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しおりを挟むリディアは今まで私が反撃しなかったから、私になら何をしてもいいって思ってるのよね。
前は私には味方が居なかったから、反論しても意味がないって思ってた、だけど今の私には沢山の味方がいる
前の私とは違って分らせないといけないのよね
「貴女は残酷なことを言うのね」
「私は間違ったことを言ってないわ。間違ってるのは今のお姉様よ」
「貴女は自分が言ってることが貴女の兄を苦しめてるって気が付かないの?この人にだって何処かに本当の父親がいるのよ。戸籍ではジョルズ•メリルの息子になってるけど、本来は甥と伯父の関係だから、私とクリスお父様と同じ立場よ」
リディアはハッとしてようにブルーノを見ると、慌てて色々と言い訳をしている
「シルビアお姉様は父親が分かってるけど、ブルーノお兄様は父親が分かってないから良いのよ」
随分と都合がいい話ね
この子には何を言っても無駄な気がする
「あら?調べれば簡単にブルーノ•メリルの父親なんて見つかるわよ。庶民と違って貴族の行動は目立つから、調べればロアナ•メリルが当時、仲良くしていた人を調べられるはずよ。最近は血の繋がりを証明する研究が進んでるから、親子だって証明も出来るはずよ」
アンリお姉様がそう言うとブルーノはビックリしたように、アンリお姉様をジッと見る
もしかしたらブルーノはずっと本当の父親を知りたかったのかもしれない
ロアナ叔母様の気持ちを優先して探さなかったけど、実際に調べたら恐らく簡単に見つかるはず
ロアナ叔母様がブルーノの父親の正体を絶対に話さなかったことを考えると、庶民か妻子持ちだったんだろうって言われている
「調べるのは簡単だろうけど、相手の家庭やブルーノ•メリルの今の生活が壊れる可能性があるけどな。命を狙われる可能性だってある」
エリックお兄様が現実を突きつけると、ふたりの顔色がどんどん悪くなる
貴族として生活してきたなら言われなくても分かると思うけど、二人は全くそんなことを考えてこなかったのね
「その様子だと全く想像してなかったみたいだな。ブルーノ•メリルが生まれて12年が経ってるのだから、男に妻や子供が居てもおかしくない。妻や子供にとってブルーノ•メリルは邪魔な存在でしかないだろ」
「でも家族なら仲良くすればいいじゃない。私なら家族が増えたら嬉しいわ」
家族が増えたら嬉しいなんてよく言えるよね。
私のことを邪魔扱いして、親子で私のことを邪険に扱っていたくせに
「本当にそう言えるか?もしもジョルズ•メリルの子供だって名乗る男が急に現れたとして、その子供を家族として歓迎できるのか?」
「勿論よ!!弟か兄が増えるなんて良いことでしょ?ブルーノお兄様だってそう思うでしょ?」
「そうだな。男兄弟が出来るなら嬉しいな」
はぁ~、ウィリアムお兄様が言いたいことを全く理解してないわね
リディアはまだ仕方ないかもって思うけど、ブルーノは何故わからないのかしら?
ここは貴族が通う学園なのだから、そういう話を聞く機会は沢山あるはず
「その子供がブルーノ•メリルより年上で、そこ子供にもメリル家を継ぐ資格があるって言われても同じことが言えるの?跡取りとして大変な思いをしてきたのに、自分より年上だから次期当主になる可能性が、自分より高いって知っても家族として歓迎できますか?」
黙ってようと思ってたけど、一時期は家族として一緒に暮らしてた2人が、私が想像してたより情けなさ過ぎて黙っていられなかった
リディアは自分にはあまり影響がないせいで、あまり実感が無いみたいだけど、ブルーノはやっと理解したみたいね
「これ以上話してても無駄だな。シルビアがお前達の所に戻ることはない。今のシルビアの家族はお前たちではなく俺たちだ。シルビアを傷付けていたお前達が、シルビアに話しかけることを俺は許さない」
「私はシルビアお姉様を傷付けてるつもりはなかったわ。今度からは気を付けるから戻って来て!!」
諦めが悪いわね
これ以上ここで騒いで無駄に目立つのは嫌なんだけど
「傷つける気持ちが有ったかどうかなんてどうでもいいのよ。シルビアが傷付いてたことに違いはないわ。傷付けたって気が付いたなら、普通はそこで謝るのが常識でしょ?貴女達は一度もシルビアに謝ってないのは反省してないってことじゃないの?」
「それは………」
リディアは図星をつかれたみたいで、何を言い返すことが出来ずにいる
「はぁ~、ここまで言われても謝罪が出来ないんだな。シルビアの幸せの為にもう二度と関わらないでくれ、君達と会うとシルビアが傷付くだけだ。もしもこれ以上シルビアを利用するつもりならもう容赦はしない」
エリックお兄様は言い終わると同時に、私達の背中を押してここから離れることにした
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