその場で蹲る。
………………全て思い出したわ。
あそこにいる梨花はもう一人の私だわ。
そして今は小説の登場人物の1人である、悪役令嬢のエレーナ•ステファンでもある。
こんなことってあり得るの?
私は小説の世界の中に生まれ変わったんだよね?
梨花である私が亡くなった記憶はないけど、梨花は亡くなって私はエレーナとして転生したのかしら?
ここは私の記憶の一部のはず、小さい頃から仲良かった親友とあんな会話をした記憶がある。
梨花だった頃の私はファンタジー系の恋愛モノが大好きだった。
特に私が転生した世界が舞台になってる小説はお気に入りで、ロベルトとヒロインのことを推していた。
今ではロベルトのどこが良いのか理解できないけどね。
前世(?)の記憶を思い出したことで、大きな疑問が浮上してきた。
小説ではエレーナ•ステファンは一人っ子のはず、弟なんて居なかったはずなのにどうなってるの?
それにレオンだって出てこない。
小説の中の私は婚約者であるロベルトに夢中だった。
お父様とお母様も亡くなってなかった。
家族仲は冷え切っていて、両親は私に愛情が一切ないから、私は婚約者であるロベルトに執着してる設定だったけど、実際の我が家は両親はラブラブで子供に愛情深い人達だったわ。
2人は私の憧れの夫婦だった。
だからこそ私に冷たいロベルトに惹かれることは絶対になかった。
私の他にも身近に転生者が居るってこと?
でも誰?
両親があんなに性格が変わって、弟が生まれてるってことは、どちらかが転生者だったのかしら?
それともお祖父様かお祖母様のどちらかが転生者で、小さい頃の教育で両親の性格が変わったのかもしれない。
亡くなってしまった今では確認のしようはないけど、その可能性が高いわよね。
私が悪役令嬢…………
どうなるのかしら?
私はヒロインとロベルトの邪魔はしてないから断罪はなくなるわよね?
時期的に考えると、約1ヶ月後にある王妃様の生誕祭パーティーで婚約破棄をされる。
すごいタイミングで前世の記憶を思い出した。
出来るならもっと早く思い出したかったわね。
でも断罪される理由はないから、小説のようにはならないわよね?
ヒロインのことは虐めてませんし。
断罪出来るとしたら、アランとの関係に気が付いてそれを責めることだけど、そんなことをしたら周りからお前が言うなってなるだけなのよね。
ロベルトだって浮気をしてますし、私とロベルトではロベルトの方が罪が重いって思われる。
ロベルトは格上の我が家に婿にくる、お互いに婚姻の条件に愛人が居ても構わないってなってるなら、それぞれの家の決まりってことで周りから非難されたりしないけど、それなのに同じことをしてるのに私を責めたら、非常識ってロベルトが責められて評判が下がるだけなのよね。
私はロベルトに恋人が居るのを確認してから、アランと付き合い始めたから、このことで責められるいわれはないわ。
どっちが先だったなんて言い始めたら、決定的な物証がないと堂々巡りになってしまいますけどね。
1つ疑問があるとしたら、たまに浮上してくる噂話なのよね。
何故か数ヶ月に1回の間隔で、私がロベルトの恋人に嫌がらせをしてるって噂が浮上してくる。
だけど私はロベルトの執着してませんから、周りも間違いや勘違いだってなって噂は消える。
私自身がロベルトに婚約解消の提案をしてる場面も、複数人の人が見てるから余計に勘違いって思ってもらえてるのよね。
今まではそんな噂が流れて誰にメリットがあるのか分からなかった。
ロベルトがそんな噂を流すわけがない、だってメリットがないんですもの。
婚約解消したらロベルトは婿入り先が無くなって庶民になるだけ、ロベルトの恋人が流してるって疑ったときもあるけど、それもメリットがないのよね。
ロベルトと私が婚約解消して、2人が結婚することになったとしたら、彼女には兄がいるから継ぐ家がないので、2人は庶民になるしかない。
それだったら日陰の存在になってしまうけど、ロベルトの愛人になったほうが良い暮らしは出来そうよね。
だけど彼女が転生者ならどうなるのかしら?
もしかしたら小説のように無理矢理シナリオを進めようとするかもしれない。
だけど小説では最終的にどうなったのか私には記憶がない。
私が知ってるのは断罪されてる場面だけだから、完結する前に私は亡くなってしまったのかもしれないわね。
私の有責で婚約破棄したとして、ロベルトとヒロインが結ばれたとして、多額の慰謝料は貰えるかもしれないけど、庶民になることにかわりはないわよね?
だってロベルトとヒロインは我が家の血は流れてないから、我が家の跡取りには絶対になれない。
血の繋がりもない家の当主になんてなれない。
不明な点が多すぎるわね。
色々と考えることに疲れてしまい、目の前にいる2人を懐かしい気持ちになりながら眺めていると、私の体は動かなくなり、体がどんどん透けていくのを眺めてることしか出来なかった。
50
お気に入りに追加
189
あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
フェンリルさんちの末っ子は人間でした ~神獣に転生した少年の雪原を駆ける狼スローライフ~
空色蜻蛉
ファンタジー
真白山脈に棲むフェンリル三兄弟、末っ子ゼフィリアは元人間である。
どうでもいいことで山が消し飛ぶ大喧嘩を始める兄二匹を「兄たん大好き!」幼児メロメロ作戦で仲裁したり、たまに襲撃してくる神獣ハンターは、人間時代につちかった得意の剣舞で撃退したり。
そう、最強は末っ子ゼフィなのであった。知らないのは本狼ばかりなり。
ブラコンの兄に溺愛され、自由気ままに雪原を駆ける日々を過ごす中、ゼフィは人間時代に負った心の傷を少しずつ癒していく。
スノードームを覗きこむような輝く氷雪の物語をお届けします。
※今回はバトル成分やシリアスは少なめ。ほのぼの明るい話で、主人公がひたすら可愛いです!

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。

家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから
ハーーナ殿下
ファンタジー
冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。
だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。
これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。

魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。
「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。
魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。
――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?!
――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの?
私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。
今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。
重複投稿ですが、改稿してます

転生幼女は幸せを得る。
泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる