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第ニ章
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しおりを挟むお父さんの発言でこの場の空気が一気に変わる。
お母さんは唖然とした顔になり、カヤは顔を真っ赤にして怒っている。
「お父さん………、本気で言ってるの?カヤはお父さんの元愛人でしょ?メイド達がそう言ってたけど?」
「知らん。レイラと出会う前に関係持ってた女など、沢山居たからいちいち覚えてない。名前や顔を覚えてやつは1人も居ない」
とんでもない屑発言が飛び出た。
でも性格に問題あっても、見た目と第3王子って身分があれば、女に困ることはないか………
「なら何でカヤが私の専属メイドに選ばれたの?カヤは侯爵令嬢だから普通は選ばないよね?」
王太子の子供なら侯爵令嬢がメイドになってもおかしくはない、それか侯爵家の子供が大勢いて、カヤが三女や四女とかなら、第3王子の子供のメイドになってもおかしくはないかな?
でもカヤの実家はカヤとミリー以外は子供がいない、カヤは婿を取る必要がある。
本来なら私の専属メイドになってる余裕はないはずなんだよね。
カヤは今年で26歳じゃなかったかな?
カヤが侯爵家の跡取りとはいえ、貴族女性として26歳は行き遅れの年齢になる。
この世界では出産はかなりの命懸けだから、女性は若いうちに結婚して出産する必要がある。
高齢出産はリスクが有りすぎるんだよね。
この世界には産婦人科などないですし、医学も発達してないんだよね。
代わりに魔法があるから普通の病気や怪我なら、回復魔法で治療も出来る。
だけど妊婦には回復魔法は使えない、回復魔法は体に負担が掛かるから、妊婦に使ってしまうと妊婦や赤子には危険だと言われている。
老人や幼い子供にも、出来るなら使わないほうがいいと言われている。
「その女の父親が推薦してきたからだ。お前の乳母の姉だから、乳母を雇うならこの女も雇うように言われた。乳母は貴族社会に疎いから、この女が近くでフォローして、俺達の恥にならないようにするって話だった」
これはどっちなのかな?
自分達が恥をかかない為なのか、私の乳母が貴族社会に慣れてないことを心配しての親心か?
おそらく前者でしょうね。
この人が私に対して、親心があるとは全く思えない。
「本当にジェイミーはこの女のことを何とも思ってないの?」
「当たり前だろ?俺の好きな人はレイラだけだ。俺は結婚前に男と男女の関係を持つような身持ちの軽い女は論外だ」
正しいよ?
貴族として妻に迎える女性の純潔を求めることはたしかに大切だけど、複数人の未婚女性と結婚前に関係を持ってたお父さんが言うのは違うよね?
「なんだ~、私ったらジェイミーがまだこの女に未練があるのかと思ったんだよ?でも存在を覚えても貰えなかったんだ~、貴女って可哀想ね~、流石に同情するわ~」
うわぁ~、かなり棘のあることを言ってるよね?
同情するって言いながら、1番馬鹿にしてるのはお母さんじゃん。
この後どうなるかハラハラしながら、カヤの方をチラッと見ると、カヤは聞き取れないぐらいの小声でブツブツ言っている。
怖っ!?
私がビクついたことで、ミリーもカヤの様子に気が付いたのか、私とカヤの間に立って私を守ろうとする。
「許さない許さない許さない!!お前ら全員死ね!!」
カヤは叫ぶのと同時に魔法で炎を出し、部屋全体に炎を投げつける
炎の1部が私とミリーに飛んでくる。
「きゃ~~~~」
「うわぁ!?」
「シエル様!!」
「ミリー!?」
「愚かな人間が!!シエル様を殺そうとするなど許さん!!」
アクアは私とミリーを水の膜で優しく包んでから、部屋全体に水を噴射する。
私とミリー以外は水でずぶ濡れになっていた。
「助かった?アクアありがとう~」
私とミリーは安心して、その場で座り込んでしまった。
「シエル様、お怪我はありませんか?」
「うん。私は大丈夫だよ。ミリーは大丈夫だった?」
「わ、私も大丈夫です!!」
うーん、一瞬だけど右腕を気にしたような?
「右腕見せて」
ミリーが隠す時間を与えないように、右手をとり確認する。
「シエル様!?」
酷い!?
ミリーの右腕の袖が燃えており、腕に火傷をしてるのが分かった。
「アクア!!」
「どうしましたか?」
「ミリーの腕を治療してあげて」
アクアはミリーの腕を見て、すぐに状況を把握して、ミリーの腕を一瞬で治療をする。
ミリーの怪我がどんどん治っていった。
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