82 / 143
第三章
19
しおりを挟むいつから居たんだろう?
てか……、婚約話って何のこと?
私はそんな話を全く聞いてないんだけど!?
お父様の決定に逆らうつもりは無いけど、そんな話があるなら教えて欲しかった。
『イリーナ大丈夫?まさか初日から絡まれてるとは思わなかったよ。セミュン様の所に向かう途中でイリーナが絡まれてるのを見て、慌ててお2人を連れて来たんだけど間に合った?』
『レイチェルありがとう。何を言っても理解してくれないからどうしようと思ってたんだ。だけどレイチェルはそのまま馬車で待機してたほうが良かったと思うけど』
リリヤがレイチェルとお兄様が婚約してるのを知ってるか知らないけど、もしも知らないならリリヤの耳に入るまでは、知られないようにした方が安全だよね?
私と違ってレイチェルはリリヤと関わる機会が多いだろうし
『だって面白そうだったから、でも想像以上に宇宙人だね。ミハイル様もヤバそうだし。この国って大丈夫なのかな?』
『私もそこが心配になってきた。将来が不安になるわよね。もしもの時はユーリ様が王になるって事も出来るかもしれないけど、ユーリ様は王位継承権を放棄してるみたいだから、余程のことがないと難しそうなのよね』
過去にも王位継承権を放棄した王子が復活することがあったらしいけど、それはその王子以外の王族が感染病で亡くなってしまったからなのよね。
陛下の機転で王位継承権の放棄を保留にしてたりしないかしら?
あの陛下ならやってそうな気もするのよね。
王太子様よりもユーリ様のことを気に入ってるみたいだし、王太子様を本気で王にするつもりなら、王太子様を再教育してるはずなんだよね。
弟や息子に甘いところがあるけど、国のことになったらとても厳しいって有名ですしね。
「イリーナに婚約の話があるなど聞いたことがないぞ。相手は誰だ!!出鱈目を言ってるなら許されない行為だぞ。俺の婚約者になることの何が不満なんだ」
「イリーナはもう殿下の婚約者ではないので、呼び方にお気をつけください。今後はサフィナ公爵令嬢とお呼びください。イリーナの相手はお教えすることは出来ません」
「何故言うことが出来ない。やっぱり嘘なんだな」
「嘘ではありません。今は大事な時期ですので、妨害など受けないように内密にしております。ご了承ください」
「そんなの認めないぞ。王太子命令だ!!相手の名を言え!!」
横暴ですわね。
私が誰と婚約をしても王太子様には関係ないわよね?
『ミハイル様みたいなのを見てると、王族は子供を2、3人産むのを推奨されてる理由が分かるよね』
『そうですわね。この国の家臣として不安しかありませんわ。陛下は子供に甘いところはありますが、流石に今のままの王太子様を王にすることはないと思いますが』
でも何の対策もしてないのよね……、
もしも王太子様が王になったらこの国を出たいかも。
王太子様は私を気に入らないから、王になった時に何をしてくるか分からないって不安がある。
今の王太子様を見てると冷遇される可能性があるわよね。
もしもリリヤと結婚するなんてことになったら、確実に何か難癖をつけられる気がする。
私だけならこの国から出て行けばいいだけの話かもしれないけど、もしも結婚してて将来の夫に迷惑かけたりしたくないわよね。
「早く相手の名前を言え!!」
「これは陛下と話し合って内密に進めることになってますので、殿下相手でも話すことは出来ません」
お父様の返事に王太子様は悔しそうに顔を歪める。
『陛下が知ってるってことは本当の話なのかしら?この場だけの出鱈目だと思ったのに』
『陛下が関わってるってことは、相手は身分が高い人なのかもしれないね。他国の王族と高位貴族相手かも』
えっ………、
王太子様が王様になったらこの国を離れる覚悟はしてたけど、そんなに早くこの国を出るのは抵抗がある。
他国に言ったら滅多に家族には会えなくなる。
我が家は公爵家だから余計に無理よね。
この世界は地位が高ければ高いほど、仕事じゃないのに国を離れるのをあまりいい顔されない。
「イリーナ帰るぞ」
「はい!!エリーも一緒に行こう」
どうしたら良いのか分からず固まってるエリーの腕を引っ張り歩き出す。
「そうですわ。王族の家臣として1つ言っておきたいことがありますわ。この学園でのルールの全員が平等の解釈が違いますわ」
「何が違うんだ。学園長がそう説明していただろ?」
「その時に話していたはずですわよ。平等って言うのはどんな身分でも平等に学ぶ機会を与えるってことです。庶民が学ぶ機会を貴族が奪ってはいけないってルールであって、下の身分のものが高い地位の者に失礼をしていいルールではありませんわ。それでは失礼させて頂きます」
一緒に説明されていたのに、都合の良いところだけ聞いてたのかしら?
もう1つ追加するなら、平民と貴族が仲良くしていた場合に、周りが身分を盾にそのもの達を引き離すのを禁止するためのルールでもある。
私とエリーの為のルールみたいなものね。
584
お気に入りに追加
5,712
あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄され毒杯処分された悪役令嬢は影から王子の愛と後悔を見届ける
堀 和三盆
恋愛
「クアリフィカ・アートルム公爵令嬢! 貴様との婚約は破棄する」
王太子との結婚を半年後に控え、卒業パーティーで婚約を破棄されてしまったクアリフィカ。目の前でクアリフィカの婚約者に寄り添い、歪んだ嗤いを浮かべているのは異母妹のルシクラージュだ。
クアリフィカは既に王妃教育を終えているため、このタイミングでの婚約破棄は未来を奪われるも同然。こうなるとクアリフィカにとれる選択肢は多くない。
せめてこれまで努力してきた王妃教育の成果を見てもらいたくて。
キレイな姿を婚約者の記憶にとどめてほしくて。
クアリフィカは荒れ狂う感情をしっかりと覆い隠し、この場で最後の公務に臨む。
卒業パーティー会場に響き渡る悲鳴。
目にした惨状にバタバタと倒れるパーティー参加者達。
淑女の鑑とまで言われたクアリフィカの最期の姿は、良くも悪くも多くの者の記憶に刻まれることになる。
そうして――王太子とルシクラージュの、後悔と懺悔の日々が始まった。

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています

公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。

【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい
宇水涼麻
恋愛
ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。
「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」
呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。
王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。
その意味することとは?
慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?
なぜこのような状況になったのだろうか?
ご指摘いただき一部変更いたしました。
みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。
今後ともよろしくお願いします。
たくさんのお気に入り嬉しいです!
大変励みになります。
ありがとうございます。
おかげさまで160万pt達成!
↓これよりネタバレあらすじ
第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。
親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。
ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる