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あの後もミカエル伯父様とミレイユ伯母様は何か話していたけど、疲れた私はいつの間にか寝てしまっていた

気が付いたら私はミレイユ伯母様に膝枕をして貰っていた

「う~、恥ずかしいです」

「あら~、照れる必要は無いのよ?これから親子になるんだから、私をママだと思って甘えて良いんだから」
 
「2人だけ仲良くして狡いな~、エミリー、私にも甘えていいんだぞ?エミリーはシャルルと歳が近かったから、親に甘えることが少なかっただろ?まぁ、そのせいで弟達はエミリーの事を余計に心配になったみたいだけどな」

へ~、それは知らなかった。

確かに2人は心配性なところがあったけど、私が頼りないからだと思ってたわ

昔は信用されてないんだと落ち込んだわね

まぁ、その後パトリシアが現れて、両親がパトリシアばかり構うようになってからは、私は両親から愛されてなかったんじゃないかと、考えるようになったけど

「エミリーは領地に着いたら、何かやりたい事とかあるの?」

「う~ん、魔法が使えるようになりたいかな?。それと料理をしてみたいです!!」

「料理?エミリーは料理をしたことないの?珍しいわね」

「はぁ~、お父様が貴族は料理なんてするものでは無いって言って、絶対にやらせてくれなかったの。私がお菓子作りしたいと言ってからは、キッチンに立ち入ることも禁止されました」

私に関心が無くなった後も、それだけは決して変えなかったのよね。

自分の娘が料理なんてしてるなんて知られたら、世間体が悪いから許さなかったんでしょうけど

「あいつは頭が固いからな、考え方が古いんだ、今時は貴族だって趣味で料理作ったりする人もいるのに、あいつは考えを今更変えられなかったんだろうな。自分だけに影響があるなら良いけど、自分の考えを周りに押し付けるからな」

「義弟とは関わりがそんなにないから、そこまで面倒臭い考えの持ち主とは思わなかったわ。考え方が古いなら、妻や子供は主人の言う事を聞いて当たり前だと思ってそうね。今は貴族でも料理するのは当たり前なのにね。食通は自分で満足いく料理が作れて、一人前の食通だって今は言われてるわよね」

そんなの初めて聞いたわね

自分で美味しい料理を作れないのに、周りに厳しい評価をするのは、おかしいからそうなったのかしら?

「貴族の間でそうやって広がってるよな。実際は違うけど、周りに話が広がる頃には別の話になってるのはよくある事だよな」

「えっ!?そうなの?」

「実際は有名な食通が、今までで食べた料理の中で1番美味しかった料理は何か質問されて、自分の妻が作る料理が1番上手いって言ってから、食通は自分で料理が作れて当たり前って広がったんだ」

えっ…………

全然話が違うよね?

一流の料理を食べて来た食通の人が、1番美味しい料理は妻が作った料理だって惚気けてたのが、今では食通は料理が作れて当たり前になったの?

「噂って本当にいい加減ね。だけど今では貴族が料理をしても、文句が言われない時代になったから良かったわね。私もお菓子作りをするから、領地に着いたら一緒に料理作りましょうね~、親子で料理作るの憧れだったのよ」

「ミレイユはお菓子作りが上手いから、教えて貰うといい。私のおすすめはドライフルーツがたっぷり入ったパウンドケーキだな、洋酒が入ってて大人の味だな」

「ミカエルは本当にあれが好きよね。ミカエルのは洋酒たっぷりだから、私達のは別で作りましょうね」

「そんなに洋酒たっぷり入ってるの?」

「ミカエルはお酒が好きだから、隠し味に入れるだけでは満足しないのよ。焼いた後にパウンドケーキに刷毛で洋酒をたっぷり塗るのよ」

えっ!?

風味付けに焼く前に入れるんじゃないの?

焼いた後に洋酒を塗るなんて、ほぼお酒の味だよね?

「ほのかな甘みと洋酒の苦味がマッチして美味しいんだよ。エミリーにはまだ早いかもしれないけどな」

「うん。洋酒が入ったお菓子はあまり好きじゃないかな?そう言えば伯父様の領地の森には、ダンジョンがあるんでしょ?ダンジョンってどんな場所なの?」

「ダンジョンか?珍しい魔物がいたり、魔物を倒したらアイテムを落とすんだよ」

「えっ!?魔物がアイテムを落とすの?魔物が持っていた物を落とすの?」

魔物の持ち物って何だろう?

草とか餌かな?

「それがな不思議なことに、魔物が持っていなさそうな物を落としたりするんだよ。ポーションを落としたり、武器を落としたり、食べ物を落とす事もあるな。あとは使い道がよく分からないものを落とすこともあるぞ」

「使い道が分からない?」

「あぁ、部品だったり色々あるぞ。鑑定して調味料や食べ物だと分かったこともある。結局使い道が分からずゴミになる事も多いな」

ダンジョン行ってみたいわね。

面白そうだもの








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