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しおりを挟む呆然としたまま床に座ったままでいると、リディアに腕を掴まれて無理やり立たされた
「いつまで汚い床に座ってるのよ。そんな姿を見られたら、私達があんたを虐めてるって、お父様とお兄様に思われるでしょ!!本当に気が利かないんだから」
いや………
虐めてたよね?
私の手を踏みつけてたんだから絶対に虐めだと思うんだけど、リディアからしたらあれは虐めじゃないの?
もしそうならリディアの感覚を疑うわ
「その怪我のこと絶対に誰にも言っては駄目ですからね。言っても誰も気にしないでしょうけど、リディアちゃんの評価を下げるようなことは少しでも無くしておきたいですからね。仕方ないからこの手袋をあげるわ。それでちゃんと隠すのよ」
エルザお母様からの初めてのプレゼントが、リディアの犯行を隠すためなんて何か悲しいわね。
エルザお母様の手袋は少し大きいけど、手の傷に触れるから痛くて中々つけられない
「もう!!なにノロノロしてるのよ。早くしないとお父様達が来ちゃうでしょ!!私がつけてあげるわ」
リディアはニヤニヤしながら、怪我してる私の手を握りながら手袋をつけようとする
「痛い!?」
「大袈裟なのよ。私は弱いですアピールでもしてるつもり?誰も可哀想なんて思わないから無駄よ」
「そんなつもりはないわ。痛いものは痛いんだから仕方ないでしょう」
「私に楯つくつもり?お父様に虐められたって言いつけてやるから、あんたに良いこと教えてあげる~、あんたの母親が亡くなる原因になった感染病の噂を知ってる?」
噂?
何のこと?
「知らないですけど」
「じゃあ、親切な私が教えてあげる。あの病気で死んだ人と死ななかった人がいるでしょ?」
「えぇ、死んだ人の数の方が多いですけど、死なないで回復した人も居るって聞きましたわ」
当時、病気が治った人もいるって知って、お母様が感染してからは最後まで死なないって信じてた。
だからこの噂は今でもよく覚えてる
「世間では病気が完治しないで亡くなった人は、『神に見捨てられた人』『神に嫌われてる人』『実は極悪人』って言われてるのよ。だからお前の母親は神に見捨てられたのよ!!きっと、お前の母親は生きてる間に神様に見捨てられるような、犯罪を犯してたんじゃない?」
違う!!
お母様はとても素晴らしい人だったもの
結婚してメリル家の人間になっても、王族としての誇りを持ち続けて、国民の為にずっと行動していた
お母様が病気になったのも、感染病が広がってから患者が教会に集められるのを知って、少しでも助けになればと思って手伝いに行ってたからだもん
そんなお母様が神様に見捨てられた存在なわけない
「……して、訂正して!!お母様は素晴らしい人だったわ!!お母様は周りに恥じるような生活はしてなかったわ!!」
「分からないじゃん。娘のお前には見せていない一面があったかもしれないよ?世間ではカトリーヌ様は立派な王族だったって言われてるけど、王女って存在が慈悲深いなんて信じられない。物語で王女は我儘で自分勝手って言うのが常識でしょ?」
「作り話の王女様とお母様を一緒にしないで!!お母様を侮辱するのは許さない!!」
「許さなかったら何かあるの?今のお前には何も出来ないでしょ?お父様とお兄様は、私とお母様の味方だもん。お前なんて必要とされてない。フフフッ、お前の母親は神様に嫌われてるのよ。周りにチヤホヤされたくて、無駄なことをして病気を貰って死ぬなんて馬鹿みたいね。無駄死じゃない」
バシンッ!!
私はもう我慢が出来ず、暴力を振るうのはいけないことだと分かってるけど、気が付いたらリディアの左頬をビンタしていた
「お母様は無駄死じゃない!!お母様が看病して助かった人も沢山いるわ!!それに私のお母様を馬鹿にするってことは、ブルーノ兄様のお母様の事も馬鹿にしてるのよ!!ロアナ叔母様は私のお母様と一緒に教会に行って、病人の看病していたのだから!!」
ロアナ叔母様とお母様はとても仲良くて、お母様を慕っていたロアナ叔母様は、お母様が看病の為に教会に通うようになったら、一緒について行くようになった
リディアは私に叩かれるとは思わなかったのか、左頬に手を添えたまま茫然としている
思わず手を出したから、リディアに踏まれて痛めた手で打ったからか、リディアはビックリしてるけど痛みはそこまでないみたいね
「リディアちゃん!?私の可愛いリディアちゃんに何をするの!!」
エルザお母様は私の行動に取り乱し、慌ててリディアの左頬を確認する
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