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第三章
3
しおりを挟むあの後、お父様とお兄様からは第2王子の事は気にしないでいいと言われてしまった。
本当に良いのかな?
もしも私の行動で家に迷惑をかけたりするのは嫌なんだけどな。
馬車に揺られながら、学園に着くのを楽しみと不安で胸がいっぱいになった。
それに今の私は学園に通う3年間で、今後の自分の生き方を決めないといけない。
学園で婚約者を見つけるか、それとも働くために資格を取ったり、就職先を見つけないといけない。
希望は語学を活かした仕事がしたいけど、私は女だから色々と制限がある。
自分の性別がハンデになるのよね。
ユーリ様や陛下は、女性でも優秀なものなら受け入れるべきだと考えている、だけど一部の者達が自分達の地位を脅かされることを危惧して、女性を受け入れることを未だに反対しているらしい。
だから女性を受け入れてる職場と、反対してる職場で分かれていて、女性を受け入れてる職場はまだ少ないのが現状なのよね。
私が希望してるいる語学を活かす職場も、反対派と賛成派で分かれているのよね。
外交を専門としてる職場は、女が相手では他国に失礼になることと、相手に舐められることになるから反対されている。
翻訳が専門の職場は翻訳するだけなら、女も男も関係ないって言ってるのよね。
人手はあればあるほど良いって考えみたいだ。
翻訳が専門の部署みたいにそういう考えの部署が増えればいいのに、反対してるような人達は仕事ができない人が多いって、お父様はよく愚痴をこぼしている。
それはそうよね。
仕事が出来るなら、女性が入って来ても問題ないはず。
反対するってことは、自分は仕事ができませんって言ってるようなもの。
私が学園を卒業するまでに、少しでも環境が変わってるといいのだけど………
自分の今後に不安になりながら、窓の外をボーっと眺めてると学園に着いてしまった。
「お嬢様到着いたしました。」
「ありがとう」
えっと………、
何処に向かえば良いのかしら?
「新入生の方ですね?」
「はい」
腕章をつけた先生らしい人に声をかけられた。
「取り敢えず、新入生には講堂に集まってもらってます。案内いたしますのでついてきてください」
そう言われて黙ってついていく、移動途中でも先生は他の人にも声をかけて、ついていく人がどんどん増えていく。
制服をみてる感じ、学部とか関係なく全員同じ場所に集められているのね。
新入生全員を集めたら、かなりの人数になると思うけど入るのかしら?
ぎゅうぎゅう詰めにされるのは嫌だな。
男も女も香水を付けてるから、人が密集したら匂いが混ざって酷いことになる。
今も匂いが混ざってちょっと辛い。
でも今は外だからまだマシなのよね。
学園にいる間だけで良いから、香水禁止にならないかしら?
香水は最近他国から入ってきたばかりで、貴族は新しいものが好きだから流行ってるんだけど、香水をつけ過ぎなのよね。
1人居るだけでもウンザリするのに、沢山いると異臭でしかない。
香水を他国から仕入れる人は、適正量を学んできて欲しかったわ。
何も知らない人からしたら、皆がやってるからこれが普通だって思うわよね。
私が言ったとしても、私が間違ってるって思われて終わりでしょうし。
「ねぇねぇ。貴女も特進クラスなのね。私は貴族ではないけど貴女はどっちなの?」
この子は度胸があるわね。
貴族かもしれない相手に、ここまで馴れ馴れしく話しかけられるなんて………、
私はあまり気にならないけど、プライドの高い貴族なら絶対に許さないわよ?
入学初日から貴族に睨まれる可能性だってあるのに
「私は貴族よ。私は身分とか気にならないけど、貴女の今後のために忠告しとくわね。貴族には気難しい人も多いから、最初は言葉遣いに気をつけていたほうが良いわよ。貴族に睨まれたら面倒臭いから」
「あぁ~、やっぱりそうなの?でも学園では、身分を理由に差別はしてはいけないって決まりがあるよね?」
「そういう決まりはあるけど、皆がその決まりを守るわけではないでしょ?貴族なんて屁理屈をこねるのが得意な人なんて沢山いるから」
そう言うのを生き甲斐にしてる人もいる。
何もやる事がない暇人は厄介だからね。
「そうなんだ」
「えぇ、学園内では身分をたてに脅したり、虐めてはイケないってなってるけど、学園の外でそれが通用するわけではないわ。学園内では無理でも、学園の外でなら何をしてもいいって考える人も居るはずよ」
「そうだよね」
女の子は顔を真っ青にした。
脅しすぎたかな?
でも折角、同じクラスになる子が貴族から虐められて、途中で居なくなったりしたら嫌だもの。
特進クラスは女の子が少ないから、彼女は私からしたら貴重な存在だわ。
「貴女がこの学園を選んだ理由が何かは知らないけど、もしも就職を有利にするためなら、貴族との関わりは気をつけたほうが良いわ。もしも怒らせた相手が高位貴族だったら、就職の邪魔をすることだって出来てしまうから」
「教えてくれてありがとう。知らなかったらやらかしてたかも」
「もしも理不尽な事をされたら言って頂戴。もしも私で助けられることだったら助けるわ。同じクラスになったのも何かの縁でしょうし。特進クラスに入れるなら、貴女は優秀なはずだから、優秀な人材を潰したくはないですからね」
「ありがとう!!」
彼女は泣きそうになってたけど、私の言葉で嬉しそうに笑った。
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