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第二章
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しおりを挟む前世の妹と今世の兄が結婚するのはなんか変な感じがするわね。
それとお兄様が攻略対象だとは思わなかったな。
ただの脇役だと思ってた。
そういえば他の攻略対象って誰なんだろう?
「王太子様とお兄様とお父様以外の攻略対象って誰なの?」
私の質問にレイチェルはビックリした顔で見てきた。
「本気で言ってる?イワン様とセミュン様は隠しキャラだからまだ分かるけど、レギュラーの攻略対象まで知らないとは思わなかった」
「だって乙女ゲームに興味なかったですし、王太子様のことは貴女がずっと話してたから何となく知ってるけど、他のキャラは全くわからないわ」
「そっか…………、まずはそこから話さないといけないのね。シナリオを一気に話されても困るだろうから、今は攻略対象を教えるね」
「お願いします」
助かるわね。
確かにシナリオを全て今教えてもらっても数日後には忘れてる気がする。
「一人目はお姉ちゃんも知ってる王太子様のミハイル•アフメドフ様、二人目がお姉ちゃんと同じ公爵家の息子でミハイル様の従兄弟であるルーク•ロバーツ様、三人目が伯爵家で騎士団長の息子のダグラス•アダムス様、四人目が貴族ではないけど豪商の息子であるラルフ•シーウェル様だよ」
ミハイル様とロバーツ様は会ったことがあるけど、他の攻略対象とはまだ会ったことがないわね。
「ロバーツ様も攻略対象だったのね。攻略対象とは関わらないようにしたいけど、流石に公爵家の娘としてそれは出来ないのよね。公爵家の私が人によって態度を変えるって思われたら、公爵家の汚名になってしまうかもしれないしね」
「貴族や王族はそういう所が面倒臭いよね。私達だって普通の人間なんだから好き嫌いがあってもおかしくないのに、貴族なら自分の感情をコントロールしろなんて横暴だよ」
そうなんだよね。
もう慣れてしまったから今では何とも思わないけど、普通に考えたら理不尽よね。
前世でも社会人になったら、嫌いな人でも仕事中は我慢して関わらないといけない場面はあるだろうけど、苦手ってことを知られてはイケないって訳では無いからマシかな?
高位貴族として本心は周りにバレないようにしないといけない、自分の行動や言葉で周りが勝手に処罰してしまう事もあるから仕方ないんだろうけど、生きにくい世界に変わりはないわよね。
納得できない部分もあるのよね。
ゲームの中でイリーナが王太子様に裁かれてる時に、高位貴族なら皆に平等に接するべきだって言ってたけど、それを言ってる王太子様がそれを守れてないんだよね。
ヒロインだけに特別扱いをしていた記憶がある、学園には色んな意味身分の者が居るのだから、身分が低い者には気を遣うべきだって言ってたけど、王太子様だってヒロイン以外の身分の低い者に優しくしてる場面なんてなかった。
ゲームをしてる時は乙女ゲームだからそういう場面が無いのかと思ってたけど、今の王太子様は王宮で家臣や使用人にキツく接してるからそれは違いそうよね。
王宮に勤めてる使用人は基本的に貴族だから、平民は例外って言うわけでもないわよね。
「そういえばレイチェルはいつからこの世界が乙女ゲームの世界だって気が付いたの?身近に攻略対象とか居るなら分かるでしょうけど、隣国には1人も居ないわよね?」
「それは別ルートで知ったんだよ。私の国には本編の攻略対象は居ないけど、お姉ちゃんが主人公のスピンオフで出て来る攻略対象が2人居るんだよ。その2人が揃った時に頭の中の霧が晴れたように思い出したの。10歳の時だったかな?」
「そういえば私が主人公のスピンオフが出たって言ってたような?何か現実味が無さすぎて聞き流してたわ」
乙女ゲームに興味がないから、私が主人公の物語があるって言われてもあまり実感がわかないのよね。
それに私は逆ハーレムとか、異性からモテモテになるとか興味がないのよね。
好きな人にだけ好かれたい
人からモテるのって色々と問題が起きたりするから面倒臭い
「お姉ちゃんってそういう事に興味ないよね。昔っから恋愛に興味無いように見えてたもん」
「他の人と比べたら薄いかもね。絶対に誰かと付き合いたいとか、周りに彼氏が居るから自分も作らないととかなかったね~、そんな理由で作っても長続きしないし、そんな相手とキスとかその先とか絶対に無理、気持ち悪いでしょ?」
「お姉ちゃんはそういう面では潔癖だよね。そういう対象に見られるのも嫌がってなかった?」
「私を純粋に好きとかだったから気持ちに応えることは出来ないけど、完全に拒絶とかはしてなかったわよ。だけど思春期の男の子ってやりたいだけの人とか居るじゃない?そういう奴には軽蔑の眼差しを向けてたわね」
相手の自業自得だから後悔はしてないわ。
そういう事に興味がある年頃だから仕方ないのかもしれないけど、そういう対象に見られる私からしたら最悪って気持ちしかない。
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