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 1枚の紙を持ったまま立ち尽くす。

 また………落ちた。

 何で!!

 そんなに成績が悪い?

 人相が悪い?

 そんなはずはない!!

 だって学園では毎回上位5人に入る成績だったし、見た目だって悪くないはず。

 学園に通ってる間にそれなりに告白はされていたし、私が通ってた学園は貴族が8割の学園だったから、子爵家の娘である私に媚を売って居たわけではないはず

「あぁ~、また落ちたんだな。ミレイヤは成績優秀だったのに何でだろうな?採用担当からしたら欲しい人材だろ?」

「デニス兄様~~~、私の何がいけないの?やっぱり公爵令嬢に嫌われてたのを放置してたのが駄目だった?」

「キャメロン公爵令嬢か………、ミレイヤのことをかなり嫌ってたもんな。キャメロン公爵は娘に甘いって聞くから、ミレイヤの就職先の邪魔をしててもおかしくないな」

 やっぱりそうなのかな?

 薄々そんな気はしてたけど、公爵が子爵家の娘にそこまでするのか疑問だったんだよね。

「こうなる事は予想出来ただろ?何で対策しなかったんだ?少しでも関係改善しておけばよかったのに」

 無理だよ。

 私のことを勘違いしてて嫌ってたなら、それも出来たかもしれないけど、キャメロン公爵令嬢は私の存在そのものを邪魔に思ってたんだから

「関係改善なんて無理だよ。だって私を嫌ってる理由が理不尽なんだもん。私がキャメロン公爵令嬢より成績が上で、キャメロン公爵令嬢よりちょっとモテてることが許せないなんて、私にどうしろって言うの?」

 キャメロン公爵令嬢に睨まれないように成績を落とすの?

 そんなの将来に関わるんだから絶対に嫌!!

 男性から好かれるのだって私は望んでなかったし、男性から好かれるような行動をしてたわけでもない。

 卒業したら公爵令嬢であるキャメロン様とは関わる機会なんてないと思って、鬱陶しいって思ってたけど放置してたのに、卒業してまで嫌がらせをされるなんて思ってなかった。

「就職は諦めて結婚したらどうだ?ミレイヤなら相手は幾らでも居るだろ?」

「無理!!私はお父様とお母様みたいな結婚がしたいの。好きでもない人と結婚したくない。お父様達だって無理に結婚する必要は無いって言ってくれてるし」

 我が家は貴族だけど両親は恋愛結婚だったから、今でも夫婦仲が良くて2人は私の憧れ。

 だから私も結婚するなら好きな人が良い。

 もしくは私を大好きな人が良い。

 そんなことを思ってるけど、1度も誰かを好きになったことが無いんだけどね。

 もしもずっと好きな人が出来なかったら、独身でも良いって思ってたんだけどな。

 それが出来るぐらい仕事をしたら稼ぐ自信があったし、今は昔と違い女性でも能力があったら、男性並みに稼ぐことが出来るから心配しなかったんだけど、今はまずい状態だよね。

 縁談をしようと思ったらできない訳ではない、うちは子爵家だけど商売が上手くいってるおかげで、高位貴族並みの収入があるから、縁談を申し込んでくる人が多い。

 でもお金目的なのが分かりきってるから、そんな人達から結婚相手を選びたくないんだよね。

 もしもお金がなくなったら捨てられそうでしょ?

 今は就職に重きをおいてるから、就職の邪魔をされてるけど、もしも結婚しようとしたらそれを邪魔されそうだよね。

 就職を邪魔されるのと、縁談を邪魔されるなら後者のほうが貴族令嬢として痛いよね。

 1度でも婚約破棄されたら、私が悪くなくても汚点だと思われてしまう。

「そんなに結婚が嫌なら俺の親友の秘書になるか?」

「デニス兄様のお友達の秘書?デニス兄様にお友達って居たの?」

「居るから!!俺を友達も居ない寂しい人間みたいに言うなよな」

 だってデニス兄様が家にお友達を連れてきたことないですし、休日にお友達と遊びに行ったりもしてないよね?

「ごめんなさい。それでデニス兄様のお友達ってどんな人なんですか?秘書が必要ってどんな仕事をしてる人?」

 秘書が必要ない仕事なら、大抵は職場で秘書を用意してくれるんじゃないかな?

「カイルって言うんだけど、あれはちょっと変わり者なんだよ。天才魔術師って言われてるんだけど、極度の人間嫌いで面倒くさがりだな」

 天才魔術師?

 カイル…………

「ま、まさか、カイル•ネヴィル!?」

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