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第一章
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しおりを挟むお母様はちょっと困った顔をしてから話しだした
「リリヤが望むなら好きな学園に通わすつもりよ。卒業後もあの子の好きなようにさせるつもり。妹が生きてたらきっとそうしていたはずだから、私は亡くなった妹に代わってあの子が成人して独立するまで見守るつもりなの」
お母様のその優しさが仇にならなければ良いけどな
リリヤみたいなタイプは優しくされればされるほど、調子に乗るタイプだと思うのよね
リリヤの今後も気になるけど、私の今後のことも考えないといけないわよね
今までは王太子様の婚約者になるために色々と頑張ってきたけど、今は婚約者候補から辞退するつもりだから、辞退してからどうするか決めないといけないわよね
公爵令嬢のままで居られれば良いけど、この家を継ぐのはお兄様だから、私は結婚するなりこの家を出るなり行動しないといけない
お父様やお兄様はずっとこの家に居ればいいって、言ってくれるかもしれないけどそんな事はできない
お兄様と結婚する人にも申し訳ないですし、独身の私がずっと家にいるなんて世間体が悪い
いずれは結婚するだろうけど、それが何時になるのかわからない
結婚するまでは1人でも暮らしていけるように収入源はほしいわよね
前世の記憶を頼りに何か商売する?
向いてるとは思えないのよね
お父様達に王太子様の婚約者候補を辞退するって何時言えば良いかな?
お二人は私を絶対に次期王妃にしたいって考えの人ではないから、反対とかはしないだろうけど、あんなに夢中だった私が辞めたいなんて言ったら心配されるわよね
前世の記憶が戻る前の私は何であんな男のことが好きだったのかしら?
かなり性格悪いわよね?
はぁ~、今まで王太子妃になるためにかなり勉強を頑張ってたのに、全て無駄になりそうで憂鬱だわ
今まで勉強をしていたことが活かせる仕事があればいいのに
……………お兄様に相談してみようかしら?
お兄様はずっと王太子様との婚約を考え直すように言ってましたし、相談すれば今までの努力を無駄にならない仕事を教えてくれるかもしれない
「お母様がリリヤを大切にしたい気持ちは理解しました。だけどリリヤに絶対に親切にするとは言い切れないのは許してください」
「イリーナ…………」
「リリヤが嫌いって訳では無いですよ?リリヤのことを理解するほどまだ関わってないので、リリヤの性格や行動を理解するまでは、リリヤにどう接するか決められませんわ」
もしもリリヤの性格に問題があるかもしれない状態で、リリヤのお世話をするなんて軽はずみなことは言えない
「イリーナはリリヤを従姉妹として認められない?それは1度も会ったことがないからなの?それはリリヤ達は悪くないのよ。全て私と私の両親が悪いのよ。妹達の仲を認めなかったから、あの子達は私達に会いに来れなくなってしまったの」
お母様から叔母様の話を1度も聞いたことがなかったけど、お母様は実はシスコンだったのかしら?
リリヤが叔母様の娘だからって理由で、無条件に無茶な願いでも叶えてしまいそうな勢いね
「オリガ落ち着きなさい。イリーナはリリヤ嬢のことを認めないとは言ってないだろ?リリヤ嬢の性格に問題ないなら、イリーナだって避けるつもりなんてないさ」
「母上、イリーナは何も間違ってないですよ。今まで会ったことがない従姉妹にどう接すれば良いのか、イリーナも迷ってるんですよ。もしもリリヤ嬢に問題があったら、公爵令嬢としてイリーナは関わりを避ける必要があります」
このままだと、お母様とお兄様の仲が険悪になってしまいそうね
リリヤが来てから家の中がギスギスしている気がする
普段のお母様ならお兄様の意見に賛成するけど、相手が姪だから突き放すことが出来ないみたいね
「お母様落ち着いて下さい。お兄様が言ってるのは、リリヤが適切な距離を取れるなら問題ないって言ってるんですよ。お母様だって公爵夫人になってから10年以上経ってるのですから、お兄様が言いたいことも本当は理解してるんですよね?」
「わかってるのよ。でもあの子は親を亡くしたばかりなのよ。従姉妹である貴方達には、ほんの少しで良いからあの子に寄り添って欲しいのよ。あの子はあなた達の従姉妹なのよ?」
今日のお母様は何時もとは別人みたいね
どうしたら私達の気持ちをわかってくれるのかしら?
それとも私達のほうがおかしいの?
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