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しおりを挟む私が目が覚めた頃には、ワンちゃんの治療が終わりワンちゃんの足には包帯が巻かれていた
「何でお兄様達とお姉様がここにいるの?」
私は目が覚めたときにベットの横にいたお兄様達に声をかける
アンリお姉様は学園から帰ってきたら、毎回私のところに来るからあまり気にならないけど、ウィリアムお兄様とエリックお兄様が来るのは珍しくて質問をする
「シルビアが危険な目にあったと聞いたから心配だったんだよ」
「私もよ。私の可愛いシルビアを誰かが傷つけようとしてたなんて許せない!!お父様にお願いして絶対に死刑にしてやるわ」
「アンリは馬鹿だな。簡単に死刑にしたら、シルビアを狙ったやつは一瞬だけ苦しんですぐに解放されてしまうだろ。犯罪奴隷専用の鉱山におくって、死ぬまで労働させるほうがいいだろ。稼いだお金は全てシルビアのお小遣いにするのがいい」
「それ賛成!!ウィリアムにしては冴えてるわ」
うん………
怖すぎる
死刑にするとか、犯罪奴隷にするとか
お兄様達からの愛が重い
「シルビア姫が引いてるぞ」
セドリック様が私の代わりに、私の気持ちを代弁してくれた
私は心を落ち着かせるために、私の膝で寝ているジャンヌの頭を撫でる
「アンリお姉様達が誰からどう聞いたのか知らないけど、罠が何のために仕掛けられていたのかは分かってません。それに罠で怪我したのは私ではなく、ワンちゃんなので私は全く危険な目にはあってないよ」
「それは聞いたけど、もしかしたらシルビアが怪我をしていたかもしれないのよ。仕掛けられていた罠は危険なもので、もしも引っ掛かって居たら大怪我をしていたはずよ。実際に罠に引っ掛かっていた犬も、足の骨を折っていたみたいよ」
「えっ!?」
私はアンリお姉様の言葉にビックリして、ベットから降りて近くにいるワンちゃんのところに行く
ワンちゃんの目の前に腰を下ろすと、ワンちゃんはグッタリしながら寝ている
「その犬なら今は麻酔で寝ているぞ。本当は別の部屋に移すつもりだったんだが、犬がシルビアの側から離れたがらなかったから、そのままシルビアの部屋で安静にさせることになったんだよ。それと………」
ウィリアムお兄様は私が寝てる間に起きたことを丁寧に1から教えてくれた
だけど言いづらそうに何か口籠っている
「ウィリアムお兄様?」
ウィリアムお兄様はとうとう私から目を逸らす、アンリお姉様なら何か知ってるかもしれないと思い、アンリお姉様の方を見るとウィリアムお兄様と同じような顔をして、目を合わせてくれたい
エリックお兄様の方を見ると、エリックお兄様は私にベットに座るように言ってきた
「今から話す内容はシルビアにはちょっと辛いかもしれないけど、本当に話していいのか?今なら聞かなかったことにも出来るぞ」
「エリックお兄様が話そうとしてるのは、誰についてのお話なの?」
「シルビアが保護してる犬についてだ」
もしかしてワンちゃんの怪我はそんなに酷いの?
でも聞かないって選択肢はない
「教えて」
「この犬が王宮で飼われてる警備犬なのはもう知ってるよな?」
「うん」
「この犬が今後警備犬になれる可能性が低い、一度大怪我を負った警備犬は恐怖を覚えて、本来の力を発揮できない可能性がある。怪我が治ってみないとどうなのか分からないが、この犬には他にももっと問題があるんだ」
確かに痛い目にあったら、その出来事を避けるかもしれない
警備犬はそれでは駄目だよね
「他の問題は何?」
「罠に毒が塗られていたみたいで、怪我が治っても麻痺が残る可能性が高い。もしも麻痺が残るなら警備犬として致命的だ」
エリックお兄様の話を聞いて、私の目から涙がポロポロ流れる
ワンちゃんは何も悪くないのに、人間のせいで体が不自由になるかもしれないの?
「このままだとワンちゃんはどうなるの?」
「もしも体に麻痺が残ったり、警備犬として活動出来ないようだったら、このまま王宮で飼うことはできない。王宮にいる犬達はペットではないからな。新しい飼い主を探すか、最悪は殺処分だな」
殺処分!?
そんなの酷すぎる
人間のせいで怪我をしたのに、満足に動けないから殺されるなんて
「そんなの駄目!!…………私が飼う。クリスお父様にお願いするわ」
「難しいと思うぞ。この犬は大型犬だ。小型犬なら父上も許してくれるだろうけど、大型犬を飼うのは許してくれないと思う」
「それでもお願いするわ。この子はいい子だから、クリスお父様もきっと許してくれるわ」
絶対に認めてもらうわ
この子を不幸な目には遭わせない
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