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 恥ずかしさで居た堪れなくなっていると、控えめなノックの音が聞こえてから、そ~っとドアが開けられる。

「入っていいかしら?」

 ドアから気不味そうにジェシカとカヴィル様が顔を覗かせる。

「なんで遠慮してるんだ?」

「だってドアを開けようとしたら、メアリーの告白が聞こえてきたから、入りづらくて外で待ってたら、カヴィル様が来たからタイミング的に今だと思ったけど、知らんぷりして入るのはちょっと~~~」

 ジェシカにも聞かれていた!?

 今すぐこの部屋から出て行きたいけど、ジェシカに話がありますし。

「メアリー嬢……、どんまい」

「追い打ち掛けないでください!!」

 リオン様からしたら面白いだけだろうけど、私からしたら居た堪れなくて仕方ない。

「レオンごめんなさい。貴方も気不味いわよね?」

「俺はそんな事は全然ないぞ。メアリーからの愛情を再確認出来て幸せだ」

 うーん、レオンが幸せそうだから良いかな?

 私の行動のせいで、レオンには沢山不安にさせてるだろうから、これぐらいの恥は我慢しましょう。

「ジェシカにお願いがあるんですけど」

「私にお願い?」

「私の親はレオンとエミリーの婚約を進める気でいるんです」

「なんでそうなったの!?メアリーみたいに優秀だったら問題ないけど、何も出来ない見た目だけが取り柄の子爵令嬢が侯爵家に嫁げるわけないじゃない」

 事実だけど酷い言われようね。

 何の努力もしないエミリーの自業自得だけど、お父様達もなんであれを許してるのかしら?

 本気でエミリーが侯爵家の嫁になれると思ってるの?

 もしも我が家に男の子が居て、跡取りとして育ててきて、その嫁がエミリーみたいでも認めたのかしら?

 ミカエル様もエミリーと同じタイプだけど、エルガー家にはお金があり、婿にしたら大金が入るから認めたけど、もしもお金もない顔だけだったら拒否したんじゃないのかしら?

 ハズレの家とハズレの婿を押し付けられた私は不幸すぎる。

 エミリーがなんで跡取りになるのを執着してるのか理解出来ない。

 私達が当主になる頃には、借金で苦労する未来しか予想できないのよね。

 借金の大部分がエミリーと両親の無駄遣い。

 領地の為や領民のための借金ならまだ我慢できるけど、エミリーと領民の無駄遣いでの借金なんて地獄でしかない。

 エミリーは我が家が金持ちだって、勘違いしてるんじゃないかしら?

 だから跡取りになったら、今以上に豪遊出来るって思ってそうよね。

 少しでも我が家のことを調べたら分かるのに、あの子は我が家の現状を知ろうとはしてない。

 お母様も知らない気がするのよね。

 お父様は知ってはいるはずだけど、どうにかなると思ってるか、自分が生きてる間のお金さえあれば、後のことはどうでもいいって思ってるのかもしれない。

 私や私の子供が困ったとしても関係ないと思ってそうよね。

 今のままだと数年後には借金地獄になってそうだから、お父様達も困ることになるでしょうけどね。

 私達が学園に通うようになってからは、エミリーが男性関係でトラブルばかりだから、慰謝料とかでお金の減りが早い。

 これにはお父様達も予定外だったみたいで、その穴埋めに私とミカエル様の婚約が決まった。

「なんでエミリー嬢とレオンが婚約する流れになってるんだ?」

「レオンのお父様にお願いして、私を指名で婚約の申込みをしてもらったんです。跡取りをエミリーに変更して、私との縁談を進めてくれたらラッキーぐらいの気持ちで」

「じゃあ当てが外れたってことか?」

「いえ、予想通りです。お父様はエミリーを侯爵家に嫁がせたがってましたから、私を指名の婚約だとしても、エミリーを紹介すると思ってました」

 普通はそんなことをしないんですけどね。

 私とエミリーが似たような成績で能力なら問題ないけど、全く違うので普通はありえない話だけど、あの人はそんなことを気にしないですから。

 あの人達には恥って概念がないんじゃないかしら?
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