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しおりを挟むお父様とお母様が使用人にどんな指示を出してるか分からないから、周りが起きてくる前に家を出ることにした。
最近は私が旅行に行くのをあまり良く思われてないから、使用人を1人も連れて行かないで馬だけで旅行することが多くなった。
貴族令嬢としては問題があるかもしれないけど、使用人は私よりもお父様達の方を優先するから情報が筒抜けになり、旅行を何回か邪魔されたことがあるから、それからは1人で旅行することになったのよね。
この世界には魔導具があるから、女一人でも安心して旅行が出来るから良かった。
荷物が多くてもマジックバックがあるお陰で、馬一頭で移動もできるから便利なのよね。
便利な魔導具は高いけど私は貴族だし、私が旅行を好きってしてるから、お祖父様やお祖母様は誕生日プレゼントに旅行に便利な魔導具を贈ってくれる。
3年前にお祖母様がプレゼントしてくれた、防犯が確りしてるテントを用意してくれた。
許可した相手しか入れず、外からどんなに攻撃をしてもかすり傷も作れない。
このテントの凄いところはテントの中に非常用ボタンがあり、それを押すと1番近くの街に助けを求めることが出来る。
この世界では日本と違い盗賊が当たり前にいる世界。
それに魔物や野生動物がいつ現れてもおかしくない。
女の私でも魔導具で対処できるけど、もしも私一人では対処できなくなったら、テントの中に逃げ込み非常用ボタンを押して助けを待てば良い。
魔導具やテントは女の一人旅には最適のアイテムよね。
これを発明した人にお礼が言いたいわ。
この非常用ボタン付きのテントを発明したのは、私と同じ前世の記憶持ちなんだよね。
その人は私と同じで旅行好きで、旅行に便利な魔導具を色々と発明をしている。
100年以上前の人だからもう亡くなってるけど、もしも生きてたら色々と話してみたかったな。
この世界で前世の記憶持ちを2種類に分類されていて、色々な知識で国の発展に貢献してる者を『神の愛し子』、記憶を持ってるだけで特にアイデアや知識がないものを『愛し子の友』と呼ばれているのよね。
私達より前に生まれてる前世の記憶持ちが色々してるから、ここ数百年は愛し子の友しか誕生してないけど仕方ないわよね。
一般人が知ってる知識なんて大体が似たりよったりでしょうし。
今の時代に生まれたから生活の違いに困ったりしないから、私は愛し子の友にしかなれなくても満足だけどね。
荷物を全部マジックバックに入れて、庶民が着てる服に着替えて準備が完了する。
こんな姿を家族に見られたら、色々と文句を言われるんだろうな。
今の私は動きやすいようにズボンを履いている。
私がいる国では基本的に女性はスカートやドレスと決まってるのよね。
女でズボンを履くのは騎士や小さい子供ぐらいで、一般的に成人した女性はズボンを履かない。
他の国では女性でもズボンを履いてるのに、この国はちょっと古くさい考えが染み付いてるのよね。
女は女らしく男は男らしくって考えが貴族でも庶民でも同じ考えで、ちょっと堅苦しいのよね。
結婚したら好きに旅行に行けないのも、妻は夫が居ない間は家を守るって考えが一般的な考えだからなのよね。
貴族の娘が当主になれないのもそういう考えから来るのよね。
例え長女でも下に弟が居れば、家を継ぐのは弟になる。
もしも男が生まれなかったら、親戚から養子を迎えるか、一時的に娘が仮当主になり男の子を産んだら、その子供が15歳になった時にその子が当主になる。
その間は娘が仮当主だけど、娘の婿が当主の仕事を引き受けることになる。
娘も仕事をする場合もあるけど、書類仕事や人と接しない仕事だけなのよね。
人との交渉では女だと舐められてしまったり、相手の方が舐められてるって感じて、上手く交渉が進まないから仕方ないのよね。
理不尽だけど国全体の暗黙のルールって、1人だけの力では中々決まりを変えることはできない。
この国でも魔法が使えるなら、女性でも男性と同じように発言権があり、女性でも1代限りの爵位をもらうことが出来る。
はぁ~、贅沢を言うなら違う国に産まれたかったわ。
隣国は女性でも活躍することが出来て、優秀な女性なら男性と同じように働くことも出来る。
過去に宰相が女性だったこともあるのよね。
隣の国なのに何でこんなに違うのかしら?
隣国に留学するのも良いかもしれない。
1年だけこの国の学園に在籍して人脈作りをしてから、次の年から留学する人は多いから私もそうしたいかも。
お祖父様達に頼もう!!
早くお祖父様に会ってお願いしたい。
部屋に旅行に行くって手紙を残して、さっさとこの家から出よう。
これでよし!!
行ってきま~す。
応援ありがとうございます!
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