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しおりを挟むクリストファーside
俺の目の前には殺したいほど憎い奴らがいる
シルビアの父親と継母は顔面蒼白になっている。
シルビアのことが俺にバレたらどうなるかは理解していたみたいだな。
シルビアの義兄と義妹は何が起きてるのか理解してないみたいだな。
義兄の方は何かマズイ状態だとは分かってるみたいだけど、ここに呼ばれた理由がわからないのか困惑してるのが雰囲気でわかる
義妹の方はキョロキョロしてから、がっかりしてるみたいだが何を期待してたんだ?
「メリル侯爵、何故ここに呼ばれたか分かっているな?」
「お、お義兄さん……、な、何故私はここに呼ばれたのでしょうか……」
「お前に私をお義兄さんと呼ぶ権利はない!!」
「カトリーヌは亡くなりましたが、私にはカトリーヌと結婚してたことには代わりはありません!!私がエルザと再婚したから許せないのですか?でも再婚して何年も経ってるのに今さら文句を言うのは卑怯だと思います。私は娘には母親が必要だと思いエルザと結婚したんです!!」
シルビアの為に再婚したなどと思ってもないことを良くも言えるな
俺はこの男にここまで馬鹿にされていたんだな。
「お前の言う娘とはシルビアのことか?それとも血の繋がっていないその娘か?」
「シルビアのことに決まってるじゃないですか。今では妻の連れ子であるリディアの事も娘として大切ですけど、シルビアは特別ですよ」
「お前は大切な娘を家に残して数ヶ月も旅行に行くのか?大切な娘が居るはずの家に、使用人を二人しか残さずに良くそんなことができるな?私が何も知らないと思っているのか?」
男は私にすべて知られてるとわかり、冷や汗を流して黙り込んでしまった
「わ、私達もシルビアを旅行に連れていきたかったんです!!でもあの子は私とリディアのことを家族と認めてないから、一緒に旅行になんて行きたくないって……」
女はそう言って、態とらしく顔をおおって泣き真似をする
「夫は貴女に発言を許してないですわよ。例え元庶民でも、侯爵夫人になったなら再婚して数年経つのだから、貴族として最低限のマナーを学んだらどうかしら?それと女の私には嘘泣きは通用しないですわよ」
「王妃の言う通りだな。私はメリル侯爵に王宮に来るように言ったが、最低限のマナーも分かってない者まで来るようにとは言ってないぞ。特に私に嘘の報告をしてたものには会いたくなかったな」
俺はそう言って、メリル侯爵夫人とその娘をチラッとみた
流石の馬鹿でも俺の言いたいことがわかるよな
「陛下!?シルビアから何を聞いてるかわかりませんが、私は陛下に嘘などついていません!!私は自分の子供全員を平等に愛しています。もしかしたらシルビアはそれが気に入らなかったのかもしれません。シルビアは自分だけが周りから愛されることを望んていたのかもしれません。だけどブルーノとリディアも私の子供です。二人も大切にする義務が私にはあります」
往生際が悪いな。
素直に自分の過ちを認めればいいのに、諦め悪く言い訳をして
剰え、シルビアが我儘みたいな言い方をするなんて
「では何故シルビアは毎日一人でご飯を食べていたんだ?家から出すこともなかった。貴族の中には学園に入学するまで家を出さないものも居るが、お前はそうではないよな?他の子供たちは外に出ているのは知ってる」
「それはその………、シルビアが妻達と一緒に過ごすのを嫌がったから、それにシルビアは王族なので安全の為に家から出すことを躊躇っていたんです」
「おかしい事を言いますわね。父親なら再婚相手と子供の仲を改善させようとすればいいでしょ?もしもシルビアが彼女達と食事をするのを嫌がったなら、シルビアと過ごす日も作ればよかったのです。そんな努力もせずに貴方はシルビアを見捨てたのですわ」
メリル侯爵はソフィーの手厳しい言葉に反論出来ないみたいだな
「侯爵家なのにシルビア1人守ることが出来ないのなら、シルビアは我々が引き取らせてもらう。お前たちへの罰は社交界に2年間参加を禁止する。王宮への立ち入りも禁止させてもらう」
「そうな!?」
「黙れ!!これぐらいで済んだことを感謝するんだな。お前が妹を身勝手に嫌ってたのは知ってたけど、まさか自分の娘にも酷いことをするとは思ってなかった。今後一切、お前たちはシルビアの家族と名乗ることを禁ずる。もしもシルビアに馴れ馴れしく近づいたら許さん。これは王命だ。話は終わりだ出ていけ」
メリル侯爵家の者たちは騎士たちに引きずられるように部屋から出て行った
「あの者たちが命令を守ると思う?」
「守るわけ無いだろ。これは私の大切な者を傷付けた奴らを裁く為の序章だよ。ジョルズはずる賢いからもう近付かないだろうけど、あの愚かな娘なら絶対に絡んでくる。あの娘もこの場に居たのだから、聞いてないって言い訳は出来ないからな」
「ふふふっ、貴方を怒らせると怖いわね。私達の子供は貴方の怖さを知ってるけど、シルビアが貴方の裏の顔を知ったらビックリするでしょうね」
ソフィーはそう言って楽しそうに笑う
シルビアにはなるべくバレたくないな。
あの子には出来るなら優しい伯父さんだと思われたい。
いや………、これからは優しい父親だと思われたいな
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