前世で私を殺した姉が今世でも姉でした

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　久しぶりに前世の夢を見たわね。

　前世の私は小さい頃から難病持ちで、普通の子みたいな生活は出来なかった。

　私には双子の姉が居て、私はずっと姉が羨ましかった。

　だけど姉は親の愛情を独占していた私に嫉妬をしていた。

　健康な体を持った姉を羨んでた私と、親の愛情を独占する私を羨んでた姉、お互いがお互いの持ってるものを欲しがっていた私達は、歪んだ関係だったのかもしれない。

　私は姉を嫌っては居なかったけど、姉は私を毛嫌いしていた。

　私はどう頑張ったって手に入らないものだったから諦めが付いたけど、姉からしたら私が居なかったら、親の愛情を手に入れることが出来るはずだったのだから、私を毛嫌いするのは仕方なかったのよね。

　最後は姉の手で殺されてしまった。

　今でも鮮明に覚えている。

　姉の憎悪に染まった顔と嬉しそうな笑い声だった。

　何の因果なのか、転生した今回も私は双子の妹として生まれた。

　確証はまだないけど、今の双子の姉であるクロエは前世の姉と同一人物だと思うのよね。

　証拠もないし、本人が前世の話をしていたわけではない。

　だけど何故か確証がある。

　理由はわからないけど、双子としての勘としか言いようがない。

　自分を殺した相手とまた双子の姉妹として生まれるなんて、気分はあまり良くはない。

　だけど今回の私は前世とは違って健康な体を持って生まれた、そしてクロエは病弱な体で生まれてしまった。

　前世の私と違って死ぬような病気ではないけど、すぐに体調を崩してしまう。

　小さい頃と比べてマシにはなってるみたいだけど、ちょっと無理した日の次の日には寝込んでしまう。

　私とクロエは逆の立場になってしまったけど、私は今の生活に満足をしている。

　両親がクロエを優先してるけど、私を愛していないわけではない。

　自由に過ごせない病弱の子供を優先するのは仕方ない。

　だって体調不良は本当に辛いから、誰かにそばに居てほしい気持ちは分かるし、自由に動けない体に苛つく気持ちも分かるから、私に八つ当たりする気持ちも少し分かってしまう。

　前世の私は自由に遊べる楽しさを知らなかったから、憧れはあったけど簡単に諦めることが出来た。

　だから前世で両親や姉に八つ当たりすることはなかった。

　だけど姉にも前世の記憶があるなら、自由に動けた体を知っているから、今の生活はあの頃の私より辛いはず。

　だからって八つ当たりされても困るのよね。

　今の私は自由を心の底から満喫している、自由にお出掛けが出来て、思うままに体を動かすことが出来ることが、こんなに楽しいことだと知らなかった。

　姉が体調が悪い時は、私は親から放置される事も多いけど、私には専属メイドも居ますし、使用人達も気にかけてくれるからあまり気にならない。

　何をするにも過保護過ぎて、親に監視されてた前世と比べたら自由だと思う。

　好きにお出掛けが出来て、今は色んな所に旅行出来ることが楽しい！！

　それに私には兄が１人居るから家を継ぐ重圧もない。

　貴族としてそれなりに勉強はしないといけないけど、お兄様と比べたら楽なのはわかる。

　我が家は子爵家だから嫁ぐのは子爵家か男爵家だろうから、貴族夫人としての勉強も最低限で構わない。

　親を独占は出来ないけど、好きに使うお金があり、好きな場所に旅行が出来る生活に満足よね。

　これ以上は贅沢は言えないわ。

　お兄様は勉強漬けで可哀想だけど、本人が納得してるのだから私にはどうすることも出来ない。

　それにお兄様のことはちょっと苦手なのよね。

　お兄様は親の愛情に飢えていて、親から褒められるために病弱のクロエを可愛がっている。

　クロエが望んでることを進んでしてるから、私が楽しそうにしてるのを気に入らないクロエの気持ちを汲んで、私の自由を色々と妨害してくるからあまり好きではない。

　クロエも親の愛情を独り占めしてるんだから、それで満足してればいいのに何で邪魔してくるかな？

　私が不幸じゃないと不満なの？