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何か虚しいな………

エルザお母様にとって、実の娘のリディアと前妻の娘である私では、リディアの方が大切なのは分かるけど、リディアと私の怪我では私のほうが重症なのは明らかなのに、リディアの心配しかしないのね

怪我した手で叩いたからリディアの頬はダメージはほぼ無いはず、リディアが茫然としてるのは、初めて私に反抗されてビックリしてるだけよね

私の怪我はリディアが体重をかけて踏んだせいで、右手が紫に変色している

「部屋の外まで騒がしい声が聞こえてたぞ。何があったんだ?」

部屋にお父様とブルーノ兄様が一緒に入ってきて、お父様はチラッと私の怪我を見たけど、興味がないのか視線をすぐにエルザお母様とリディアの方に戻した

「この子がリディアに暴力を振るったんです!!この娘を罰してください!!」

エルザお母様の話を聞いて、ブルーノ兄様は私のことを睨んで、お父様は私を無表情で見てきた

「シルビア何のつもりだ?何故、妹に暴力を振るった。お前は唯一、優しくしてくれるリディアに暴力を振るうなんて、人として恥ずかしくないのか」

「シルビア!!お前は皆から愛されてるリディアに嫉妬して、暴力を振るうなんて最低だぞ!!」

違う………

私は悪くない

確かに暴力を振るうのはいけないことかもしれないけど、私は後悔してないわ

私の尊敬するお母様とロアナ叔母様を侮辱するリディアの方が悪い

「黙ってないで何か言ったらどうだ」

「リディアがいけないんです。リディアが私のお母様とロアナ叔母様の事を悪く言ったんだから」

「なに?」

お父様は確認するようにリディアを見る

リディアはさっきまで面白そうに見てたけど、お父様が振り向いたのと同時に悲しそうな顔に変化させた

「わ、私そうなつもりはなかったの。シルビアお姉様の母親が何で死んだのか気になって、お母様とお父様が再婚する半年前に亡くなったって聞いたから、あの頃に亡くなったならあの病気のせいかな?って気になって聞いただけなの。そしたら急にシルビアお姉様が怒って、私のことを打ったの」

リディアは言い終わると同時に顔を覆って泣き始めた

エルザお母様はリディアを抱きしめてから、私をキッと睨んでから、お父様に縋るように見つめながら

「ジョルズ!!私も現場を見ていたわ。この子は何も悪くないリディアを打ったのよ!!心配して声をかけてあげるリディアに暴力を振るうなんて野蛮よ!!」

「違う!!リディアがあの流行り病で亡くなった人は、犯罪を犯す様な最低な人達だから、神様に見放された人たちだって言って、お母様を侮辱したんです!!あの病で亡くなったのは、お母様だけではありません。沢山の人達が亡くなったわ。リディアは病で苦しんで亡くなった者達を侮辱したのよ。ロアナ叔母様の事も侮辱したのよ」

「そんなことを言ってない!!シルビアお姉様は私の事が嫌いだからって、そんな嘘をつくのね。酷い………」

お父様が来るまでのリディアとはまるで別人ね。

エルザお母様はリディアの味方だから、真実を言ってるのは私だけど、絶対に分が悪いよね

お父様とブルーノ兄様からしたら、リディアはいい子でいて欲しいって気持ちがどこかにあるだろうから、疑わしいってちょっと思ったとしても、自分の気持ちを誤魔化してでもリディアを信じるかもしれない

我が家の共通認識では、私は敵でなくてはいけないんだから

リディアを陥れる為だったとしても、私が尊敬してるお母様とロアナ叔母様を犯罪者なんて事を言うかけないって、普通ならわかるはずだけど二人がどんな決断をするかわからない

もしも二人が私のことを信じてくれるなら、お父様とブルーノ兄様とまだ家族としてやっていけるかもしれない

「はぁ~、お前はいつまで亡くなったものを引きずってるつもりだ。早く母親のことなんて忘れろ。お前がそんなんだから、エルザとリディアも心のそこからお前を家族として認めないんだ。リディアだって本心でそんなことを言ってるわけ無いだろう。お前がいつまでも亡くなった母親に執着してるから、自分達家族を見てほしくてちょっと言い過ぎたんだろう」

本気で言ってるの?

そんなわけない

本当はお父様だってわかってるはず、リディアとエルザお母様が私のことを家族として認めるつもりがないことなんて

「お父様がお母様に好意的じゃなかったことはわかってます。だけどロアナ叔母様はお父様の妹なのに、何故そんなことが言えるのですか?それにロアナ叔母様はブルーノ兄様のお母様です。ブルーノ兄様にも母親なんて忘れろって思ってるんですか!!ブルーノ兄様もお父様の意見に賛成なんですか!!」

「俺は………」

いつもは強気なブルーノ兄様でも、母親の事を忘れるなんて、軽い気持ちでは言えないみたいね

あの病気で家族を亡くすことがなかった人にとっては、もう3年が経ったって感じるのかもしれないけど、実際に家族を亡くした私達にとっては、まだ3年しか経っていない

未練がましいって思われようと、そんなに簡単に亡くした家族を思い出に変えるなんて出来ない

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