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第三章
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しおりを挟む王宮から帰ってきたお父様の横にはユーリ様も居て、まさかこんなに早く会うことになると思ってなかったから動揺してしまった。
「ただいま。今後のことについて陛下と話し合ってきたから、当事者たちに説明するためにユーリには来てもらったんだ」
「えっと………、陛下との話し合いの席にユーリ様は参加してなかったのですか?」
「私も参加していたよ。だけど私は貴女の口から本音を聞いてないので、本当に話を進めていいのか確認しに来たんです」
「ユーリは私が何度もイリーナは賛成してるって言ってるのに、頑なに認めないから仕方なく連れてきたんだ」
ユーリ様らしいわね。
この婚約は私のための婚約ではあるけど、私の気持ちを蔑ろにされてないのか心配してくれたんでしょうね。
小さい頃からユーリ様とは関わりがあるから、私の性格を把握してるユーリ様は、私が我慢してこの話を受け入れたんじゃないかって心配してくれたのよね。
「私はこの婚約に不満はありませんわ。いつかはお父様が決めた相手と婚約すると思ってましたし、その相手がユーリ様みたいに素敵な方だと知って安心しました」
お父様が変な男性を選ぶとは思わないけど、外面が良い人は世の中には沢山いますし、ユーリ様は小さい頃から頼りにしてたから安心感が違う。
「本当に良いんだね?私はイリーナ嬢と比べておじさんですよ?君ならもっと年齢の近い相手だって選べるはずだ」
「ユーリ様はおじさんではありませんわ。それに私は若い人にそんなに興味がありませんの。でもお父様世代の人を好きな訳でもありませんわ。私の理想の結婚相手の年齢にユーリ様は当てはまってますの」
前世の記憶があるからなのか、私と同じ年代の人は子供っぽく感じるのよね。
大学生と高校生ならそんなに年齢は変わらない気もするけど、気持ちの問題なのか罪悪感がある。
「イリーナ嬢が良いなら私は喜んでこの婚約を受け入れるよ」
「本当に良いんですか?私はユーリ様が結婚相手として理想的な男性だから問題ないですけど、ユーリ様は私みたいな子供では不満ではありませんの?私だってユーリ様の気持ちを蔑ろにはしたくありませんのよ?」
「私の心配をしてくれてありがとう。私は結婚は諦めていたんだよ。父親のことがあったから結婚にはあまり良い印象がない。好きでもないものと結婚しても破綻する未来しか想像できない」
その気持ちは分かる。
貴族は政略結婚が基本だから、男女ともに浮気が当たり前で、前世の記憶があるから私からしたら違和感しかないのよね。
「それなのに私と婚約をしてくれるんですか?」
「イリーナ嬢なら好きになれる気がするんだ。まだ絶対に好きになれるとは言えないけど、短い間だけど一緒に働いてイリーナ嬢の考え方に触れて惹かれてる部分がある。それに君は甥の婚約者候補だった時に、甥が失礼な態度を取ってたのに、怒らずに直向きに頑張ってるのを見てきたからね」
「ユーリ様は正直な方ですね。これから婚約をする者に向かって、好きになれるか分からないなんて普通は言いませんわよ?でもそんな正直なところに好感が持てますわ」
私も本当の意味で好きになれるか分からない。
前世の頃から人として好きになることはあったけど、異性として好きになった人は1度も居なかった。
ユーリ様のことも本気で好きなのか分からない。
私がユーリ様に向ける好意は、憧れるの芸能人に向ける好きと同じような気がする。
もしもお互いに好きになれたら良いな。
「お互いに納得したみたいだな。これからの流れを説明する」
そういえばここには私の家族も居たんでしたわね。
「これからの流れですか?」
「1か月後の陛下の生誕祭のパーティーで、ユーリとイリーナの婚約を発表する」
「そんな大きいパーティーで発表されるんですか!?他国の偉い人も沢山参加されますよね?」
「邪魔できないように大きいパーティーで発表するんだよ。1番近いパーティーが陛下の生誕祭だっただけだ」
うわぁ~~、今から緊張してくる。
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そうよね。
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「王太子様が相手を言うようにしつこく迫ってきたらどうしたら良いですか?」
「陛下の名前を使っても良い。陛下からも許可は降りてる」
「なら遠慮なく使わせて頂きます」
王太子様達とは校舎が違うのだから、行き帰りを気を付けたら鉢合わせる事はないわよね。
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