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第一章
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しおりを挟む何処のお店に入るか迷ってから1番近くて大きいお店に入る。
「すみません。外で揉め事があって危険なので少しの間で良いので、お店に入って宜しいでしょうか?」
「あぁ~、酔っ払いのやつね。良いですよ~、子供が多いわね。怖かったでしょ?」
店員さんはお店の近くでの騒ぎだったから、事情を把握していたみたいですぐに許可をしてくれた。
店員さんの言う通りであの場には子連れの親が多くて、子供が泣き出したら酔っ払いを刺激すると思い、私は子連れの人達を優先的に連れてきた。
酔っ払いを刺激したら彼女たちも危険だし、酔っ払いを相手してるノエルやユーリ様に迷惑をかけるものね。
このお店はカフェなのね。
メニューをチラッとみる。
「店員さんここにいる皆にミルクティーをお願いします。お店を占領してるお詫びです。皆さんの中でミルクティーが飲めない人が居たら、飲めるものに変えてもらって構いませんわ。支払いは私がしますので遠慮しないで下さい」
「本当によろしいのですか?」
「構わないわ」
場所を貸してくれたお店のお礼にもなりますし、ここに避難した人たちは恐怖で顔色が悪いから、ミルクティーを飲んだら落ち着くわよね。
親が不安な顔をしてたら、子供たちも不安になってしまう。
子供が不安で泣いてるのは出来るなら見たくない。
私達が座らないと他の人達も座りづらいわよね。
私の格好を見たら貴族だってすぐに分かるはずだもの。
外の様子が見える席を選んで座る。
「お嬢様もう少し奥の席がよろしいかと思いますが、ここの席では何かあった時に危険です」
「大丈夫よ。私はノエル達を信じてますわ。私達が移動したのをノエル含めて沢山の警備隊達が見ていました。ここには絶対に酔っ払い達を近付けないようにしてくれるはずです」
そのためにちょっと危険だけど、目立つように振る舞ったのですから
私は貴族として自分の身を守るのは大事だと学んできたけど、それと同じぐらい私達のために働いてくれてる、平民達を守るのは私達貴族の役目って事も学んできた。
こういう時に隠れて自分の身だけを守る貴族にはなりたくない。
「だからあんなに目立つ行動をしてたのですね。私は見ていてヒヤヒヤしましたよ」
「説明しなくてごめんなさいね。移動する時に思いついたから、メリーに説明してる暇がなかったの」
移動してる時に、私よりも小さい子供たちが泣きそうになってるのを見て、この子達を守るのは私だと思ってしまった。
本当なら私には戦う力がないのだから、無謀なことをしていたのかもしれない。
お父様達にバレたら怒られるかもしれないけど、自分の行動を間違ってるとは思わない。
だけど怒られるのは嫌だな。
普段はお父様に怒られるようなことを滅多にしないから、お父様やお母様に怒られることが少ない。
だから怒られるって想像すると怖いのよね。
当分は外出禁止になったりするのかな?
店員さんが入れてくれたミルクティーを飲んで、気持ちを落ち着かせることにした。
「あら?とても美味しいわね」
「本当ですね。私は紅茶を入れるのが苦手なので教わりたいです」
「人には得手不得手があるから気にしないでいいわよ。メリーは器用でセンスが良いから、私は身支度をする時にメリーを頼りにしてるわよ」
「お嬢様を着飾るのは私の趣味のひとつなので!!可愛い女の子を私好みにするのは楽しいです」
うん…………、
メリーはノエルが好きなのはわかってるけど、今の言い方だと誤解を招く可能性があるわよね。
メリーが女性だからギリギリセーフだけど、もしも男性が言っていたら距離を置くと思う。
カフェのドアが開く音がして、店内に居た全員の視線が入口に集中する。
入ってきたのはノエルとユーリ様だったから、緊張で固まってた体から力が抜けてしまった。
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