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第一章

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 リリヤとの関わり方を本格的に考えないといけないわよね

 もしもリリヤが前世の記憶持ちだとして、リリヤが今後どうしたいのか探らないといけない

 ゲームのシナリオ通り王太子様を狙っても構わないけど、我が家に迷惑をかけないようにしてほしい

 リリヤが王太子様に付き纏ったとして、我が家に責任を求められても困る

「お兄様はお父様がリリヤをどうするつもりなのか聞いてますか?」

「父上は最低限の金銭での援助はするつもりみたいだけどそれだけみたいだな。住居は別棟を用意してるから、本邸には入れるつもりはないみたいだ」

 本邸に立ち入りを許可がおりないってことは、サフィナ公爵当主に歓迎されてないってことになるわね

 その事が周りに知られたら、リリヤは我が家に居候してるけど赤の他人だと思ってもらえる

 お父様はお母様の為にリリヤが我が家に居候をすることを許したけど、実際に会ってリリヤの問題行動に嫌気がさしたんでしょうね

 当初は住居は別棟に決まってたけど、本邸に立ち入りを禁止されていなかった

「お兄様はリリヤが決まりを守ると思う?私はお母様を使って入ってくる気がするんだけど。今のお母様ならリリヤに泣き付かれたら許可をしてしまいそうな気がするの」

 お母様は何であんなにリリヤを優先するのかしら?

 お父様に愛想尽かされたらリリヤだけではなく、お母様もこの家から追い出される可能性だってあるのに

 リリヤに会う前のお母様はあんな性格では決してなかった、公爵夫人として恥ずかしくないように沢山の勉強をして、周りに優しくも厳しく接していた

 私はお母様が憧れの存在だった

 自分の姉妹の娘って存在は、今までの自分の性格を変えてしまうほど特別な存在なのかしら?

 私やお兄様やお父様に迷惑をかけることになっても、リリヤを優先してしまうほどの存在なの?

「リリヤ嬢の今の性格が素なのかそれとも演技なのか知らないが、見てる感じ決まりに納得するとは思えないな。イリーナの言う通り、母上に泣きついたら今の母上なら悪気なく本邸に入れるだろうな」

「もしもそうなったらどうすればいいんでしょうね?リリヤが我が家だけではなく、外でも色んな人に迷惑をかける未来しか想像できません。下手したら公爵家の名前を使って色んな貴族に声をかける気がします」

 そうなったら困るのは私達だわ。

 子爵家や男爵家なら文句を言ってこないかもしれないけど、我が家と同じ公爵家や侯爵家の者に迷惑をかけられたら大問題よ

「修道院に預けられたら一番良いけど、本邸に入ったぐらいでは修道院に押し込むのは難しいだろうな。リリヤ嬢が使用人としてではなく、お客さんとして居候するってのが色々と問題だな」

 そうなのよね。

 使用人として迎え入れるなら、家の当主に逆らったことで追い出すのも問題ないけど、お客さんって立場が色々と見逃されてしまう

 邪魔だからって頼る相手が居ない12歳の子供を追い出すのも世間体が悪い

 余程の問題行動があるなら周りから同情してもらえるけど

「リリヤは父親の方の親戚は居ないのかしら?お祖父様とお祖母様は絶対に引き取りたがらないでしょうし、お祖父様達と同居してる叔父様も同じ理由で無理よね」

「父方の親戚か。そういえば知らないな。母上が引き取る気満々だったから、リリヤ嬢の親戚はあまり詳しく調べなかったんだよな。我が家を頼るぐらいだからあまり良い仲ではなかったんだろうけどな」

 そうだよね。

 お母様は歓迎してるけど、お祖父様やお祖母様はリリヤを毛嫌いしてるし、お父様も叔母家族を元々あまりいい感情はなかったみたいですしね

 お父様が会ったこともない叔母夫婦に良い感情がないのは、貴族なのに自分の役目を放棄して好き勝手に生きてるからでしょうね

 お父様は小さい頃から公爵家の跡取りとして厳しく育てられた、私はお父様やお兄様ほど厳しくは育てられてないけど、公爵家の娘として多少は厳しく育てられてきた

 貴族は国や領民の為に生きていかないといけない、自分勝手な行動のせいで国や領民に迷惑をかけてしまうかもしれない

 公爵家の私は特に自分の行動に責任を持たないといけない

 貴族として贅沢な暮らしをしてるなら当たり前の義務よね

 小説のように好きな人と結婚して幸せに暮らすのは憧れるけど、貴族としてそれは許されないわよね

 政略結婚でも幸せな結婚が出来る人もいるけど、それはお互いに努力をしてるからこその結果よね

 貴族としての義務を果たせないなら、家族と縁を切って貴族としての身分を捨てて庶民になればいい

 残された家族に迷惑をかけないなら文句はないわ。

 叔母様たちも家族と縁を切ったつもりでいたのかもしれない、だけど実際は亡くなってからリリヤのことで私達に迷惑をかけている

 中途半端なのよね

 亡くなるつもりではなかったのだから仕方ないのかもしれないけど、もしもの時のためにリリヤの頼り先を用意しておいてほしかった

 こんな考えをする私は冷たいのかもしれないけど、迷惑をかけられる未来しか想像できないのだから仕方ないわよね

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