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しおりを挟む私が王宮に避難してから約2ヶ月が経った
お父様たちが帰ってくると伯父様に情報が入ったみたいで、私達は緊急で集められることになった
「父上、シルビアの父親が帰ってくるって話は本当なんですか?」
「本当だよ。ある協力者が私に直接情報を持ち込んできた」
「その協力者とは?」
「お前たちもビックリするぞ。セントって言う集団を知ってるな?」
セント?
何だろう?
私は聞いたことないな~
「えっ!?あのセントがお父様の味方になったの?」
「アンリお姉様、セントって何ですか?」
「シルビアは知らない?セントは悪徳貴族を中心に裁いてる集団だよ。悪徳貴族を確実に破滅してくれる者に、確実に潰せる情報を送ってるんだよ。姿を見せることはないけど、送られてくる書類に絶対にセントってサインされてるの」
なにそれ…………
かっこいい!!
正義のヒーローみたい!!
「すごいね!!かっこいいね!!そんなすごい人が伯父様の味方になったの?」
私は伯父様の凄さを改めて実感して、伯父様を見つめてると、伯父様は照れくさそうにしている
「そんなに褒められると気恥ずかしいけど、セントが肩入れしてるのは私ではなく、シルビアお前にだよ」
「えっ?」
「私もビックリしたんだけど………、余程あの者たちはシルビアが大切だったんだろうな。シルビアを助けるために危険なことを知っててもこの道を選んだみたいだ」
どう言うこと?
私の知り合いなの?
「入って来てくれ」
「失礼いたします」
伯父様の許可を合図に、私がよく知ってる人達がぞろぞろ入ってきた
「トム、ジル、ルナ!!それに皆も………、無事だったんだね」
私は思わず1番近くにいたルナに抱きつく
「シルビアお嬢様!!お迎えに行くのが遅くなり申し訳ありません。私はお嬢様を心配しない日はありませんでした。元気でやってるか、あの男達に酷いことはされてないか心配してました」
ルナはそう言って、私の体をぎゅ~っと抱きしめる
「ルナ、私は大丈夫よ。ちゃんとご飯を食べていたわ。ルナの言う通りにあの人たちに逆らうこともしなかったのよ」
「それは良かったです。あの者たちも流石に、王族であるシルビア様を直接傷付けることは出来なかったみたいで安心しました」
私とルナが久しぶりの再会に喜んでいると、私のドレスが引っ張られる
「シルビアお姉様はこの人たちと知り合いなの?」
「この人たちは私のお母様が雇っていた元使用人達なのよ。お父様達に追い出されてしまったけど、私を絶対に助けるって言ってくれてたの」
私は結局待ってることが出来なくて、自分で逃げ出してしまったけどね
「元使用人だった人が今ではセントって集団になってるんだ?」
「私達はシルビア様があの家に居ても幸せになれるとは思えませんでした。だからシルビア様を助けてくれる人とコンタクトを取りたかったんです。だけど私達は孤児院出身で侯爵家をクビになったので、侯爵家からシルビア様を助けられるような人と、会えるような身分ではありません」
「それが何でセントって組織を作って裏の仕事をすることになったんだ?」
エリックお兄様は不思議そうにルナに質問する
確かに私を助けるのと、裏の仕事をするのは別問題だよね
「私達には貴族とのコネクションがほしかったんです。貴族ならどんなに下の身分でも、王族に手紙を送るぐらいは出来ると考えました。シルビア様の伯父である陛下に、シルビア様の現状を報告できればシルビア様は助けられると考えました」
「苦労してきたんだな。確かに何の実績もない者が、急に王族に会いたいって言って会わせて貰えるわけないよな。シルビアの名前が出ても証拠がないと信じてもらうのは難しい」
「俺たちもそれは理解してたので、いきなりの王宮に突撃するなんて無理なことはしませんでしたけどね」
ルナが代表して話していたけど、ずっと私の頭を撫でていたジルが話に加わった
「しかし今回は焦りました。あの男達が遠出してると聞いて、シルビア様の様子を見に行くのに丁度いい機会だっと思ってたんだけど、実際にこっそり見に行ったらシルビア様は既に屋敷に居なかった」
「ジル達は屋敷に行ったんだ。私が居なくなって、屋敷に残ってる人たちはどんな様子だったの?」
私が居なくなったことに、いつ気が付いたのか気になる
数日間気付いてなかったら問題だよね
もしもそうなら、私があの家に残ってたらどうなってたか怪しい
「俺たちが気が付いたのが半月前だったんだが、その時にはまだシルビア様が居ないことに気が付いてる様子は無かったけど、つい最近気が付いたみたいで、今は慌てて家の中や街の中を探し回ってる」
…………本気で言ってる?
1ヶ月以上も私が居ないことに気がついていなかった?
「ジル殿の言う通りだよ。私もシルビアがここに来てから、あの家の様子をうかがっていたけど、一週間前にやっと事態に気が付いたみたいなんだよな。それなのに我々のところにはいまだに報告をしに来てない。当主が居ないとはいえ、居なくなったのは王族なのだから報告に来るのが常識だろうに」
伯父様は知ってたんだ
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