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しおりを挟む全部上手くいくと思ったけど、新たな問題点が出てきたわね。
エルガー様の浮気相手がエミリーでも、他の相手でも地獄には変わりないわよね。
相手がエミリーの方が地獄かしら?
浮気相手がエミリーじゃなかったら、新しい相手を親が見つけてきて、エミリーをさっさとお嫁に出して貰えばいいけど、エミリーが浮気相手だと、私は永遠にあの親とエミリーから逃げられない。
今は一応は跡取り扱いだけど、エミリーの行動次第では奴隷になるってことよね。
そんなの絶対に嫌よ。
「ならこっちも大金をチラつかせるか。エルガー家より多くを出して、メアリーちゃんを嫁に欲しいと提案する。メアリーちゃんをお金で引き取るみたいで、気が引けるがあの両親相手ならそれが確実だろう」
「そんな!?おじ様達に大金を使わせるなんて出来ませんわ!!私の家族に大金を渡しても、ドブに捨てるようなものですわ」
「それでも良いのよ。それであの家からメアリーちゃんが自由になれるなら安いものよ」
おば様は私を抱きしめながら頭を撫でてくる。
「それであちらが手放してくれれば良いけど、跡取りとして育てたメアリーを手放すか?大金を手に入れるために妹の方を推薦してくるんじゃないか?」
「それならそれで良いじゃないか。こちらとしても好都合だよ」
「俺にあんなキチガイ女を相手しろっていうのか!?俺が結婚したいのはメアリーで、あんな気持ち悪い女じゃない!!」
すごい言われようね。
あの子の自業自得なんでしょうけどね。
「勘違いをするんじゃない。私だってあんな子が我が家の嫁に来るのはゴメンだよ。私に良い考えがある」
「良い考えですか?」
「少しの間だけ2人には不愉快な気持ちにさせるかもしれないが、レオンとメアリーちゃんの妹の婚約話を進めるつもりだ。だけどこれはシルフォード家に対しての罠だよ」
どういう事かしら?
一時期とはいえ、エミリーとレオンが婚約するのは不愉快だけど、私もレオンに同じ思いをさせるのだからお互い様よね。
「何をするつもりだ?」
「我が家からは直接何かをするつもりはないさ。向こうから墓穴を掘ってもらうつもりだよ。レオンと妹さんの婚約は仮の婚約を提案する。正式に婚約するには、妹さんに成績を上げてからって提案をするんだ。それまで婚約話は口外してはいけないって契約をする」
「それでどうやって嵌めるんだ?成績が上がらなかったら婚約は進まないかもしれないが、その状態がずっと続くだけだよな?」
「それは期限をつけるんだよ。一気に成績を上げろとは言わないさ。次の学園のテストで100位以内に入ってもらう。その次は50位以内にする。1度でも達成出来ないなら婚約話は無しだ」
ひと学年150人ぐらいだから無理な話ではないわね。
下の方の成績の人たちは似たりよったりの成績だから、真面目に勉強すれば100位以内は楽勝なはず。
50位以内は本気で頑張る必要があるけど、おじ様が出す条件は無謀な条件ではない。
侯爵家に嫁ぐならそれぐらい出来ないといけないもの。
「それは理解したけど、そこからどうやってメアリーと結婚するんだ?」
「婚約の条件に成績の他に浮気をしたら婚約破棄も条件を加える。我が家としても身持ちの軽い女性は困るからね」
「我が家と婚約出来るのに浮気なんてするか?」
「それはどう誘導するかをメアリーちゃんと決めるんだよ。メアリーちゃんなら良い方法を思いつくんじゃないかな?元々浮気をさせるように誘導するつもりなんだから問題ないだろ?」
確かに問題ないかも。
親はその条件を聞いたら、必死にエミリーの行動を制限しようとするかもしれないけど、1度も我慢を強いられてきてないエミリーが我慢できるわけない。
「おじ様達に手伝って貰うことになるけど、あの子は単純だから簡単に引っかかると思う」
「どうするのかな?」
「おじ様とおば様には、エミリーの前で私を褒めてほしいの。私がその場に居ない時でも褒めてくれると、エミリーは私に敵対心が増すと思う」
あの子は私が自分より評価されるのを許せない性格だから、絶対に上手くいくと思う
「それなら簡単だね。メアリーちゃんを褒める所は沢山あるからね。でもそんな事をしたら、メアリーちゃんが危険な目に遭ったりしないかい?嫉妬は厄介なものだよ」
「あの子が直接私を傷付けたりは出来ないんですよ。自分が直接攻撃してるのを見られて、周りから幻滅されるのを一番恐れてますから、レオンには全て解決するまでは、私にも妹にも興味がないふりをして欲しいの。縁談話は親だけが張り切ってるって思わせたいのよ」
「それは構わないけどそんな事で良いのか?俺もメアリーのために何かしたい」
「今回は何もしてくれないほうが助かるかな?エミリーがレオンに目を付けたら困るもの。エミリーは私に好意的な人や、私が好意を持ってる人に執着するから、レオンが何の反応もしないなら、狙いは絶対に私の婚約者になるわ」
エミリーがどう行動に移すか手に取るように分かる。
これが双子だからなのか、エミリーが単純なだけなのか分からないけど、そのお陰で計画もたてやすい。
「それが上手くいったとして、メアリーをどうやってあの家から引き離すんだ?計画が上手くいっても、父上がさっき言っていたみたいに、エルガー家の次男と妹が結婚したら、メアリーに仕事を押し付けるんじゃないか?」
「それなら考えがある。エルガー家でも出すのが厳しい金額を結納金として渡す。本来なら仮婚約の状態で渡したりしないが、よく考えもしないで受け取るだろ。正式に婚約が無理だった場合は、全額返してもらうって契約をするんだ」
それなら絶対に返すことになるわね。
勉強をするわけないですし、浮気をするに決まってるもの。
「でもそうしたらお金が返ってくるか分からないですよ?結納金を娯楽に使うでしょうから、婚約破棄の時には半分も残ってるか分からないですわ」
「それで良いんだよ。返せないなら代わりにメアリーちゃんを嫁に寄越すように命令すればいい、メアリーちゃんが嫁に来るなら、大金を出しても惜しくない」
それなら私も解放されるかもしれない。
ううん、それしか方法はないかもしれない。
「本当に頼っても良いんですか?」
「私は構わないわよ。メアリーちゃんが娘になるなら大歓迎よ!!」
「よろしくお願いします」
私が頭を下げると、おば様は私をギュッと抱きしめて、レオンは私の頭を撫でる。
おじ様はそんな私達を一歩下がって温かく見守っている。
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