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しおりを挟む「レオンとメアリー嬢の妹が結婚出来ないのは理解したけど、仮婚約する意味があるのか?」
リオン王子が当然の疑問をぶつけてきた。
普通に考えて無駄な行動に見えるわよね。
「それは私の為なんです。最初の計画では、エミリーとミカエル様が浮気をして、私とミカエル様の婚約を潰すのが計画だったんですけど、それでは私があの家から解放されないと、おじ様達が教えてくれたんです」
「確かにそうかも知れないですね。メアリー先輩がもっと辛い目に遭う可能性もありますよね?」
「もっと酷い目に遭うってどういうことなの?」
「実際にメアリー先輩とご両親の様子を見たことはないですけど、噂やメアリー先輩の話を聞いてる感じだと、メアリー先輩と妹さんは格差をつけられてますよね?」
「そうね。私は跡取りとして厳しくされてきたわ。エミリーみたいに親から愛情を貰った記憶がないかな?」
自分で言ってて辛くなるわね。
もう諦めてるつもりだけど、親からの愛情を諦められない気持ちもほんの少しある。
「そんな親ならメアリー先輩を犠牲にする可能性がありますよね?どんなに契約や約束を取り付けても、実際に妹さんとエルガー家の次男が浮気したら、2人を結婚させて、メアリー先輩は跡取りからおろされて、2人の代わりに仕事をさせられるかもしれない」
カヴィル様は鋭いわね。
私はおじ様に言われるまで気付かなかった。
あの人達ならやりそうだって予想できるのに、そこまで私を蔑ろにするって思いたくなかったのかもしれない。
「そんなの!!人として最低じゃない!!」
「最低だけどあの人達ならあり得る話なのよ。私を家族だとは思ってないんですから、おじ様達に言われるまで、その可能性に気付かなかったのよ」
「そんなの当たり前よ!!普通は親がそんなことをするなんて思いたくないわよ。もしもあの屑共がそんなことをしたら、私がお父様達にお願いして潰してやるわ!!いや……、今からでも潰してもらおうかしら?」
私は家族からの愛情には恵まれなかったけど、私を愛してくれる恋人や友達が居る。
それだけで十分じゃないかしら?
あんな人達の愛情はもう期待するのをやめるわ。
今まで何度も諦めようと思ったけど、今回初めて本気で諦められる気がする。
私にはレオンやおじ様やおば様が居る。
そして私を心配してくれるジェシカやカヴィル様やリオン王子がいるんだから、これ以上に頼もしい人達は居ないよね。
「ジェシカありがとう。でも大丈夫よ。あの人達から解放されるために、レオンにエミリーと一時期だけど仮婚約して貰うことになってるのよ。本当は仮婚約でも嫌なんだけど、他に良い方法はないから」
「どういうことだ?俺にはどんな計画か分からないんだが?」
「仮婚約でも普通の婚約と同じように、契約を結ぶことが出来るのは知ってますよね?」
私の質問に皆が無言で頷く。
良かった。
余計な説明をしないで済みそうね。
そろそろ教室に行かないといけないから、説明は手短に済ませて、ジェシカにお願いしないといけないことがあるんだから
「おじ様はレオンとエミリーの仮婚約が決まったら、お互いに浮気をしないことと、正式に仮婚約から普通の婚約に変わるまでは、2人の婚約を口外しないように契約するつもりなんです。仮婚約が決まったと同時に、我が家に援助してくれる流れになってるんです」
「援助する必要があるのか?」
「そこが罠なんです!!もしも成績が上がらずに今のままの成績なら仮婚約は解消になるので、その時には援助金を丸々返すことになります」
「それは当たり前だろうな」
「リオン王子の言う通りで普通の事なんですけど、私の家族は目先のことしか見えない人達なので、お金を貰ってすぐに使うと思うんです」
エミリーの成績が上がらない可能性が高いのに、後先考えずに次の日にはかなりの額を使うんじゃないかしら?
もしもエミリーの成績が上がらなかった時に、仮婚約が解消されてお金を返すことになるのに、そんな考えは一切しないで豪遊する姿が目に浮かぶわ。
「それともしもあの女が浮気をしたら、多額の慰謝料を払うことになる。慰謝料も援助金の返還なんてあの家には無理だろうな」
「分かったわ!!お金の代わりにメアリーを要求するのね!!お金が支払えないなら、要求を呑むしかないわよね」
「でもそんな上手く行くのか?あちらが契約をしないってゴネる可能性もあるだろ?」
その可能性がないわけではない。
そこは私とおじ様にもどうなるか分からない。
「その可能性もあると思います。でもその時の為に援助でかなりの金額を渡すことになってます。おじ様達に大金を失わせてしまうことになるのは、私としても心苦しいですけど」
「気にするなよ。メアリーを自由にする為なら、俺達は幾らでもお金を使うつもりだ。あんな家族から引き離すためなら、大金を失っても痛くも痒くもない。父上達も同じ気持ちだ」
レオンは私を安心させるために、優しく抱きしめてくる。
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