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第二章
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しおりを挟む私とレイチェルはお父様達に差し入れするために王宮に来ている。
「お姉ちゃん~、私の格好へんじゃない?セミュン様に失望されされたりしない?」
「大丈夫ですわよ。いつも通り可愛いですわ。今のレイチェルは可愛いですけど、もしも変だったとしてもお兄様はそんな事で態度を変えたりしませんわ。私のお兄様は紳士ですから」
「確かにセミュン様は紳士で格好いいです」
それよりレイチェルにはそろそろ気を付けてもらわないといけないわね。
今まではボロを出してないけど、いつか絶対にいい間違えそうな気がする。
「レイチェルは自分の恰好を気にする前に、私の呼び方を直したほうがいいですわ。今までは私と居るときだけお姉ちゃんって呼んでますけど、私のほうがレイチェルより年下なんですから、誰かがいる時に呼んだら色々と不自然ですわ」
「そうなんだけどお姉ちゃんはお姉ちゃんだからな~、そうだ!!お姉様って呼ぶのはどうかな?年下相手でも格好良くて憧れる女性をお姉様って呼ぶことあるよね?」
レイチェルの提案に私の体はゾワッとする。
ドレスで見えないけど、私の腕に鳥肌が立ってる気がするわ。
「やめて下さい。隣国の王女にお姉様って呼ばれるのは色々と私がマズイですわ。イリーナって呼んで下さい。それとも私がレイチェルお姉様って呼びましょうか?お兄様と結婚するのだから違和感は無いはずですよ?」
「ごめんなさい。私が悪かったです。これからはイリーナって呼ぶよ。はぁ~、イリーナは怒ったり嫌なことがあると、普段より言葉が丁寧になるよね。分かりやすいけど怖さが倍増する」
そうかな?
自然となるから自覚がなかったわ。
「無駄話はこれぐらいに入るよ。いつもなら扉の前に警備の人がいるのに何で居ないのかしら?」
お父様達が仕事してる部屋のドアをノックする
「はい」
「イリーナ•サフィナです。父と兄に差し入れと着替えを持ってまいりました」
すぐに扉が開き目の前にはお兄様が立っていた。
「お兄様大丈夫ですか?目の下の隈が凄いですよ」
3日間帰ってこないお兄様とお父様を心配して、差し入れに来たけど正解だったみたいね。
「俺はまだ良いほうだよ。父上やユーリ様は俺より睡眠時間少ないから。レイチェル様も来てくれたんですね。もしかしてレイチェル様も一緒に作られたのですか?ありがとうございます」
「ちょっと手伝っただけです。私もイリーナみたいに作れるように頑張りますね!!」
「俺の為に作ろうとしてくれる気持ちだけで嬉しいですよ」
2人の微笑ましいやり取りに居た堪れない気持ちになりながら、部屋の中を見ると疲れた顔をしてる人ばかりだった。
「大変そうですね。サンドイッチとクッキーを大量に作って来たので皆さんも食べて下さい」
空いてるテーブルの上にサンドイッチとクッキーが入ってるカゴを置くと、ぞろぞろとお兄様より顔色が悪い人たちがテーブルを囲む。
「「「ありがとうございます!!」」」
嬉しそうにどれを食べるか選んでるのを見て、役に立てたみたいで良かったと思った。
中には久しぶりのまともな食事だと涙ぐむ人までいる。
想像してたより酷いわね。
何時もより人が少ない気がするけど忙しいのはそのせいかしら?
「イリーナ嬢、差し入れありがとうございます。私の部下達がみっともない姿をお見せして申し訳ありません。」
「本当に大した物を作ったわけじゃないので、そんなに感謝されると居た堪れなくなりますわ。ユーリ様大丈夫ですか?とても顔色が悪いですけど?」
「寝不足なだけなので大丈夫ですよ。イリーナ嬢が来ると知ってたら、もっと身嗜みに気を付けていたんですけどね」
ユーリ様は冗談ぽくそう言うけど、顔色以外は普段とそんなに変わらないわよね。
髪や服はちゃんとピシッとしていますし、他の人達は無精髭が生えてたり、髪に寝癖がついてるものもいる。
お兄様とお父様はそんなことはないですけどね。
「イリーナどうしたんだい?レイチェル様と一緒に来るなんて、もしかして何かあったのかい?」
「何もないですよ。お父様とお兄様が揃って数日帰ってこないのは初めてだったので、心配になって差し入れを持って様子を見に来たんです。レイチェルもちょうど遊びに来てくれてたのでお誘いしたんです」
お父様が書類を持ったまま私に駆け寄ってくる、心配をかけてしまったみたいですね。
「そういえば初めてだったな。イリーナとレイチェル様が仲良くなったみたいで安心したよ。レイチェル様はセミュンの未来のお嫁さんだからね。イリーナとレイチェル様が仲良くなることは良いことだ」
我が家で女性は私だけだから、お父様は心配していたのかもしれないわね。
使用人は居るけど雇い主と使用人ではどうしても距離が出来てしまう、私とレイチェルのお互いのためにも仲良く成れることは良いことよね。
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