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第三章

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 早速、面倒臭い相手に絡まれたわね。

 初めて彼女からお姉様って呼ばれたような?

 そういえばリリヤは同い年しのよね?

 同じ年の子にお姉様って呼ばれるのは変な気がしますし、実際にどっちが歳上なのか私は知らないのよね。

 同じ家に住んでた時に誕生日とか聞いてなかったはず?

 周りに勘違いされる前に、姉妹じゃないって否定しないといけないわね。

 もしもお父様が不倫して出来た子供だって勘違いされたら、色々とややこしくなってしまうもの。

「私には妹は居ないわ。変なことを言わないでちょうだい」

「酷い!!確かに私達は従姉妹だから姉妹ではないけど、一緒に住んでいたんだから姉妹のようなものでしょ?それに今の私は正式にオリガお母様の娘だから、オリガお母様の子供であるイリーナお姉様は私のお姉様よ」

 庶民だったらそれで許されるかもしれない。

 でも貴族は一般常識とちょっと違うのは、リリヤだって貴族の娘として育って来たなら分かるはずなのに、都合が悪いところは知らないフリをするの?

 それとも本当に何も知らない無知な子なのかしら?

 もしそうならかなり恥をかくことになるけどどっちなのかしらね?

「元サフィナ公爵夫人はもう私の母親ではありませんわ。お父様とオリガ様が離婚されてから、あの方は私達の母親という肩書を剥奪されました。ですから貴女があの方の養子になったみたいですが、貴女と私は赤の他人です」

「何でそんな酷いことを言うの?親が離婚しても、イリーナお姉様がオリガお母様の娘に違いはないでしょ?」

「庶民だったらそうでしょうけど、貴族はそうはいきませんわ。貴女だって貴族なのだから分かるでしょ?貴族として身分があるのですから、例え血の繋がりがあったとしても、身分という高い壁が私達の間にはありますわ」

 私は公爵の娘で母親だった人は今は伯爵夫人なのだから、親子とはいえ馴れ合うことは許されない。

 貴族が離婚するのはそういう事を考えないといけない。

 中には曖昧にしてしまう人達も居るけど、我が家は公爵という身分で王族と大公の次に高い身分だからこそ、曖昧に済ませることは出来ない。

「そんなのこじつけでしょ?オリガお母様が私を優先したから、イリーナお姉様は拗ねてるだけよ。私が気に入らないだけでしょ」

「貴女のことは何とも思ってないわ。1つ言わせてもらうとしたら、私は貴女の姉ではないから、お姉様と呼ばないでちょうだい」

「何でそんなに冷たいことを言うの!!そんなに私のことが嫌いなの?」

 だから何とも思ってないって言ってるじゃない。

 関わりたくないだけよ。

 何で絡んでくるのかしら?

「あの~、そのへんでやめといたほうが良いんじゃないですか?お2人の間に何があったか知らないですけど、イリーナは貴女と関わりたくないみたいですし、嫌がってる相手に無理強いするのは良くないと思います」

「関係ない人は黙ってて!!私が話してるのはイリーナお姉様よ。庶民が私達の話に割り込んで来るなんて、身の程知らずね!!」

 …………リリヤはヒロインなのよね?

 中身は転生者なんだろうけど、ヒロインなのに庶民だからって見下すのはどうなのかしら?

 この世界が舞台になってる乙女ゲームの内容をあまり覚えてないけど、大抵のヒロインって身分とか関係なく皆に平等なんじゃないの?

 後でレイチェルに確認しとこうかしら?

 今はエリーを助けないといけないわね。

「私の友人に酷いことを言うのはやめてくれる?私と関係ないのは貴女の方よ。約1か月だけ別棟に居候させてあげただけで、身内扱いされるのは不快だわ」

 改めて考えるとリリヤって図々しいわよね。

 12歳になるまで一切関わりがなくて、1か月だけ別棟に居候させてあげただけで、ここまで図々しく絡んでくるなんて非常識よね。

 一緒に住んでた時に親しくなってたなら分かるけど、私と関わろうとしてなかったのに何を考えてるのかしら?

 別棟に居候してた時にリリヤが接触してたのは、オリガ伯爵夫人とお父様とお兄様だけだったのよね。

 私のことは眼中にないのが丸わかりだった。
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